第74話 『 お疲れ様のぎゅー 』
刮目せよ! これが正妻だ!!
作者は血の涙を流しながら書きました!
羨ましいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃ!!!!
ティッシュ鼻に詰める用意はできているか?
【 side颯太 】
―― 7 ――
「今日は随分とお疲れですね」
夕食後。リビングでまったりしていると、食器洗いを終えたアリシアがひょこっ、と顔を出してそう言った。
可愛い顔に無意識に頬が緩みながら、颯太は欠伸を噛み殺して、
「うん。今日はちょっと、いつもより正気を持ってかれた」
「なんですかその悪魔みたいな所業は⁉ ソウタさん学校に行ってるだけですよね⁉」
アリシアの言及に鋭いなと苦笑しつつ、颯太は大麻を持ってこようとするアリシアを引き止めた。
「アリシアや。ちょっと落ち着いて。別に取り憑かれてないから」
「本当ですか? 顔色良くないですよ。隈が出来てしまってますし」
「それはただの寝不足」
間近で覗き込むアリシアに颯太はされるがままだ。くねくねと頬を弄られたり、瞼を抉じ開けられたりされているが、これが不快でないのが心底不思議だった。きっと、アリシアが献身的に診てくれているからだろう。
「満足した?」
「満足って……ソウタさんの体が不調かどうか調べてただけですよ?」
困ったように微笑むアリシアに、颯太は「そうだ」と妙案を思いつく。
「それでどうでしたかお医者さん。俺の体、どこか悪い所ありましたか」
「……っ! はい。とても深刻な問題が見つかってしまいました」
颯太の意図を察してか、将又これを面白いと思ったのか、アリシアも上機嫌に乗って来た。
「なんだって⁉」
と露骨に驚いてみると、アリシアは愛らしくも深刻な表情を浮かべて告げた。
「ミヤジソウタさん。あなたの病気は……」
と病名を告げることを溜めるアリシアに、颯太はごくりと生唾を呑み込んでまった。
そして、アリシアは指し指を上げると、
「ずばり、疲労です!」
薄い胸を張って告げるアリシア。その自信満々な顔に颯太は悶々としながらも、下手な芝居を続けた。
「そんな! 俺はいったいどうなってしまうんですか⁉」
「まだ終わらないんですか⁉ ……ええと、そうだ! このまま疲労が溜まってしまうと、あなたはいずれ死んでしまいます!」
「いきなりバイオレンス⁉ 先生、死にたくありません!」
疲労が溜まったところで突然死を迎えることはないだろうが、それでもアリシアの台詞に合わせて颯太は懇願したように両手を握った。
「大丈夫です。先生に任せなさい」
「流石先生。それで、どうやって直すんですか?」
「そーれーはー……」
先生ことアリシアはたっぷり答えを溜めたあと、「えい!」と声を上げて飛び掛かって来た。
「……先生。何してるんですか」
「やられて分かりませんか? 治療ですよ。疲労に聞く、トッコウヤクです」
突然の出来事に颯太の思考は数秒停止したが、おずおずとアリシアに問いかければ返って来たのはトッコウヤクと言う名の温もりだった。
「先生、抱きしめることが、疲労に聞く特効薬なんですか?」
「はい。私もよく分かりませんが、私の先生がそう言っていました」
「先生! その先生に何か悪い事仕込まれてませんか⁉」
アリシアの言う先生とはおそらくみつ姉のことだ。どうやら、悪知恵製造機はまたアリシアによからぬことを吹き込んだらしい。今度の教材はなんだ。
「もう、治療中なのに、あまり暴れては困りますよ、患者さん」
「患者さん今凄い困ってるんです。アリシア先生がまた、三津奈先生に悪い事教えられてないか。……何教えられたの?」
「男の疲労にはハグが効くと教えられました」
「それいつ教えられた」
「今日です。ふふ。本当に偶然ですよね」
「なるほど納得」
どうやら、このお医者ごっことアリシアの仕込まれた知恵が奇跡的にベストマッチしたらしい。この偶然には二人揃って驚嘆した。
「アリシアが珍しく自分から抱きしめて来るなんて珍しいと思ったよ」
「いつもはソウタさんからですもんね」
基本的に、颯太は祝日や疲労が溜まった時にアリシアを無性に抱きしめたくなる欲求が働く。その時はきちんと抱きしめていい、と聞くし、アリシアも快く手を広げてくれる。
アリシアの場合、以前は『罪科』の重みで密接に触れ合うことに抵抗があったようだ。けれど、その重荷を分け合ってからは、アリシアは積極的に触れようとして来てくれる。それが、颯太が嬉しかった。
「それで、気分の方はどうですか」
「うん。凄く落ち着く。やっぱ、好きな人とこうしてる時間はいいね。アリシアは?」
「はい。私も、凄く落ち着きます。でも、すごくどきどきもしてます」
耳元で囁く声音は、確かに熱を帯びていた。
「じゃあ、みつ姉の悪知恵も今回ばかりは役に立った、ってことだね」
「疲れ、吹き飛びましたか?」
「ううん。でも、もうちょっとこのままで居たい」
「ふふ。それじゃあ、ソウタさんが満足するまで、ずっと抱きしめていますね」
「こんな優しい先生がいたら絶対惚れるな」
「ソウタさん専用ですので。お疲れの時は、いつでも私を頼ってくださいね。私も、ソウタさんとこうしているの好きですから」
好き、と親愛なる人から告げられる時点で幸福感に満ちたりているのに、こうやって温もりを共有し合える事はもうどう言い表せばいいのか分からなくなった。
ただ、ここにあるのは幸せ以外の何ものでもなくて――。
「好きだよ、アリシア」
「私こそ。大好きですよ、ソウタさん」
明日からまた頑張ろうと思うのだった――。
―― Fin ――
これが正妻か……
アリシアは白衣よりナース衣装ですよね! ナース服正義だから。異論認めるから!
本日71話を投稿したあと無事クリームコロッケ買えました! お昼に食べようとるんるんだったところ、結局、野菜コロッケ食べてました! は?




