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ほっとレモン  作者: こすもすさんど


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97/99

97話 いよいよ明日

 クリパは、文字通りのクリスマス――12月25日に開催される。

 その前日たるクリスマスイブは、最後の仕上げだ。

 放送機材やキャンプファイヤー、受付カウンター、景品や罰ゲームのスタンバイやら何やらを完了すれば、終了だ。


 あとは当日になって、それらを展開するだけ。


「色々あったけど、なんとかなったわね」


 スタンバイされたそれらを見通しつつ、夕莉は感慨深げにそういった。


「そうですね。体育館が使えなくなったと聞いた時、もうダメなんじゃないかって、思いましたけど」


 先程までキャンプファイヤーに必要な丸太や薪を大量に運んでいた白根さんも、夕莉の言葉に頷いている。


「なんだかんだ言って建て直しも間に合ったし、俺達が加勢する必要も無かったかもしれねぇな」


「でも良かったんじゃないかな。こういう、イベントの裏方に回ってみるっていうのもね」


 誠二はそう言っているが、昌磨も含めてこいつらがいなければこう上手くはいかなかった。


「誰がどうとか言うのは無粋だよ。みんながみんな、力を尽くそうって思っていたからこその結果だよ」


 大松先輩は相変わらず抑揚の無い口ぶりだが、その表情にはどことなく清々しさが垣間見える。


「鈴蘭の言う通りです。皆さんの諦めない気持ちが、今年のクリパを作り上げ、そしてそれは成功するに値する。前会長として、それを断言出来ます」


 津辻会長も最初は、今年はもう中止の方向に舵を切ろうとしていたらしいが、雫を始めとする俺達の"悪足掻き"を見て、その決断に待ったをかけてくれた。


 俺の傍には、雫がタブレット端末やメモ帳などを目に通している。


「よし。よし。よし。よし。これもよし。うんっ、これでよしッ!」


 メモ帳を閉じて、タブレット端末も肩に掛けて、雫は大きく頷いた。


「これで、全ての準備は完了!あとは明日を待つだけ!みんな、お疲れ様!」


 声を張り上げる雫に、全員が向き直る。


「本当に色々あったし、もうダメってことも何度もあった。でも、それでも私はクリパを諦めたくなくて、みんなも諦めないでいてくれた」


 だけど、と間を置く雫。


「これも全て、明日のため!だから、ありがとうって言うのはまだ早いんだけど、本当にありがとう!」


 ぶん、と勢いよく直立状態から45度ピッタリに腰を折る。


「さっ、明日に備えて、今日はここで自由解散とします!お疲れ様でしたー!」


 雫の号令に、全員が「お疲れ様でしたー」と返事をしたところで、解散だ。




 第二生徒会室の戸締まりをする雫に付き合う。

 もちろん一緒に帰るためだ。


「明日で、ここに来るのも最後なんだね」


 南京錠を掛ける前に、雫は第二生徒会室のドアを見つめる。


「また来年になったら来ることになるけどな」


「そうだけど、その時には次の新会長とか、新しい一年生も入ってくるじゃない。今のメンバー達で、ってこと」


「まぁその通りだが……」


「うぅんっ、感傷的になるのは明日でもいいよね!」


 雫は頭を振って、南京錠を掛けて戸締まりする。


「じゃぁ、帰ろっか」


「あぁ」


 雫に続いて俺も第二生徒会室を背にして歩き出すが、ほんの少しだけ振り返る。


 ……やっぱり来年も、ここの片付けから始めさせるんだろうか?

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