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神亡き世界の異世界征服  作者: 三丈夕六
エルフェリア内乱編

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第28話 内乱へ ーヴィダルー

 翌日。


 早朝から始まった暴動は勢いが止まらず、本格的な戦闘へと発展した。


 そこからさらに1時間後、エルフェリア各エリアに分散した若いエルフ達は同時多発的に評議会員自宅を襲撃。暴動の鎮圧に注力していたエルフェリア軍は完全な後手となり、評議員は次々と捉えられた。


 抑えた評議員は人質として利用し、部隊投入を遅らせる。俺が提案した幼稚な作戦だが、正面から抵抗するよりは遥かにマシだろう。



 ——そして午後。俺とレオリアはリオン達の戦闘に参加していた。



「あはははははははははっ!!!」


 レオリアがエルフ兵の間を縫うように駆け抜ける。すれ違い様に斬りつけられた兵士達の血飛沫が空中を舞う。


「弓兵はあの女を狙え!」


 指揮官の命令に従い数人の弓兵がレオリアを狙う。


「鬱陶しいなぁっ!!」


 レオリアが兵士の死体の影へ隠れる。弓兵が次の矢をつがえる隙を突いて兵へと向かって飛び出した。


雷鳴斬らいめいざん!!」


 レオリアのショートソードが雷を帯びる。


 弓兵が放った矢を紙一重で避け、雷をまとった剣を投げ付けた。


 回転した剣が弓兵への頭部へと突き刺さる。行き場を失った電撃が弓兵から周囲へと放電され、巻き込まれた他の兵達が感電し無力化された。


「あ〜! 剣投げちゃった!!」


「俺が道を作る。レオリアはショートソードまで走れ」


「分かったよヴィダルっ!!」


 リオン達が捉えた召喚士達に精神支配(・・・・)をかけ、その力を利用できるようにする……それが今回の戦闘で自分へと与えた役割。


 これならば、広範囲の戦闘でも参加することができる。


 支配した(・・・・)召喚士3人を俺の前へと整列させ、命令を下す。


「中位召喚魔法『星の守護者(シリオンテア)』を発動しろ」


「はい。ヴィダル様」


 召喚魔法兵達が魔法名を告げていく。人影に夜空を内包したようなシルエット……星の精霊3体が大地から現れる。


「レオリアの進行方向へ攻撃を開始」


 星の精霊達の体から光線が照射される。光の線が兵士達を貫き、次々と倒していく。


「お、おい!? 召喚士が裏切ったのか!?」


「あっふふふはははは!! 隙ありぃっ!!」


 戸惑う兵士の喉元をレオリアがもう1本の剣で切り裂く。そのまま風のように大地を駆けて行く。


「女が来るぞっ!? 召喚士は早く精霊を呼び出せ!!」


 レオリアに怯えた指揮官は、自分の部下達に後を任せ、後方へと下がろうとしていた。



 ……そろそろこの場所も制圧できるか。



 操っている者達へと命令を下す。


「敵召喚士を狙え」


「はっ」


 星の精霊(シリオンテア)から再び光の線が発射される。その光が敵側の召喚士を貫通する。召喚士が倒れたことにより、呼び出し途中だった炎の精霊は雲のようにかき消えてしまう。


「な、何をやっているんだ!!早く! 早く止めろ!!」


 指揮官の声が響く。しかし、レオリアを止めようと立ちはだかる兵士達は、彼女のもう1つの剣の餌食となるだけだった。



「ショートソードゲット!」



 剣を拾い上げたレオリアが飛び上がる。



空舞斬くうぶざん!!」


 スキル名を叫んだ彼女が縦に高速回転する。そして、その刃が逃げる指揮官を捉えた。



「あはははは!! 臆病者は死ねぇ!!」



「く、来るなぁ!! 来るなぁあああぁぁぁぁっ!?」



 斬撃を受けた指揮官が縦に真っ二つに引き裂かれた。



「ふふふふふふふ。あ〜テンション上がっちゃった」



 レオリアは冒険者には見えないほど邪悪な笑みを浮かべる。


「撤退だ! 撤退しろ!」


 指揮官が壮絶な死を迎えたことを目にした兵士達は、武器を捨てて逃走していった。



◇◇◇

 

「ヴィダルさん! 評議員1人捕まえました」


 リオン達若いエルフが評議員の自宅から出て来た。その後ろには、捕まった評議員が1人。


「は、話せば分かる……」


「あぁ!? 問答無用で俺らを閉じ込めようとしたくせに『何が話せば分かる』だよ!!」


 リオンが腰からナイフを抜き、評議員へと突き付ける。


「ひ、ひいいぃぃ」


 怯え切った評議員はそれ以上言葉を発することは無かった。


「よっし。コイツを連行しろ」


 リオンが仲間へと指示を出すと、他のエルフ達が捉えた評議員を連れて行った。


「ふぅ。朝から中々ハードだねぇ。何人殺ったか分からなくなっちゃった」


 レオリアが剣を2度振るって鞘へと納める。大量の返り血を浴びた彼女は、動物のように体を振るう。


「ヴィダルさんの作戦のおかげだぜ! こんなにうまく行くとは思わなかった」


 リオンが白い歯を見せて笑った。


 ……お前達に勝って貰わなければ困るからな。


 若いエルフは威勢はいいがやはり考えが足りない。その分思い切った作戦もできるのだが。



「リオンさん!!」



 エルフの少女が息を切らせて走って来た。


「どうしたレニア?」


「ひ、広場にアルダー先生が……っ。召喚士の大群を連れて、来ました……」


「なんだと!?」


 リオンが狼狽うろたえる。


 フィオナの話ではヤツは上位召喚魔法を複数所持している。それにその兵の数……評議会側も本気を出して来たか。


「俺達も向かうぞレオリア」


「うん!」



 リオン達を連れて広場へと走った。



 このままではリオンの仲間達が皆殺しにされる。止めるか……犠牲となって貰うか。



 いずれにせよ、残る障害は召喚士アルダーだな。

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