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【休載中】天罰のメソッド〜処刑天使。ひきこもりの少年に恋をする〜  作者: 結乃拓也
第二部 【 紫惑の懺悔編 】
94/234

第87話(裏) 『 露わになる本性 』

今回は前回87話の裏側。つまり表と裏のハッピーセットです。内容全然ハッピーじゃねえけど

【 side―― 】


急遽解散することとなり、聖羅はあてもなくデパートをふらついていた。


「ねぇねぇ。そこのお嬢ちゃん」

「――――」


 一人の男性が下心をふんだん含んだ笑みで近づいてきて、聖羅はそれを無視しながら進む。


「ねぇ、無視は酷くない?」

「急いでるので」

「でも一人だよね? どっか行く予定なら俺も一緒に付いて行っていいですかー」

「…………」


 自分を遠くから見るだけ見て去っていく連中ならまだマシだが、時々自分の容姿になぜか妙に自信があるからといって口説きに掛かる下賤な男がいるのが聖羅は不思議でならなかった。


「おーい。だから無視は酷いじゃん。俺と一緒に遊ぼ……」

「触るな下衆。不快だ」


 無粋にも触れようとした手を強く拒絶すれば、男はその顔に怒りを染める。誘いを断られた羞恥もあったのだろう。男の顔は茹った蛸のようだった。


「おい、てめぇ。さっきから偉そうな態度ってるけどナメてんじゃねえぞ」

「貴方こそ、道理と作法を弁えるべきね。自分の容姿に自信があるようだけど、私には不細工が小洒落た格好をして威厳をみせようとしてるようにしか見えないわ」


 つらつらと男がいかに陳腐かを告げれば、男の顔はすでに沸点を超えていて噴き出る火山のように怒りが煮えたぎっていた。そういうところが小さいのだ。


「そういうところが小さいのよ、外見だけでなく中身まで矮小ね」

「ひっ」


 内心で思ったことを留めず吐き出せば、男は怒りを通り越して委縮してしまった。どうやら、気取った態度まで虚勢だったようだ。


「本当につまらない人間。さっさと消えて。目障り」


 容赦なく、聖羅は男に罵声を浴びせる。これは警告というよりもはや蹂躙であり、男は聖羅の鋭い視線に耐え切れず涙を流しながら去っていく。


「はぁ。本当に不快だわ。これは後で、ソウタくんにしっかり私に付き合ってもらわないと」


 脳裏に思い浮かべるのは聖羅にとって最高の愛玩具である黒髪の少年。先の下衆とは比べるまでもない程に、魅力的な男の子だ。

 聖羅の美貌に靡くことなく、聖羅を一人の人間として見る、聖羅の唯一のお友達。

 沸々と、聖羅の胸中に何かが溢れていく。


 ――あぁ、堪らないわ。この感覚。


 誰から何かを奪う感覚というのは、やはり最高だ。何かが決定的に音を立てて崩れる音は、聖羅にとって史上の悦楽だった。


「ソウタくんは私のものよ。アリシアさん。アハッ」


 颯太の隣には、まだ彼にとっての天使が並んでいる。その隣を少しずつ、慎重に、丁寧に、時間を掛けて、引きずり落とす。

 タッ、タッ、と靴音は人気のないデパートの路地に入った。


「ふふ、ふふふ」


聖羅は壁に背を預けながら、込み上がる衝動を抑えきれず笑みを溢す。


 ――あぁ、なんて楽しいのだろう。――の人生を蹴落とす時間は。


 聖羅にとっては、今日の出来事は嬉しい誤算だった。


「でも意外。こんなに早く会うとは。私も予想外だったわ」


 颯太の恋人と出会うのはもう少し後になってからとばかり思っていたが、たまには神様も良い仕事をするらしい。


「嬉しいわ。私の思い通りに事が動くのって」


 堪らない。湧き上がるどす黒い感情が、歓喜となって溢れてくる。

 ずっと、ずぅっと。聖羅は待ち望んでいた。この瞬間を。――否、そこで笑う黒い影は、聖羅ではない。

 神払聖羅という名前だけと容姿をした、別の何かだ。

 人であって、人ではない。神よって誕生した、この世界には本来いるはずのない存在。

 それが望むのは、崩壊の音。

 その崩壊の音を飛び切りの快音にしてくれる人物は、やはり、思った通り彼の隣にいて――


「やぁっと見つけた」


 ふふふ。ふふふ、少女(天使)の嗤う声が、木霊する。

 紫の少女(天使)のどす黒い一面。それが白銀の天使との邂逅を経て――ついに本性を現したのだった。


 ―― Fin ――


第三怒涛の展開! これが天メソクオリティ! 結乃節じゃーーー!

ついに、神払聖羅の正体が判明! なんとその正体は天使だった! 

と作者は驚いてみたりしてますが、読者様は既に感付いていながら物語を見ていたと思います。すいませんね! 伏線散りばめるのが下手で! 

ここからは解説含むネタバレになっていきますので、今話が面白かった、良かった方は「いいね」を押してブラウザバックしてくださいまし。

そして、ここでブラウザバックする皆さまへ、次話より天罰のメソッド第2部 【紫惑の懺悔編】は終章へと突入します! アリシアと颯太。恋人となった二人の結末を乞うご期待ください!

それでは次回、終章【 アナタの隣で描く未来―― 】 をお楽しみください!

ここから解説に入りま~す↓↓↓

聖羅が転校してから作者なりに工夫を凝らして聖羅が天使だよー、という伏線は入れていたのですが、読者の皆様はお気づきなられたでしょうか。

一番分かりやすい例は、聖羅が颯太を呼ぶ時、台詞部分がカタカナ表記になっているとこですね!

なんで聖羅の箇所のソウタはカタカナ表記なんだろう? と思った方はここでなるほど! と思ってくれたら作者はしてやったりです!

さらに、このデパート回の下りの一つであった、牛丼を聖羅が知らない素振り。あれはお嬢様だからではなく、天使だったから知らなかったんです。

こんな感じで、物語では聖羅が天使だったという伏線を散りばめていますので、気になる方は是非もう一度読み返してみたりしてください。

第87話にてついに聖羅の正体が天使だと判明し、アリシアも颯太が危惧する゛天使〟から゛人〟へと変化してまいました。

紫惑、白欲。ついに交わり、そして第2部は終章へ突入!!

その最後の舞台を飾るのは――文化祭!

学校といえば文化祭! 秋といえば文化祭! この第2部終章を飾るのに相応しいのが文化祭!

天メソ、第2部も完結マジかだ――!

天使・聖羅の思惑を、果たして颯太とアリシアは乗り越えられるか。

試される絆のその先にある未来は――。

読者の皆様、終章も応援のほど宜しくお願いします!!

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