32話 白根さんの主食はプロテインらしい……
白根さん共々昼休憩を言い渡された俺は、鞄から財布を取り出した。
今日は弁当を持ってきていないので、どこか近くで外食か、食べ物を買ってくるつもりだ。
ちょうどここの近くに大手チェーンのバーガーショップがあったので、そこにするか。
「あの、海石先輩」
ふと、白根さんも鞄を片手に声を掛けてきた。
「ん、どうした白根さん」
「先輩も、お外で食べるのですか?」
「そのつもりだな」
「でしたら、ご一緒してもいいでしょうか?」
「そうするか。ここの近くにバーガー屋があったから、そこでもいいか?」
「はい、そこでお願いします」
というわけで、担当者さんに一言断ってから、二人で一度店の外へ出る。
昼時なので混んでいるかもしれなかったが、ちょうどこれから混み始めようかと言うタイミングだったので、それほど待たずにオーダーすることが出来た。
手早くセットメニューを注文し、無くなる前に座席を確保。
他の利用客のためにも、二人用の席を取り、早速いただきます。
「……何というか、意外だな」
俺は、白根さんの手元にあるセットを見て、そう呟いた。
「意外、ですか?」
白根さんは目を丸くして小首をかしげる。
「いや、俺の勝手な想像なんだが。白根さんってもっと食べるものとばかり」
彼女のトレーには、プレーンなハンバーガーにSサイズのポテトと、紙パックの野菜ジュースだけと言う、こぢんまりとしたものだった。
あれほど腕力の持ち主なんだ、それだけの筋骨を構成するには並の食事量では生み出せないだろう。
それを聞いて白根さんは「あぁ」と得心したように頷いた。
「普段はもう少し食べるのですけど、この類のジャンクフードは、滅多に食べないので……それに、あまり栄養が取れる食事とは言えませんし」
白根さんの言うように、昨今のバーガーショップでも野菜多めのヘルシーなメニューも多いが、実際はほとんど栄養素が含まれていないとも聞いたことがある。
安価でボリュームのある食事を提供するタイプのフードショップだからな、安物とまでは言わないが、コストを抑えた食品を選んでいるのは間違いないだろう。
「健康に気を遣っているんだな……なら、ここじゃなくて他の店が良かったか?」
「いえ、この近辺にはあまり詳しくありませんし、ひとまずはこれで凌ぎます」
なので、と白根さんは鞄に手を突っ込み、ソレを取り出した。
「今日はプロテインを少し多めに摂取しようと思います」
ドゴォン、と言う重低音が聞こえそうな、ハンマーみたいにバカでかいプロテインの缶を取り出した。
周囲のお客も何事かと彼女のプロテイン缶 (特大)を凝視している。
「お、おぉぅ……そ、ぉか」
あかん、この子本物の筋肉お化けや……
「主食はプロテインです」とか普段から言っているかもしれない。




