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第十一話 異変を起こす者

評価をありがとうございます。




 西行妖が解放された。




 その影響で幻想郷へ更に異変が起きてしまうと心配していたが、その様子は起きることがなかった。


「どういうこと? 西行妖はいるだけで全ての存在から精気を吸い取ってしまう筈……」


「そういえば、そんな能力だったわね。でも、そんな感じは全くしないわ」


「あぁ、同じく」


「……あの男が何かをしたということじゃない?」


「おそらく。七神集一と言う者はご妹様の能力さえもなんとかしていたと……」


 紫が知っている西行妖の能力は人間、幽霊、妖怪、神、それどころか無機物からも精気を奪える。しかも、西行妖には自我もなく本能だけで能力が発動し続けてしまう。

 だから、紫は危険視していて封印をしていたのだが…………


「うん、その能力についてはもう心配はないよ。既に取り除いて、別の能力に変えておいたから」


「え、と、取り除いた……? 変えた?」


「そう、そんな能力は危ないし。それに、西行妖も望んでいたからね」


 少女になった幽々子の姿をした西行妖は自分の能力を否定していた。何よりも自分の育て親でもある幽々子の父親の命を奪ってしまった能力をーーーー


「あー、えっと、西行妖はもう危険はないんだな? 能力を変えられるとかそんなことが出来るのかと疑問はあるが……」


「主人様に出来ないことはありませんわ! 主人様がもう危険はないと言っているのですから!」


 魔理沙からの疑問に対しては、集一の代わりにネヤが自慢するように西行妖には危険はないと言い放つ。




「それはわかったけど、なんで幽々子に似た姿をしているのよ?」




「……この身体は幽々子本人のだから」


「は? それってどういうーー「え! 幽々子様が二人いる!?」……妖夢?」


 白玉楼がある方向から妖夢の声が聞こえ、そこへ視線を向けると飛んでくる姿が3つあった。その姿は妖夢、輝夜、そして…………大きい幽々子だった。


「驚いた。輝夜から聞いていたけど本当に出来るなんて……。って、妖夢も聞いていたじゃない」


「で、でも聞くのと実際に見るのと違いますよ!? まさか、封印で使われていた幽々子様の死体を西行妖の器にすると言われてもすぐ信じることが出来ませんよ!?」


「幽々子の死体を!?」


 そう、妖夢が言ったように西行妖の器に幽々子の死体が使われている。側にいた輝夜が情報を付け加える。


「七神さんから聞いた話では、封印に使われていた死体は西行妖の霊力を浴び続けていたから器にするには丁度良いとか」


「その通り。西行妖の強大な霊力を収めるほどの器はそうないよ。勝手に死体を使ったのは悪かったけど西行妖を解放すれば、君達にも良いこともあるよ」


「良いこと……?」


 西行妖を解放するメリット。それらは集一達の仲間になった年長組である妹紅と輝夜が話し始めた。


「そりゃ、封印は完璧じゃなかったとこだな。今は大丈夫でも数百、数千年も経てば抑えきれたかも怪しいもんだな。西行妖は封印されても力は消えてなくならないし、抑えているのが幽々子の死体だけと言う状況。もし、幽々子の死体に何かがあれば、それまでだしな」


「解放して悪さをしようとする者がいないとは言えないですね。七神さん以外が解放しようとすれば幻想郷は間違いなく滅んでいた。良くても半壊していたでしょうね。今の西行妖なら能力を変えられているから安全になっているわ」


 二人の話を聞き、霊夢達は考えてみるとこちらにはメリットしかない話だと理解した。


「……すいませんが、西行妖の本体を私の死体に入れたのはわかりましたが、元の桜はどうなりますか? 満開に咲いているみたいですが……」


 幽々子が気になったのは、西行妖が離れた後の桜のことだ。今は満開に咲いているが、いつか枯れて消え去ってしまうんじゃないかと……


「あぁ、それも言っておかないとね。桜にも西行妖の霊力が結構残っているから、その霊力を悪用されないように新たな能力を付けておいたよ。簡単に言えば、『年中に満開で咲き続ける程度の能力』かな。数千年は枯れることはないけど、霊力も無限ではないから桜の状態を見て貴女達が少しの霊力を分け与えれる必要があるよ」


「そこまで考えて…………」


 桜は消えて無くなることもなく、ちゃんと管理をすれば年中に満開で咲き続けていられることにホッとしていた。

 それなら、幽々子にとってはハッピーエンドな展開であるがーーーー






「待ちなさい、まだ聞いてないことがあるわ。西行妖をこれからどうするつもりなの? 被害もなく解放されたのはいいけど、貴方達が悪用する可能性があるならこのまま見逃せないわ」






 霊夢はまだ集一達を怪しんでいた。何よりも、勘では西行妖の一件で終わるとは思えなかった。まだ何か目的があるとーーーー


「やはり、博麗霊夢が一番の障害になりそうだね。勿論、まだ僕達の目的は終わっていない。西行妖の力を借りて成し遂げたいことがあるよ」


「やっぱりね。話しなさい! 話さないなら弾幕で無理矢理に聞くまでよ」


「あははは、噂どおりに凶暴な巫女だね。でも、今回はここまでだよ。次の夜にまた動くよ、皆帰ろう」


 集一は錫杖を縦に割るように振り下ろすと、空間の割れ目が出来る。


「逃がす訳がないでしょ!」


 集一が輝夜へ視線を送ると、輝夜はすぐ理解して頷いた。


「任せて」


 仲間達が次々と空間の破れ目へ入っていく中で霊夢が止めに入るが、輝夜のラストワードである『蓬莱の樹海』を発動して、黒い虹色の弾幕で霊夢の行く道を阻む。ついでに魔理沙達も追わせないように弾幕を広げる。


「フラン! また行ってしまうの!? まだ何も話してないのに!」


「話なら次の夜に聞くよ〜。それまでには戦う覚悟を決めてね〜」


 レミリアがフランを呼び止めるが、少しの話をして破れ目へ入ってしまう。


「じゃあね。バイバイ」


「待ちなさいよ!」


 最後に輝夜が入って空間の破れ目が閉じる。閉じた後に霊夢は何もない空間を掴むだけだったーーーー







 

次回は明後日に投稿します。

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