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第十九話 七神集一とネヤ



 ついに明かされた正体。七神集一は『零福の化身』であり、貰った加護とネヤの手伝いにより、神に至った存在である。


「成る程、貴方のことはわかった。次にネヤと言う存在よ。その関係性も」


「ネヤは神だけどちょっと特殊でね…………関係性は師匠と弟子が正しいと思うけどーーーー」


「いえ、主人様と従者です」


「なんで、そこに拘るんだ…………まぁ、それは今度話し合うとして、僕が死んで冥界へ誘われていた時に横から穴に吸い込まれたんだ。そして、ここに着いてネヤと出会った」


 ここは元々ネヤが持つ空間であったが、指導のお陰でこの空間を共有する能力を得ている。


「ここで数百年ぐらいは神の力を扱う為の指導をネヤから受け、神に至った訳だ。もう少し詳しく教えたい所だけどーーーー」


「…………準備が終わりました」


 氷漬けになっている邪神の側に座り込んでた子供の姿をした幽々子、西行妖が話し掛けてきた。そして、西行妖が持っていた光る球体3つを集一が受け取る。


「ありがとう。後は解放するだけだ」


「ッ! 待ちなさい! アレは邪神よね? 解放してどうするつもり!?」


 邪神と言われる存在を解放したら何かが起こるかわからないので、止めたいと霊夢は思っている。


「……もしかしたら、貴方はあれを何とかすることが?」


「西行妖にしたように……?」


 紫と魔理沙は解放されても、昨日みたいに解放しても無害にすることが出来るのでは? と考えているようだ。




「何とか? いや、僕がすることは解放だけ。その後はネヤが決めることさ」




 集一は解放するが、その後は何もするつもりが無かった。何せーーーー




「アレが、ネヤの本体・・なんだから」




「ハァ!?」


「あのネヤの本体!?」


「まさか、ネヤの正体って……」


 ネヤの正体は邪神であり、今まで集一と一緒にいたのは一部であり分身のような存在だったのだ。


「さぁ、解放するよ。まずは封印を解く鍵となる神の力を錬金する! 第三の能力『錬金術』!!」


 西行妖から受け取った3つの光る球体は神の力であり、2つはさっき戦った八坂神奈子、洩矢諏訪子から少々拝借し、もう1つは七神集一のモノ。

 その力を西行妖の新たな能力である『全ての存在を浄化する程度の能力』を使い、浄化することで完全なる神のエネルギーに近付けた。

 それを『錬金術』で錬金することで3つの球体が1つへなっていく。


「完成した。これを当てるだけで封印は解けるーーーー」


「それを黙って見ている私じゃないわ!」


「霊夢!?」


 霊夢は動いた。まだ情報が足りない状況で邪神を解放させる訳にはいかないと、お祓い棒を持って突っ込む。


「主人様!」


「いや、僕が止めるからネヤが自分で解放しなさい」


 封印を解く光の球体はネヤへ渡された。集一は錫杖を取り出して霊夢と相対する。


「邪魔はさせないよ」


「黙って見ている訳にはいかないわ! 『夢想封印 散』!」


「第七の能力、『模倣』」


 霊夢が先にスペルカードを発動し、札の弾幕が集一だけではなく、後ろにいるネヤまで標的にするがーーーー集一の持つ錫杖が光り出し、同じ弾幕が霊夢を襲った。


「なっ!? 私のスペルカードと同じのを!?」


「弾数は同じだけど、威力は違うよ」


 弾幕はお互いがぶつかり合い、勝っているのは…………集一の方だった。『模倣』は真似だが、威力は神としての強さが表れている。

 霊夢の弾幕は敗れ去り、全ての弾幕が霊夢に向かっていく。


「くっ!」


「霊夢!? あれを止めやがれ! 『マスタースパーク』!!」


「『模倣』」


 威力が違うことからただの弾幕では打ち消せないと思い、霊夢は飛びながら避け続けている。霊夢の助けに入ろうと『マスタースパーク』を放つがーーーーそれさえも真似されて、魔理沙よりも強い『マスタースパーク』で突き破られる。


「うおぉぉあぁぁぁ!? 危ねえぇぇぇ!!」


 魔理沙は発動した瞬間に嫌な予感がして、すぐ回避動作に移っていたから避けることが出来た。


「攻撃はしないで! 逆にやられるだけよ!!」


 霊夢は避け続けてながらも、魔理沙に気をかける余裕はまだあったようだ。


「おそらくだけど、あの『模倣』は私達が攻撃しなければ使えない筈よ!」


「ほぅ、勘が良いね。でも、別に攻撃されなくてもいいさ。こっちは時間を稼げればいいし」


「……大人しく見ているしかないですね」


 攻撃しなかった紫は解放されるのを大人しく見ているしかないと。それに、集一のやってきたことから幻想郷に悪い影響を与えるつもりはないことを感じ取っていたから、それを信じてみることにしたのだ。






「さぁ、氷よ。溶けなさい」






 集一から渡された封印の鍵となる光の球体を氷に当てた。そうすると、1分も掛からずに邪神を封じた氷が完全に溶けたのだった。

 そして、邪神に溜め込められた邪気が漏れ出はじめた。


「こ、これはヤベェな……」


「本当に大丈夫なの!? アレがこの空間から出て幻想郷へ向かったら……」


「西行妖以上の被害が出るでしょうね……」


 霊夢達が攻撃する気がないのを読み取った集一はネヤの隣へ降りた。


「ようやく解放出来たね」


「うん、主人様のお陰です。…………もし、私が全ての力を取り戻して昔のように支配者を目指す為に動くとしたら……主人様は手伝って貰えますか?」




 ネヤの物騒な質問に警戒する霊夢達だったが、集一の応えが気になった。その質問はあっさりと応えられた。






「んー、それはノーと答えさせて貰うよ。僕がやりたいことのと掛け離れているからね」






 集一は断った。集一は解放……つまり、救いなのだから支配者になって縛ることはやりたいことから掛け離れているからだ。


「そうですか。私と戦うことになっても?」


「そうだね。出来れば、そんな未来は想像したくはないけど、そうなったら止める側に回るよ」


「……わかりました。私がやることを決めました」


 ネヤはそう言い、邪神の方へ手を差し出した。力を戻すかと思えばーーーー魂がない邪神に異変が起きた。その邪神が光り出し、形を変えていったのだ。


「主人様と一緒にならないのであれば、支配者になるのは諦めます。なので、私にはこの力は必要としないーーーー」


 ネヤはそう言い、自分の本体を主人様の為に作り替えた。集一が持っている錫杖と似た、7色の宝石が付いた新たな錫杖が出来上がった。


「はい。主人様の新たな武器です。私だと思って大切に使って下さいね」


「大切にって、ネヤそのものじゃないか。いいのか?」


「はい。支配者になるよりも主人様と一緒にいるのが楽しいですからーーーー」


 ネヤはそう言いながら微笑むのだった。







 ほぼ蚊帳の外に置かれた霊夢達は…………


「……なぁ、これで一件落着でいいじゃないか?」


「危険だった邪神はいなくなったし、あの人の目的は達成したからもう異変を起こさない……と思うわ」


「…………何なの、散々と駆け回して最後は勝手に解決!? 納得いかないわーーーー!!」


 霊夢だけが納得いかないと言うように叫び散らすのだったーーーー








次回が最終話になります。

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