49話 バラエティ豊か過ぎるクリパ
「この資料に書かれていることが全部じゃないですけど、これらとは違う催し物を展開したい、と言うのが私の第一希望です」
雪乃の第一方針としては、過去に行った催し物の焼き直しのようなことはせずに、あくまでも新しいものを用意したいという。
「新しいものか……資料にあるだけでも、結構な数を出しているようだが」
俺は再度、資料の項目に目を通す。
……ってか本当に何でもありだな、もはやクリスマスパーティと言う題目の、ただの学園祭の延長じゃないか?
「肝試しとか水泳大会まで出していいなら……うーん、そうねぇ……」
夕莉も小首を傾げて悩んでいる。
「あ、これ面白そう。忍者屋敷だって」
大松先輩は、津辻会長に項目にある"忍者屋敷"を指しながら話しかける。
「体育館を改造したのでしょうね。そう言えば確か、過去のOBの先輩方は、『SAIZOU』を再現したとか言っていたような」
津辻会長の言う『SAIZOU』は、毎年春と秋とで二回行われる、アスレチック競技のことだ。TVでもよく放送されている。
あれを完全とは言えないが再現したのか、凄いな。
「よくよく見ると、バラエティ番組を踏襲したような催し物が多いですね」
白根さんが言うように、座布団の上に座って笑いを取る『笑天』などがもっともたる例だ。
おいちょっと待て、歌合戦ってなんだよ。一週間早くないか?
それから何十分か、あーでもないこーでもないどーでもないそーでもないと議論を交わしたものの、進捗らしい進捗にはならなかった。
「う〜ん、なかなか上手く決まらないね……」
雪乃は、好き放題書いたホワイトボードの前で、悩ましげな顔をする。
だがまぁ、一日で後先のことまで決められるわけじゃない。
まずは議題を挙げて、それに対して議論を交わす。
それが出来ただけでも収穫と言えるだろう。
「さて、下校時間も近いですから、そろそろ切り上げましょうか。雪乃さん」
津辻会長がそう言ったのを聞いて、「あっ、はい」と雪乃はみんなの前に向き直った。
「えーと、それでは、今日の準備会の会議を終わりま……」
「あっ、ちょっと待って雫!」
終わりますという時に、不意に夕莉が挙手した。
「どうしたの、夕莉?」
「準備会のメンバーってさ、まだ必要な感じなの?」
お?一体何をやらかすつもりだ、この幼馴染みは。
「え?うーんと……絵里香先輩の時と同じなら、人数はこれくらいだった、かな?」
「必要に応じて、手の空いている生徒を臨時で呼ぶ、ということもしていましたが、レギュラーで動ける人数は、雪乃さんを含めてちょうどこれくらいでしたね」
津辻会長が助け船を出す。
尤もこの人なら、一声掛けるだけで男子の二、三十人は喜んで奴隷になるだろうがな……。
「つまり、メンバーは大体揃ったってことですよね?」
夕莉は、雪乃と津辻会長の顔を見比べている。
それがどうかしたのかと誰かが聞くよりも先に。
「じゃぁさ、一回このメンバーで親睦会的なこと、しようよ!」
「親睦会?」
雪乃は頭にクエスチョンマークを浮かべている。
「そうそう。ようは今度の日曜日辺り、みんなで遊びに行こうって話」
……どうやらここでも、夕莉特有の『新しい人と仲良くなりたい症候群』が炸裂したらしい。




