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【休載中】天罰のメソッド〜処刑天使。ひきこもりの少年に恋をする〜  作者: 結乃拓也
第二部 【 紫惑の懺悔編 】
97/234

第90話 『 聖大天使との再会 』

気付いたら90話でした。。。

というこで登場人物紹介~


宮地颯太 本作主人公。復学するも時間が経つ毎にその日々が穏やかではなくなっている高校生。

アリシア 本作メインヒロイン。天使か人か。ソウタが早く帰ってくるのを心待ちにしている少女。

アムネト 天界の階位で二番目に高い【聖大天使】に位置する天使。終章にて再び登場ですッ

神払聖羅 颯太のクラスに転校してきた、美女だが。その正体は、、、

優良三津奈 颯太のお姉ちゃんでありアリシアの姉貴分。二人の恋路を邪魔するものは何人たりとも許さない主義。


【 side颯太 】


 ―― 3 ――


「散々な目にあった……」


 疲労困憊といった感じで、颯太は大仰にため息を吐いた。

 あの後、聖羅との関係性をクラスメイトに問い詰められ、必死に〝友達〟だと弁明した。が、聖羅がその度に邪魔をしてきて、結局は付き合っているのではと疑われたまま午後を過ごすことなった。


「なんで俺とあいつが付き合わなきゃならないんだ。どう考えても不釣り合いだろ」


 かたや周囲が羨望するほどの美貌と賢才を持つ者、かたやどこにでもいる普通の男子高校生。全国優勝者という肩書も中学生の頃の勲章などで、高校生活で胸を張れるのはせいぜいインターハイ出場くらいだ。それ以外は、とりわけ目立つ特徴はない。

 だから男子、女子ともどもに〝お似合いなのに〟と言われた時はひどく顔を顰めた。


 ――まぁ、それを言ったら俺とアリシアも不釣り合いだけどな。


 天使級に可愛いアリシアと、平々凡々な自分。

 天使級に優しい性格の持ち主と、アリシア以外には基本塩対応なひねくれた性格の自分。

 天秤なら傾くくらいに不釣り合いで、けれど、不思議とそのアンバランスが颯太は嫌いじゃなかった。

時々、その天使は何よりも颯太を優先してくれて、誰よりも格好いいと褒めてくれる。

 二人の天秤は、ぐらぐらと揺れる。どちらか一方に傾き続けるという事は決してない。

 自分とアリシアは、これでいいと思うのだ。天秤がぐらぐらと揺れるのは、互いが互いを想い合っているからこそ生まれる揺れなのだ。

 聖羅と颯太の天秤はこうはならない。仮に、周囲が思うような恋人関係になったとしても、恐らく天秤は聖羅の方に傾き続ける。


「とにかく、この誤解はなるべく早く解けてほしいな」


 これがずるずると続けば、今後、颯太の学校生活が絶対に穏やかではなくなる。学校では穏やかに、家でも恋人とまったりゆったり過ごしたいのだ。

 朋絵と陸人だけは、ほとぼりが冷めるまで待つしかないね、と励ましてくれたが、彼らも聖羅を名前で呼び始めたことに不信感は募らせているようだった。


「朋絵にはあとで電話して経緯を伝えないとな」


 現状、颯太が最も頼れる友達は朋絵だ。彼女の誤解を解くのが最優先にしたほうがいい。

恋愛のことも含めて相談に乗ってもらう機会が多くなって、本当に頭が上がらなくなってくる。


「はぁ。先が思いやれる」


 復学してもう一カ月が過ぎたが、穏やかだった日々は何処へやら。日を追うごとに、疲労が溜まっていってる気がする。主に精神的疲労が。

 そうなっているのも、あの紫髪の少女が転校してからで――。


「いや、そもそもあいつに気に入られるような事をした俺が駄目だったのか」


 聖羅が悪の根源だと声に出す寸前に、颯太はこれが自身の招いた結果なのだと奥歯を噛んだ。

 聖羅と一緒に居る機会が多くなったのは、彼女との時間を僅かでも大切にしようと思ったのは、紛れもなく自分が手に取り続けた選択肢の結果なのだ。アリシアが一番大切と周囲に宣言しておきながらこの始末。本当に、恋人として情けない愚行を続けていた。


「何が、線は引いてるだ。全然引けてねえじゃねえか」


 聖羅との距離感の線引きは、いつの間にかクラスメイトが勘違いを引き起こすまで縮まっていた。こんな事になるならば、昔の溝を作っていた自分のほうがマシだった。そう嘲笑してしまう。


「俺はアリシアの為に、これからどうすればいいんだ……」


 聖羅とは部活で約束を交わしてしまった以上、彼女が成長するまではマネージャーとして見届けなければならない。それに、今いきなり退部したところで、周囲に多大な迷惑が及ぶことは今の冷静でない頭でも理解できる。

 それに都合上、聖羅との関係も悪化させることはできない。現状、聖羅が颯太の練習メニューに素直に従ってくれているのは、颯太が聖羅の〝お気に入り〟だからだ。聖羅は来年、間違いなく活躍する。期待を背負い、それを背負う度胸も気概もある。ただ唯一、彼女が陸上部に入部するときに提示した条件、【颯太も入部】することを颯太が反故した場合、彼女も部活を辞める気がしてならなかった。聖羅はまだ、陸上に執着は抱いていないからだ。

 颯太の問題の根本。それは間違いなく神払聖羅という怪物の存在だった。彼女が自分の手には余る怪物だと、颯太は今になってようやく思い知らされる。


「はぁ…………」


 また、何度目かのため息。ため息を吐いた分だけ幸せが逃げるというが、本当にそんな気がした。気力が体から抜けていく。

 とぼとぼ、と普段なら既に上り切っているであろう坂道をまだ上り続けている颯太。

 靴元を見ながら進む視界に――ふと、ひらり、と白い何かが横切った。


「ん?」


 つい気になってそれを目で追えば、まだそれは宙を舞っていた。風が吹けばひらり、ひらりと舞って、だから颯太の目線も自然に上がった。


「――あ」


 夕日に朱く染まる家路。そこに、場違いな格好をしている人物がきょろきょろと不自然に顔を動かしていた。

 背中に垂れる長い緑の髪。金のラインが入った、貴族のような豪奢で派手な服。以前相まみえた時はその手に水晶を嵌めこんだ杖を持っていたが、今日は装備していなかった。

 その人物は、颯太にとっては浅からぬ因縁の相手――否、天使だった。


「アムネト」


 颯太の呼び声に、天使は反応した。

 彼にとっても颯太は因縁深い相手であるので、この偶然の再会に、天使・アムネトはその美しい顔を複雑な心情で歪めながら、


「ミヤジ・ソウタ……ッ」


 そう、刺々しく名前を呼ばれたのだった。


   ***********************************


 聖大天使・アムネト。

 彼は本来であれば、天界で今日も今日とて神の使いとして責務に努めているはずなのだが、理由は不明だが地球に来日していた。


「――何しに来た」


 警戒心を強くし、颯太は身構える。宮地家周辺をうろうろしていたとなれば、アムネトが地球こちらへ来た理由はたった一つしかない。――アリシアだ。

 もし、またアリシアを連れ去れるようであれば、今度こそ絶対に渡しはしない。そう強く拳を握った時だった。

 アムネトは臨戦態勢の颯太は見て、吐息した。


「貴様は何を警戒しているのだ」

「お前が、用もないのに地球に来る訳ないからだ」

「なるほどな……」


 頬を固くしながらそう答えれば、アムネトは颯太の言い分に理解したように目を伏せた。


「貴様の推測は正しいよ。が、同時に間違いがある」

「あ?」


 アムネトに言葉に今度は颯太が眉根を寄せた。


「何が間違ってるんだよ」

「お前が思っていることだよ」

「言ってる意味が理解できないんだけど……」


 まるで謎々でも試されているかのようで、颯太は首を傾げた。そんな颯太に天使はやれやれといった風に嘆息すると、


「貴様はどうせ、私がアリシア様を連れ戻しにでも来たと思っているのだろう。それを間違いだと言ったのだ」

「ならそれを早く言えよ」


 貴様の思惑など容易いわ、そう答えたアムネトに颯太は臨戦態勢を解いた。

 それから彼の元まで距離を詰めれば、


「久しぶりだな。アムネト」

「――握手はせんぞ」

「何でだよ」

「私は貴様を認めたつもりもないし、警戒を解くつもりもない。それに、天使と人が直接交わることなどあってはならないからな」

「硬いな」

「それが天界の法だ」


 天界の法、と言葉にするアムネトに、颯太は差し出した手が止まった。

 天使が従順する、決して叛くことのない天界の法。かつてアリシアが魂を救うべく背いた、神様の呪縛。


「どうやらその様子だと、アリシア様が犯した罪を知ったようだな」

「なんでそんな事が分かるんだよ」


 一瞬手が止まっただけで、まるで颯太の思考を覗いたかのように言い当てたアムネトに驚愕と恐怖を覚えた。これが、聖大天使の力なのか。


「ふん。私を甘く見るな」

「恐れ入りましたよアムネト様」


 降参するように両手を上げれば、アムネトは険のある空気をいくらか抑えてくれた。どうやら、颯太のこれまでの態度に不満があったようだ。表現は悪いがアリシアを奪ったのも颯太なので、それも含めてアムネトはやはり颯太に敵対心を抱いているらしい。

 以前よりかは話しやすくなっただけでも、かなり譲歩してくれているようだ。


「それで、どうしてアムネトがこんな所にいるんだ? さっきも言ったけど、用がないのに地球こっちに来たわけじゃないんだろ」


 とりあえず話を始めに戻して、颯太は先に生じた疑問を改めて問いかける。

 その問いかけにアムネトはフンッ、と鼻を鳴らすと、


「アリシア様の、定期観察だよ」

「は?」


 一瞬、何を言われたのか理解できず固まっていると、アムネトが「だからっ」と声を張った。


「アリシア様の定期観察だッ! 二度も言わせるな」

「それはごめんとしか謝りようがないんだけど、え、アリシアの定期観察?」


 まだ上手く飲み込めていない颯太は、アムネトの言葉を復唱しながらどうにか理解しようとした。


「ええと、それってつまり、アリシアが人間の生活に慣れてるか、様子見に来てるってことでいいのかな」


 颯太なりに解釈してアムネトに伝えれば、彼は何故か不服気に顔を顰めた。


「なぜそんな過保護のような真似をしなければならんのだ。……まぁ、私個人でいえばそれも含まれるが、これは天帝様からの指示だよ」

「天帝様が?」


 思わぬ人――あの存在を人物といっていいかは微妙だが、颯太もお世話になった者の名が挙がって目を瞬かせた。

 きょとん、とする颯太にアムネトはそうだ、と頷けば、


「アリシア様が地球で暴走しないか、それを見張るよう指示されたのだ」

「暴走って……なんだよそれ」


 不穏な単語がアムネトの口から聞こえて、颯太は絶句した。

 驚愕に生唾を飲み込む颯太に、アムネトは顔を傾ければ、


「言葉通りの意味だ。今のアリシア様は暴走する可能性がある。――アリシア様はまだ、完全には‶人間〟になられていない」

「――――」


 唐突に告げられた真実に、心臓がドクンと跳ね上がった。


 ―― Fin ――



聖大天使と少年。再び相まみえる――。

土曜日と日曜日は自分が在籍している専門校で卒業制作展がありますが、いつも通り更新します!

アムネトとの話はだいたい4話くらいですので、今日と土曜日の3話分投稿はアムネト様尽くしになります。個人的には3話じゃなくて2話更新がいいけど、キリがいいのでアムネトパートは明日で終わらせます。

ということで土日も天メソ! 毎日天メソじゃ―――――ッ!!

コメント、ブックマーク、ポイントなどなど、応援のほどよしくおねがい島耕作。


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