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第一話 襲撃




 ――――紅魔館こうまかん




 レミリア・スカーレットはベランダで夜空を眺めながら、紅茶を楽しんでいた。


「うふふふ、今日は綺麗な満月が見えているわね。ねぇ、貴女もそう思わないかしら?」


「はい、お嬢様の言う通りかと」


 隣に立っていたメイド、十六夜咲夜いざよいさくやはおかわりとなる紅茶を注ぎつつ、主であるレミリアの言葉に同意する。


「本当に綺麗よね……フランと一緒に見たいぐらいだわ」


「お嬢様……やはり、ご妹様はまだ……」


「残念ながら、まだ力の制御がまだ出来ていないわ。あの事件のせいで、制御が更に困難になっているみたい」


 フランはレミリアの妹であり、力の大きさは巨大で姉であるレミリアをも凌ぐ程だ。しかし、力の扱いが上手く出来ずに周りを壊してしまうことからレミリアの判断で地下深く で更に結界を張って閉じ込めている。フランを閉じ込めて……490年近くになる。

 それでも、力の制御が出来ておらず、結界から出せないでいた。もしも、フランが大切な物が出来た時に壊してしまって公開をさせない為に――――




「全く、最近は上手くいかないことばかりだわ」


「えぇ、あの流行り病は私にとっても厄介な事件でした。お嬢様も――――む!?」


「あら……」


 ベランダでティータイムを楽しんでいたレミリア達だったが、紅魔館の領地から侵入者の気配を感じ取った。しかも、その人物は敵意を持って近付いたとわかる。


「これは、紅魔館の門前に現れましたね」


「門前なら美鈴めいりんがいるけど、念の為に行ってきなさい」


「はっ!」


 門前には門番である紅美鈴ほんめいりんがいるといえ、吸血鬼の力を発揮出来る満月の日に敵意を持って現れたことから警戒をした方がいいと判断した。




「どんな馬鹿が現れたのかしらねぇ」











「止まりなさい! ここが紅魔館と知ってのことですか!?」


 美鈴はいつも寝坊助で立ったまま寝るような娘だが、今回は目の前にいる少女から放たれている敵意から目は冴えて警戒をしていた。

 その敵意を放つ少女とは――――


「ええ、わかった上で攻めに来ています」


 その少女は黒色の巫女服を着ており、黒色の髪を肩まで垂らして無気力の瞳を浮かべていた。


「なら、何者か名乗り上げなさい! そして、私が相手をしてあげます!」


「そうね、名だけを。ネヤです」


 そう言い、ネヤは袖の懐から黒いお祓い棒を取り出した。


「では! 紅魔館の門番を任されている紅美鈴が行きます! はぁっ!!」


 美鈴が先に動いた。得意の接近戦で挑もうと距離を詰めに行く。巫女服から霊夢みたいな戦いを予想して、距離を取るより詰めた方がいいと判断していたが――――ネヤは霊夢とは違う。


 美鈴の拳がネヤの頬を狙って打ち込むが……




「なっ!?」


「遅いよ?」


 なんと、ネヤはお祓い棒を使うこともなく、指一本だけで美鈴の拳を止めていた。


(チッ! こいつは見た目と違って力がある! 霊夢とは違って接近戦が得意?)


 ネヤは美鈴よりも身長が低く、レミリアと変わらないんじゃないかと思う。細い腕をして、指一本だけで止められたのは驚いたが、美鈴は攻撃を止めない。バックステップで少し距離を開けて…………




「発勁弾を受けてみなよ!」




 気の弾幕でネヤをぶっ飛ばそうと弾幕を展開したが……


「それは私には悪手よ」


「えっ!?」


 美鈴は間違いなく、ネヤに向かって弾幕を飛ばしたのに一発も当たらずにネヤの横を通り過ぎていた。ネヤは動いてもいなかったのに――――




「呆気に取られている暇はあるのかしら?」


「しまっ…ぐっ!?」


 驚いている一瞬のうちにネヤは美鈴の懐に入り、お祓い棒から黒い弾幕が現れて美鈴を襲った。咄嗟に防御の体勢に入っていたからダメージは小さいが、地から離されて空へ飛ばされてしまう。




(ここからだと地面を大きく削ってしまいますが、仕方がない! 本気でやらないとこっちがやられる!!)




「『地龍天龍脚』!」




 スペルカードの出し惜しみをせずに巨大な龍の形をした気弾を纏った脚で突撃していく。黒いお祓い棒から放たれる黒い弾幕を消し飛ばしながらネヤを蹴飛ばそうとするが――――




「私もスペルカードと言う物を使ってみましょう。『ねやからの贈り物』!」


「ごばぁっ!?」


 美鈴は突然に背後から攻撃を受け、更に美鈴の見えていない箇所から弾幕が現れて美鈴へダメージを与えていく。

 ネヤが使ったスペルカードは相手の見えていない場所…つまり、死角である場所に弾幕を顕現させて当てていく技である。突然に死角から攻撃を受けた美鈴はスペルカードの発動を続けられる訳もなく、解除されて落ちていく。




「あうっ……」


「私の勝ちね。先に進ませて――「次は私が相手です」あら?」


 美鈴がやられて、立ち塞がる者がいない内に紅魔館へ向かわれる…………所に、メイドの咲夜がネヤの前へ現れる。


「全く、何処の誰かもわからない相手に負けるなんて。情けないわよ」


「ご、ごめんなさい……」


「で、何処の誰かは知りませんが、敵意を持って中に入ろうとする者は通せません」


「ふぅん、時間を操れるのね」


「…………」


 チラッと美鈴を見る咲夜だが、美鈴は何も知らないと首を振っていた。昨夜は美鈴が漏らしてしまったかと思っていたが、どうやら違うようだ。


「時間が止まったのを感じ取るぐらいは出来ますよ?」


「……面倒な敵ですね。まさかと思いますが、神霊のたぐいですか?」


「さぁね。それよりも私とやるなら他の人も呼んだ方がいいわよ?」




(目的はまだ読めませんが、紅魔館に入らせていい相手だとは思えません。美鈴を無傷で倒した相手であるなら……)




「すいません、パチュリー様。手を貸して下さい」


「仕方がないわね。小悪魔、行くわよ」


「はぁい」


 転移で魔法使いのパチュリーと使い魔の小悪魔が現れた。容赦をする相手でもないので、3対1でネヤを倒すことに。




「……まだ出てきませんか」


「何か言いましたか?」


「いえ、なんでもありません。やりましょうか」











「……誰か近付いてくる? お姉様達ではない?」


 地下深くにある結界に囲まれた部屋に近付く者がいる。結界に閉じ込められているフランは気付いた。それがたまに来るレミリア達ではないことに――――







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