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第七話 悩み



 地霊殿から博麗の神社へ戻った霊夢達は紫と話し合いをしていた。


「古明地こいしがね……。あの人と言う青年のことは何も聞けなかったと?」


「そりゃ、無理矢理に聞こうとしても逃げられてしまうし、地霊殿の奴らが敵に回ることは避けたかったしな」


「詳細は聞けなかったけど、ただの人物ではないだけはわかったわ」


 こいしから青年のことを聞けなかったが、こいしが助けられた話の中からわかったことがあった。


「確かに。能力が暴走していて、誰にも悟られず消えかけたこいし様を見つけたと言っていましたね」


「そう、咲夜の言う通りに能力が暴走したこいしを見つけるなんて、簡単なことではないわよ」


「確か、能力の暴走は自分自身が操れない程に強くなりすぎてしまうことで起きる症状だったな。つまり、見つけるのは普段のこいしよりも更に難易度が上がっていたのだろう」


 これだけでも、青年の実力が普通ではないとわかる。


「次に私がわかったことを話すわね。博麗の結界を調べてみたの。そしたら、わかったことがあったわ」


「ん? 何処か破られていた跡があったのかしら?」


「それか、破られているのを隠した跡が残っていたとか?」


 紫が外から来ている可能性が高いと言っていたので、霊夢と魔理沙が言っていたような痕跡があると予想していたがーーーー




「いえ、どちらも間違いよ。何処も破られていた跡がなかったわ。結界は綺麗なままよ」




 結界は破られていていなかった。つまり、青年とネヤは…………


「考えられるのは2つ。私が知らないだけで、最初から幻想郷にいた。それか、私の『境界を操る程度の能力』みたいな能力を持っている。そのどちらかよ」


「うげっ、紫みたいな能力を持っていたら面倒臭いわね」


「うーん、その能力があると拠点を見つけても逃げられるわな」


「その拠点でさえも見つけられていないけどね」


「…………」


 この時、咲夜は違和感を感じていたがここに来てからずっと隣で黙っているレミリアのことが気になって考えが纏まらないでいた。


「レミリア、黙っていないで気になったことがあったら言いなさいよ」


「考え込んでいたが、何か気になることがあったのかい?」


「あ……いえ、そうではないけど……」


「……お嬢様。ご妹様のことですね?」


 咲夜はわかっていた。咲夜もレミリアと同じ心境なのだから……。


「私は間違っていたのかしら? 閉じ込めるのではなく、他に方法があったのではないかと……」


「お嬢様……」


 もちろん、何も考えなかった訳でもない。フランの能力を抑えながら外に出させる方法をパチュリーを中心に調べながら考えてきた。しかし、レミリア達はまだその方法を見付けられないでいた。

 そして、連れ去った青年がその悩みをあっさりと解決した。そして、こいしと一緒に遊べる程に安全となっている。フランが能力に悩まれることもなく、外に出て遊べるのは喜ばしいことだが解決したのが自分達ではないことに情けなく思っていた。




 レミリア、咲夜はフランについてわかったことがある。それは、フランが自分から望んで青年に着いていったことにーーーー




「全く、貴女にはしおらしい姿は合わないわよ?」


 霊夢がため息を吐いて呆れていた。そのため息にレミリアがキレる。


「ッ、あんたに何がわかるのよ! 私はフランに何も出来なかった! 数百年も掛けても、結果的には結界に閉じ込めることしか出来なかった!!」


「で、その数百年は貴女達だけでやってきただけよね?」


「は? そうよ……他の人なんてフランにあっさりと殺されるだけ。フランに人を殺すことはさせたくもないわ。フランは感情的だけど、優しい子なのよ!」


 もし、フランが間違って人を……そして、生き物を殺してしまったら優しい子が歪んでしまうかもしれない。そしたら、家族の私達以外に大切な人が出来ないかもしれない。

 レミリア達はその心配をしていた。だから、外の関わりを断って結界に閉じ込めたのだ。


「馬鹿ね。だからと貴方達だけで解決しようとして余計にフランを長く苦しめることになった。それに……酷いことを言うけど、貴女は意地を張っているようにしか見えないわ」


「い、意地を……? は、張っていないわ!」


「そうかしら? フランが安全に外へ出れるのに何故嬉しそうにしないの?」


「ッ……」


 確かに、フランは他人である青年に悩みを解決して貰えている。家族なら少しは喜んでもいいのだろうが、今のレミリアは苦悩の表情しか浮かんでいない。

 その理由は簡単。レミリアは自分達の力で助けたかったのだ。


「それに、フランのことを想うなら他の人に助けを求めればよかったのよ。そうすれば、連れ去られることもなかった」


「……誰に頼めば良かったのよ! フランの力を前にして怯えることもなく、殺されることもない人なんて!!」


「私がいるじゃない」


「えっ……」


 霊夢は自信満々に自分に助けを求めよと言い放った。


「私ならフランに殺されることは有り得ない。恐れる? ふっ、様々な妖怪と戦っている私が?」


「おいおい、私を忘れるなよ? 魔法使いである魔理沙をな! 魔法の知識なら私に任せろよ」


 横で見ていた魔理沙も話に加わり、力を貸すと言っている。


「霊夢……魔理沙……」


「お嬢様、気付くのが遅かったようですが、私達には頼れる人がいましたね」


「……そうだったわね」


「もう終わったことを話しても仕方がないわ。フランは貴方達がなんとかしなさい。私達のやり方でね!」


「そうだな。弾幕をぶつけ合って話し合いな! ヤバかったら私達も手を貸すぞ」


 幻想郷での仲直りは弾幕ゴッコ。ぶつけ合って話し合う。それが幻想郷の流儀である。


「……そうね。その時はお願いするわ。咲夜、わかっているわね!」


「はい。私も力を尽くします!」


 レミリアと咲夜は気合を入れ直した。次の夜、現れるであろうのフランと弾幕をぶつけ合うことになろうが、仲直りできるように頑張ろうと。




 パンパン




「話が纏まったわね。次の夜に現れるよね? 今は休みなさい」


 紫が手を叩き、注目を集める。今に出来ることは休むだけなので話を終わらせた。こいしが言っていたことが本当なら次の夜に何処かで現れる。その時を待つことにーーーー










まだ続きます!

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