46話 幼馴染み以上、夫婦未満?
間違って6日の12:00に設定してしまっていたようです。
毎日更新、失敗しました。
「椿ー、食欲は大丈夫?普通に食べれるなら、うどんでも作ろうと思ってるけど」
ふと、台所から夕莉が首だけ覗かせてきた。
「あぁ悪い。腹減ってるし、頼む」
「はいはーい」
俺の返事を確認するなり、夕莉は再び台所へ引っ込む。
うどんの材料なんて買い置きしていた覚えはないが、きっとここで作るつもりで買ってきてくれたんだろう。
ほんと、この幼馴染みには頭が上がらないな。
「むぅ……」
すると、雪乃が不満そうに頬を膨らませている。
「なんだ、雪乃もうどんが食べたかったのか?」
「あ、私も食べた……じゃなくて」
違ったか。じゃぁなんだ?っていうか食べたかったなら、夕莉にお願いすればいいものを。
「海石くんと言い、夕莉と言い、私の周りは料理が出来る人が多いなーって思っただけですぅ」
なんか前にも似たようなことを言ってたな……大松先輩が準備会に加入した日の昼休みだったか。
「夕莉はともかく、俺の料理の腕は正直、中学校の調理実習レベルだぞ?」
包丁で皮剝いて、細かく切って、沸騰し始めたお湯の中に放り込んで、一定時間煮込んだらスープの素を入れてもう少し煮込んだら完成……ほどじゃないが、そこまで大差ないと思う。
「私の中学時代の調理実習は、味見役と後片付け担当でした……」
「……雪乃って、刃物を手にすると性格変わるタイプか?」
こう、刺しつ刺されつなお昼のドラマとかにいそうなアレだ。
「そんな危ない人じゃないよ!?」
「ナポリタンを作っていたら、いつの間にか自分の指が皿の上に……」
「やめてー!私がやったらほんとにそうなりそうだからやめてぇー!」
……雪乃の不器用っぷりは致命的だな。どうやって生徒会長になったんだ。
「雫ー、遊びに来ただけなら帰んなさーい。一応、仮にも、まかり間違っても、お見舞いに来たんでしょー?」
テープを回すかのように大根の皮を剥いている夕莉。同じ包丁のはずなのにその手際の良さは何なんだ、プロか?
夕莉お手製のうどんは、大根や白菜、青ネギたっぷりの上から、薄くスライスされたかまぼこが小綺麗に並ぶ、見るからに美味しそうな、うどん屋に並んていても不自然じゃない出来だ。
否応なく食欲を刺激するので、遠慮なくいただきます。
薄味で、麺も野菜も柔らかめだ。今の俺の体調状態や心情的ニーズを把握してなければ、こうは作れない。
「パーフェクトだ」
「何言ってるの?」
率直な感想をこぼしたら、夕莉に「こいつ頭大丈夫か?」みたいな顔をされた。
「何でもない。……ずずっ、あふっ」
麺を啜ったらちょっと熱かった。
「薬はこれね?えーと、食後に……」
夕莉は錠剤の種類や用法用量を確認しては、小皿にそれらを押し出している。
そんな様子を見ていた、雪乃はと言えば。
「なんか、幼馴染みって言うか……"夫婦"みたいだよね」
そんなことを言い出した。
「はっ!?なっ、ばっ、ちょマっ!?」
はなばちょまってなんだ夕莉。
「ふ、夫婦だったら一緒に住んでるじゃないのっ!そそそりゃあたしは椿の幼馴染みですからっ?今は何してほしいとか知ってて当然ですしっ?そんなの、ふ、ふ、夫婦じゃなくても分かるというかねっ!?」
「夕莉が照れてる、かわいい♪」
「しーずーくー!?」
俺の目の前できゃんきゃん騒ぎ合う二人。
藪蛇突きそうだし、俺は黙ってうどん食べておこう。ずるずる。




