73話 迫りくる期末テスト
誠二と昌磨と言う新戦力が加わってからは、まさに一気呵成だ。
パワーが有り余っている誠二が力仕事担当に回ってくれるおかげで、俺や白根さんはそれ以外に手を付けることが出来るし、昌磨はどこで何をさせても卒なくこなせるオールラウンダーなので、大松先輩の補助に回ってもらっている。
この二人の活躍ぶりには雪乃も喜んでいるし、夕莉もクラスメートが相手なら遠慮せずに物が言える。
……まぁ、白根さんの怪力無双ぶりを見て、二人が啞然とするのは恒例みたいなもので、それを目の当たりにしても平然とナンパしにいく誠二はもはやさすがとしか。
しかしながら、これでどうにか、ようやく、あと一歩遅ければどうなっていたか分からない、デッドラインギリギリのところで、クリパの準備会は踏み留まることが出来た。
いや、それどころかかなりのハイペースで新体制が整いつつあった。
教師陣の方も、今年のクリパは中止だと思っていた方も多かったらしく、この立て直しぶりを見て考えを改める先生も何人かいてくれた。
いくら生徒会が頑張ったところで、PTAや理事会が「ダメ」と言ったらアウトだからなぁ。
……尤も、そんな判断を下すようなら津辻会長が黙っていないだろうけど。
そうして数日が過ぎて、12月に入った。
クリパまであと三週間少し。
だが、その前に俺達学生には大きな壁が待ち構えている。
そう、期末テストである。
さすがに学生の本分をそっちのけにしてまでクリパに力を入れさせるわけにはいかない、と言う先生方の真っ当な進言により、テスト期間とその勉強期間の一週間、合わせて十日間はクリパの準備は止められてしまう。
当然と言えば当然か。
だがまぁ、確か危ういラインではあるが、この十日間を空けても十分クリパ当日には間に合うはずだ。
問題があるとすれば、
「助けてください……」
その日の放課後、心底から困った顔をした白根さんが、2−1のクラスに助けを求めて来た。
「ど、どうしたの白根さん?何か困ったことが?」
何が起こったのかと、雪乃は慌てて駆け寄り、俺も夕莉も一歩遅れる。
白根さんが困るようなことだ、よっぽどのヤベー奴でも出てきたのか?
いやそれなら警察に連絡するべきか、と思い込んだところで、
「恥を承知でお願いします……テスト勉強、教えてください……」
「「「………………」」」
あー、そっちかぁ。
怪力無双と礼儀正しさを兼ね備えた白根さんだが、よもや勉強が苦手だったとは。
聞けば、二学期の中間テストではどれも赤点ギリギリ、運が良くなければ確実に補習を受けなければならないレベル。
確かにこれはまずい。
白根さんの進級の危機は当然だが、補習や追試でクリパの準備会を抜けられるのは避けたいところだ。
受験生でもある大松先輩や津辻会長の手を煩わせるわけにはいかず、同級生の友達も力を尽くしているのだが、それでも芳しくないらしい。
夕莉や誠二はともかく、俺と雪乃、昌磨の成績は安定しているので、白根さんの勉強を見てやるくらいの余裕はある。
今日の放課後は、テスト勉強だな。




