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第五話 地底世界



 ーー地底世界。



 霊夢、魔理沙、レミリア、咲夜は旧都へ降りていた。紫は協力を頼んだ妖怪と共に侵入者の居場所を探すために地上に残っている。


「景色は変わりもしないわね」


「そりゃ、最後に来たのは去年の春ぐらいか? なら、そんなに変わらねえよ。レミリア達は来たことあるか?」


「私は地底世界へ来るのは初めてよ」


「はい。用事はありませんでしたから」


 地底世界へ来たことがあるのは霊夢と魔理沙だけで、レミリアと咲夜は用事もなかったから行くことはなかったと。

 前は異変で解決の為に来たが、今回は敵側にいる協力者が地底世界にある地霊組ちれいぐみの中にいるかもしれないことから、その首領である古明地こめいじさとりへ会いに来たのだ。

 向こうにはまだ詳しいことは教えていないが、紫が通達してくれたので霊夢達が来ることは知っている。


「早速、地霊殿ちれいでんに向かうわよ」


「あぁ、妬ましいわ。こんな大群で遊びに来るなんて、妬ましいッ!」


「…………」


「あははっ、やっぱり現れたな」


 地底世界に来た4人を出迎えた者がいた。その者は地上と地下を結ぶ穴の番人である水橋みずばしパルスィ。

 霊夢と紫が初めて地底世界へ行った時も、今みたいに嫉妬されて邪魔が入っていた。


「アンタね、私達はさとりに用があんのよ。連絡もしてあるわ」


「だったら、貴女1人で来ればいいじゃない! そんな大人数で…………妬ましいッ!!」


「……面倒な人よね。話が通じないし」


「なら、ここは弾幕で押し通るしかないな!」


「えっ、連絡してあるのに邪魔をされるの……?」


「そうみたいですね。1人しかいないようですし、4人で仕掛ければ、すぐ終わるでしょう……「いやー、1人じゃねぇ!」」


 咲夜の言葉を遮り、パルスィの後ろから現れたのは旧都に住む鬼である星熊勇儀ほしぐまゆうぎ。いつも通りに杯へ酒を注ぎ、愉悦な笑みを浮かべていた。


「面白そうなことになってんか! 愉しませてやるから混ぜろよ!」


「更に面倒臭いことになった……」


「鬼も現れるのかよ……って、こっちも1人の鬼がいたな」


「つまらないことを言っていないで、さっさと終わらせるわよ! あまり時間を掛けたくないんだから。咲夜、行くわよ!」


「畏まりました。すぐ倒してみせます」


 レミリアはフランのことがあるから、こんなとこで時間を無駄にしたくはなかった。

 嫉妬してくるパルスィが邪魔してくるのは予想出来たが、鬼である勇儀まで現れるとは思っていなかった。


「邪魔をするんじゃないよ!」


 先手必勝と言うように、パルスィへ霊夢が御札を飛ばしていく。


「人気な貴女が妬ましい!」


 パルスィも負けずに弾幕を放って相殺していく。


「人気? うはははっ、良かったな。霊夢を陽キャだと思っているようだぞ?」


「何なの、その呼び方。人気なのは仕方がないことよ。何せ、私は博麗霊夢だもの!」


「スゲェな。自分からそう言える度胸は」


 魔理沙も星魔法を霊夢の弾幕が相殺されている隙に放ち、パルスィを囲むようにしていく。そして、霊夢と魔理沙が同時にスペルカードを発動する。




「『封魔陣』!」




「『ノンディレクショナルレーザー』!」




「ッ!? 『グリーンアイドモンスター』!」




 パルスィもスペルカードを使うが、2人分のスペルカードを受けきれる訳もなく…………




「キャァァァァァーー!?」




 受けられなかった弾幕がパルスィへ被弾して、地面へ墜ちていく。










 勇儀の方は、レミリアと咲夜で相手をしていた。


「くはははっ、そのメイドは時間を止めれるのだな!?」


「私は咲夜と申します。それはいいのですが……上を警戒しないのですか?」


 今までは咲夜が主体に勇儀と弾幕を撃ち合っていた。レミリアは勇儀に隙が出来るまで姿を消し、そしてその隙を見つけたのか勇儀の真上に現れた。


「『ハートブレイク』!」


「吸血鬼っ子、そこにいたか! 受けてみな、『金剛螺旋』んんん!!」


 スペルカードのぶつかり合いが起きるが、今回は1対1ではない。本命は隙を伺っていたレミリアではなくーーーー




「『操りドール』」




 主体で戦っていた咲夜こそが、本命。ナイフの弾幕を張り、時間停止を挟むことで時間差に襲ってくるナイフの群れが完成する。

 これで勇儀を倒せるとレミリアと咲夜は思ったーーーー




 しかし、勇儀はただの鬼ではあらず。




「うはははっ!! 面白え技を使ってくるな! だが、俺はこれでやられはしねぇ!!」


「「なっ!!」」


 レミリアの『ハートブレイク』とぶつかり合っていた『金剛螺旋』を無理矢理に振り回すことで『操りドール』さえも消し去った。


「こんな力技で!?」


「……鬼に相応しい膂力りょりょくね」


「まだ愉しませてくれるよな!?」


「なら、私達も加わらせていいわよね? 更に愉しくなるわよ?」


「こっちは終わったぜ」


 パルスィを倒した霊夢と魔理沙が援軍として現れた。倒されたパルスィは地面に落ちて目を回していた。


「あー、パルスィはやられちゃったか。まだ続けたい所だが、お前らは地霊殿に用事があるんだよな?」


「そうね。パルスィとアンタが邪魔をしに来たけどね」


「そうだな。当のパルスィがやられているなら、ここまでにすっか」


 勇儀は霊夢達が用事で来ているのを知っていたので、邪魔をしたいパルスィがやられているならこれ以上は続ける理由がなくなる。4対1は流石に可哀想だから、手伝ったに過ぎない。


「お詫びに俺が地霊殿までの案内人になってやるよ。それなら、道中で弾幕を挑まれることはないだろう」


「まぁ、それは助かるわね」


「レミリア、咲夜もそれでいいよな?」


「倒しきれなかったのは納得いかないけど、優先すべきのことがあるからね」


「私もそれで構いませんよ」


 弾幕ゴッコは呆気もなくパルスィが倒され、勇儀が矛を収めたのですぐ終わった。霊夢達は勇儀を案内人として、地霊殿へ向かうのだったーーーー









「う、うぅっ、妬ましい…………ガクッ」


 1人、残されたパルスィは一度意識を取り戻し、恨み言を残してまた気絶していた…………








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