第79話 『 キミは頼れる存在 』
午前0時勢の皆さん! お待たせしました! 久しぶりに日付変更直後の更新です!
最終プレゼンが無事にひと段落し、前話も更新したことだし今日は仮眠してから次話書こうと思っていた所、なんか眠くなくなってきて気づいたら原稿進めてました!
それでは今話をお楽しみください。
【 side颯太 】
―― 12 ――
中間考査も来週に控え、部活風景は妙な緊張感と解放感に包まれていた。
「お前、今回のテスト大丈夫なの?」
「大丈夫な訳ねぇだろ! テスト範囲どこだっけ⁉」
「お前が赤点取って怒られるところ見たいから教えないわ」
「畜生どもがぁ~⁉」
慌てふためく陸人に、他の部員たちが腹を抱えて笑っているのを、颯太は外周ジョッグをしながら失笑していた。
――まぁ、自業自得だな。
普段から散々勉強しろと言っているのにしないツケが本人に回ってきているだけなので、颯太にはどうしようもない。後で朋絵と一緒になって泣きつかれる未来に肩を落としていると、
「私と一緒に走ってるのに、何考えてるんですか?」
そう不服気に喉を鳴らすのは、隣で並走する聖羅だった。
紫のポニーテールを揺らす少女の不満に颯太はハッと鼻で笑って一蹴して、
「テストの事だよ。例の問題児がまたやらかしたらしくて、後で泣きつかれるのに今から呆れたとこ」
「ソウタくんはお節介というか世話焼きというか……それで自分の勉強が疎かになってしまっては元も子もありませんよ」
「俺の方は問題ない。三年の夏の部分まではもう予習し終えてるから。あとはテスト範囲の確認くらいだ」
「さらりと凄いことを……」
不登校中に有り余った時間を有効活用しただけだが、それを皆から感嘆されるから不思議だ。もっとも、聖羅は颯太不登校だったことを知らないので驚くのは無理もないかと遅れて理解する。
「という訳で俺は大丈夫。神払は?」
「私も問題ないですよ」
外周ジョック、と言っても聖羅の足の調子を取り戻す程度のスピードなので、ペースはジョギングに近い。吐く息こそ深いが、互いにまだまだ余裕だ。
「へぇ、意外。転校してきたばかりだから、学習範囲とかもっとズレてるのかと思ったけど」
「……たまたま、以前いた学校と、この学校の学習範囲が近かったので」
「そっか。それなら神払としてもラッキーだったんじゃないか」
「はい。ラッキーでした」
「?」
何か違和感を覚えながらも、颯太は気のせいだとすぐに胸中に生じたそれを払う。
それから、
「ま、神払は頭良いし、赤点取るなんてことないだろ。授業もちゃんと受けてるみたいだし」
「あら、ソウタくんの席からだと私は見えないはずでは」
好機、とばかりに揶揄う雰囲気を醸し出した聖羅に、颯太は深々と溜息を溢す。
「あのなぁ、プリント配る時とか、課題提出するときとか、確認できる瞬間なんていくらでもあるだろ」
「なーんだ。てっきり、授業中に私のこと見てるのかと思った」
「そしたらその時点でお前に気付かれるし、そもそも俺は前でうたた寝してる奴と隣で意識落としそうになってる奴を構ってるからそんな余裕ないんだよ」
「……あぁ」
颯太が声の調子を落として言えば、聖羅は何かを察したように頬を引きずらせた。どうやら、颯太の奮闘を聖羅は時々見ていたようだ。
「あいつら、成績が良くないくせに、なんであんな暢気に寝れるんだか」
「倉科くんはともかく、三崎さんは頑張って起きてようとしてますけどね」
「終了五分前には落ちるけどな」
「ご、五分なら殆ど授業終わってるから……」
転校生にまで心配される二人に落胆しつつ、颯太は眉間に皺を寄せた。
「はぁ。またあいつらの勉強を教えることになるのか」
「嫌なんですか?」
「嫌というより気が進まない。朋絵は教えればできるけど、俺と居るとなぜか集中してくれなくて。陸人の方は、最初はしっかり勉強するんだけど、時間が立つと飽きて教えた箇所を平気で忘れる。正直、あれが一番腹が立つ」
「あ、あはは……苦労人ですね、ソウタくんは」
「全くだ。はぁ」
分からないというから人が時間を削って教えているというのに、それを無下にする陸人の行いに何度頭の血管が千切れそうになったか覚えていない。それが近いうちにまた繰り返されるので、今回はハリセンでも用意しておこうかと本気で思惟していると、
「ソウタくんは色んな人から頼られてるんですね」
羨望のような眼差しを向ける聖羅に、颯太はまさかと苦笑した。
「俺は、お前の想ってるほど頼りになる奴じゃないよ。今はそうなれるように頑張ってるけど、昔は今みたく、話しかけるなオーラ出してたからな」
心の壁を意識して人と接していれば、人は自然と近づいてこないものだ。用がある時だけ、他者は颯太に話しかけてきた。
「それに、俺は人と話すのあんま好きじゃないんだよな」
「分かる。ソウタくんは少し、人とコミュニケーションを取るのが不足していると思いますね。……特に女性に対して」
「あ? 最後なんて言った?」
「なんでもありません。ともかく、もう少し対話能力を身に着けるべきですよ」
「自覚してるからあんま言わないでくれ」
聖羅も思うとこがあるのか、神妙な顔で頷いていた。これでもいつまで経っても弟離れが出来ない姉とおしゃべりな天使のおかげでいくらかコミュケーション能力は成長した気がするが、やはり人はすぐには変わることはないようだ。
聖羅の何か言いたげな瞳を向けられながら、颯太は咳払いして続けた。
「ともかく、俺は今でこそ色んな人から声を掛けてもらえるようになったけど、だからといってお前が羨むくらい頼られてはないってこと」
「分かりました。じゃあ、ソウタくんがあまり人から頼られていないなら、私もっとはソウタくんを頼っていい、ってことですよね」
「なぜそんな結論に至ったのか理解に苦しむけど、そうだな……可能な範囲で、なるべく面倒じゃなくて……不快にならない相談なら聞くよ」
「手間が掛からない事とさらりと揶揄うことへの対処法を混ぜた素晴らしい回答ね」
「それほどでもないぞ」
「それほどでもありますよ~」
ハハ、と乾いた笑みに、アハハ、と乾いた笑みで返された。
それから半周程表情を変えずに走れば、ふぅ、と颯太が吐息して言った。
「ま、要するに勉強の相談とか練習のことの相談には喜んで聞くから、そこら辺は神払も気兼ねなく相談しに来てくれ」
「分かりました。一割くらいスパイスを効かせて相談しますね」
「やっぱ何も訊かない」
「あ! 冗談ですよ、冗談⁉ ……あ、待って下さいよソウタくん⁉」
往生際が悪い小悪魔に、颯太は諦念したように足の回転速度を少し上げた。その後を慌ててついて来る聖羅が、涙目で泣き叫び続けるのを、颯太は鼻歌交じりに聞いていたのだった。
「怪我人を置いていくなんて、この悪魔~~⁉」
―― Fin ――
今話もご拝読いただきありがとうございます!
そして第2部第3章『 紫惑、白欲――交わりて 』も折り返し地点です!
現在の関係図を改めて説明すると、ざっとこんな感じです↓
颯太→アリシアの恋人として立派でいる為、自分を認め、他人に頼られる努力している。
アリシア→天界で犯した罪を受け入れ、人として成長を果たす。『欲求』に素直になる。
神払聖羅→颯太と良い感じになる。(恋心かは不明)
朋絵→颯太とアリシアの成長を友達として見守ることができるようになる。
陸人→朋絵に意識してもらえるように頑張っている。
みつ姉→颯太とアリシアを応援している。
だいたいこんな感じになります。
今のところ、【聖羅と颯太】そして【颯太とアリシア】が関係性は違えど距離が縮まっていますね。
聖羅と颯太は友達であり部活の仲間として、
アリシアと颯太は恋人としてさらに強い絆を結びました。
さぁ、ここから天罰のメソッド第2部も後半戦! 読者の皆様のご期待に応えられるよう、そして第2部の終わりに圧巻だった言われるよう、引き続き精進してまいます!!
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