第三話 連れ去られる
「うふふっ、やるじゃない。咲夜達が倒せないのも納得ね」
「そちらもやるじゃないと褒めてあげます。けどね……」
レミリアは咲夜達の戦いから遠距離からの弾幕では当たらないとわかっているので、グングニルを握って接近戦で挑んでいた。それに対して、ネヤもお祓い棒で迎え撃っていた。
現時点では、ネヤと互角に戦えているレミリアだが…………
「もうここまでね。主人様から連絡がありました。『もう解放した』と――――」
「!?」
ネヤは既に目的は達していた。レミリア達を紅魔館から引き離すことに。
そして、一方である主人様が動いて解放したとネヤに連絡が入った。
「ッ、お嬢様! 紅魔館からご妹様とは別の気配が!!」
「い、いつの間に結界が壊されている!?」
突然に紅魔館から変化が起きていた。咲夜が侵入者の気配を察知し、パチュリーは自分が張っていた結界を壊されていることに気付く。
「な……まさか!? フランが!?」
レミリアが驚愕するのと同時に、紅魔館の正面ドアが吹き飛ぶ。そこから現れたのは…………青年と手を繋ぐフランの姿だった。
「ネヤ、帰るよ」
「はい、主人様の言う通りに」
「ッ! 貴様!? フランに何を!?」
「解放したと言いましたが?」
ネヤがレミリアから離れ、青年の元へ向かおうとする。レミリア達も急いでネヤを追うが…………
「では、お願いするよ」
「任せて~」
この場から別の声が聞こえた。青年、ネヤ、フランとは違う声が聞こえた瞬間に、3人の姿がレミリア達から消えてしまった。
「フラン――――!?」
レミリアは叫ぶが、返事はなく気配も感じられなくなった。咲夜、パチュリーも自分のやり方で紅魔館の周りを探したが、足取りは掴めなかった。
「こんなの、どうやって!?」
「駄目! 何も見つからないわ!」
「……逃げられたわね。っ、スキマ妖怪! 見ているのでしょう!? 現れなさいよ――――!!」
レミリアはこんなことが出来る人、妖怪を知っていそうなのがスキマの妖怪である八雲紫を呼び出す。
叫んで、しばらくすると…………紫が時空を割って現れた。しかし、紫の顔は浮かない様子だった。
「現れたわね! 見ていたなら、奴らが何者か教えなさいよ!」
「…………いわよ」
「は? 聞こえないわよ!」
「知らないわよと言ったの」
「……えっ?」
紫は幻想郷にいる者なら自分達で呼び込んだから知らない人なんていない筈。しかし、紫は知らないと答えた。更に…………
「一体、何が起きたのか教えてくれないかしら?」
「えっ、見ていないの……?」
「見ていないというよりも、さっきまでは普段の紅魔館だったわ。だけど、急に貴女達が湖の上にいる場面に切り替わったのよ。3人が消えていなくなったのは見たけど、その前に何が起きたのかはわかっていないの」
紫からにしたら、不思議なことが急に起きたとしかわかっていない。そして、レミリア達が知りたいと思っている青年とネヤの正体も…………
「あの2人は私が呼び込んだ人物ではないと断言出来る。おそらく、外の世界から私にバレずに侵入してきたと思うわ」
「そ、それでは、ご妹様は!」
「ごめんなさい。何処にいるか今もわからないわ」
フランを助けに行きたくても、足取りが掴めず居場所がわかっていない。それを聞いたレミリアは怒りで暴れたくなるのを耐えて歯ぎしりをするのだった。
「……この件、異変と判断します。博麗霊夢に相談しなさい。そこで詳しい話を聞きます」
「…………あぁ、すぐ行くわ。咲夜! 準備をしなさい!」
「畏まりました」
「パチュリーと小悪魔は紅魔館を調べなさい! もしかしたら、何かが残されているのかもしれないわ!」
「えぇ、わかったら連絡するわ。小悪魔、行くわよ」
「はぁい」
「美鈴はいつも通りに紅魔館を守っていなさい!」
「はい! 次はやられないようにします!」
指示を出し、準備を終えたら霊夢がいる博麗神社へ向かうのだった――――
今回はここまでです。
また明日に投稿します!!