恋愛教育と7人のヤンデレ研究部員
20XX年!日本は超少子化社会と化していた!
日本政府は様々方策を会議し、ある法案を可決した。
それこそが「恋愛教育」
小学校から高等学校までの新たな教科として恋愛を学び、恋愛の促進化を図る目的として作られた教育である!
そして、恋愛教育を実施している恋愛高校にある部活が存在していた。その名は───
「ヤンデレ研究部!」
プロローグ 【メンヘラ】
「ここが恋愛高校かー」
僕の名前は平良綿。今日からこの恋愛高校の高校生になる、ピカピカの高校一年生だ。
「どんな出会いが待っているんだろう楽しみだな」
「ドンッ」
「わわぁ」
突然誰かの肩と僕の肩がぶつかってしまった。
「だいじょうぶ・・・?ゲッ」
ぶつかってきた人はヤンキーっぽい年上の女性だった。一般的な高校生男子ならなんとも羨ましい状況だが僕としては最悪な状況だ。
僕には一つ大きな病を抱えている。それは「ヤンデレ症候群」通称ヤン症。
この病気の特徴は触れた異性と目が合ってしまった瞬間、ヤンデレとなってしまう。
原理は特にわからないが人が抱える情欲のエネルギーが捻じ曲がってしまう
恐ろしい病なのだ。
「いてぇなぁ、どこみてやが・・・トゥンク♡」
あ、やば目と目があっちゃった。
「お前、一年生?初めて見る顔だな?ちょっとウチと付き合えよ・・・なぁ、良いだろ?」
僕の首が彼女の腕によって捕まれ、彼女の胸に横顔が当たる
「わ、分かりましたから離してくださいー」
早く離れないと効果時間が長くなっちゃう・・・
そう、異性のヤンデレ化には制限時間がある。接触時間が短ければ短いほど、効果時間が短くなるが当然、相手はヤンデレ。拒めば死は免れない。
「アイア、またれい!」
突然野太い男が現れた。
「誰だてめー!」
「誰だとは失礼な!あなたと同じ同級生の小田牛ですぞ!あなたの「恋愛」授業の予備彼氏であるのに忘れるとはなんとも侮辱的な事でしょう!」
「しらねぇよ!てめーみたいなチー〇!さっさと消えな!。ウチはこの人と結婚するんだよ!そして子供は三人作って明るい家庭を作るんだ!だから邪魔すんな!〇ね!」
この病気の『ヤンデレ』とはある種の記憶改変と一方的な愛情表現しか行えない性格になってしまう事が特徴的である。
1・1であればほぼ無害のハッピーな関係ではあるが1・多の状況や邪魔な相手がいる場合はとても凶暴な性格に変貌するのだ。
「ほう・・・これがヤン症ですか、やるものですね」
突然その男が呟いた瞬間、彼の眼鏡は光輝き、口元がニチャっ・・という顔付きと化した
そして、次の瞬間──
「いいですか、そもそもヤンデレとは病んでいるながらもデレれている。それが語源です。その点に関してはあなたにはヤンデレという分類には当てはまっているでしょう!しかしながらあなたには足りないものがある!それは何か!そうそれは彼との思い出です!思い出がほぼ一秒なにも関わずいきなりデレと化す!それはかなり不自然です!最近のアニメのヒロインですらデレる理由を付け足していくにも関わらず!あなたはなんの前触れもなくいきなりデレた。まぁそれは100歩譲って一目ぼれだと解釈しましょう。しかし!ヤンデレのヤンの部分があまりにも単調的だ!いきなり凶暴的になり、襲い掛かろうとしている時点でもうそれはヤンデレではない!ただのサイコパスだ!近頃のヤンデレはあまりにも単調的なありきたりなハンコのようなパターン的な行動でしょう!いいですか!ヤンデレとは愛されたい・愛したいが基本です。そしてかつ人として最低限度の常識を持ち、その常識に葛藤していく事こそがヤンデレのあるべき姿ではないのでしょうか!そして、ヤンデレはいきなり危害を加えたりなんてしない!ヤンデレとは高尚的な存在だ!それをなんですがあなたは!速攻直接危害を加えようとしてくるなんてそれじゃあただのありきたりのパターンのハンコヤンデレだ。そんなのはヤンデレではない!ただの暴力系ヒロインそのものだ!あなたにはヤンデレの資格なんてない!即刻改名していただきたい、ちなみになんですがメタ的ヤンデレも最近は多くなりました。たまにならそんなヤンデレでもいいでしょう!しかし、あまりにも数が多い上にワンパターン的だ!だから最近のゲームやアニメにヤンデレが出てこないのですよ!ありきたりすぎな上にツンデレよりワンパターンだ!だから飽きられる!壊れた愛ほど奥深いにも関わらずそんなありきたりなヤンデレという属性に染め上げてしまったメディアやクリエイターが憎い!そもそもヤンデレというのは脚光を浴びる存在ではないのです。ヤンデレとは・・・(以下省略」
圧巻。
ただ圧巻の一言だった
「チッ!白けた!ウチ帰る!」
彼女のヤン症の症状が薄まったのか僕を引き離し、どこかへ行ってしまった。
「あのー」
「なんですかな?」
「小田先輩であってますか?」
「はい、あなたより一つ上のただのヤンデレ好きのオタクですぞ!」
「そうなんですね。それはともかく」
「ありがとうございます。助けてくれて」
「とんでもない、拙者はただ語っていただけ、大した事はしてないですぞ」
「突然で申し訳ないんですけどあなたの弟子にしてください!」
「で、弟子ですか。拙者はそんな素晴らしい人間ではなくもっと下卑たる存在ですぞ」
「あなたのような人になりたいんです!」
「ふーむ、仕方ないですね。では拙者が所属している部活動のヤンデレ研究部にあなたの推薦状を部長に送りましょう」
「本当ですか!」
「ですがその前に!あなたはこの研究部に入部して、何を目的とするのかお聞きしても?」
「そうですね。まだあやふやでそんな素晴らしい目的ではないんすけど良いですか?
「いやいや最初はみんな下らない事で始めるものです。ささ拙者にお教え願えますかな?」
「分かりました。僕の現状の目的は─」
『この病気を扱えるようになって女をとっかえひっかえしたいんです!』
「・・・は?」
そうこの男、平良綿は女をとっかえひっかえしたいだけの男子高校生。クズ男であったのだ!!
プロローグ 終了