第61話 『 デートをしよう 』その1
一話に纏めようとしたら意外と長かったので、何話かに分けてデートの様子をお送りします。
【 side 颯太 】
―― 24 ――
「アリシア。今日デートしない?」
「え、でーと、ですか?」
朝食の最中。颯太は唐突にそんな提案を持ち出した。目を丸くするアリシアは「でも」とたじろぐと、
「ソウタさん、今日は普通に学校ですよね」
呆けた風に言うアリシアに、颯太は思わず苦笑い。
「あはは。やっぱり忘れてる。今日は祝日だよ。秋分の日」
颯太に言われて、アリシアは後ろ振り向く。立てかけれたカレンダーを見て、彼女は「本当だ」と呆気に取られたように呟いた。
それからアリシアは向き直ると、また「でも」と頬を固くした。
「今日は部活じゃないんですか?」
「うん。だから休んだ」
「どえぇ⁉」
さらりとサボったことを伝えれば、アリシアは驚愕に目を剥いた。余程の衝撃だったのか白米が喉の奥に詰まり、苦しそうにせき込んでいた。
「ほら、お水」
「けほっ……あ、ありがとうございます」
差し出したお水を受け取って、アリシアはこくこくと音を鳴らして飲んでいく。ふぅ、と一息つくと、アリシアは颯太を睨んだ。
「なんでお休みしたんですか。体調、優れないんですか」
「別に全然元気だけど」
「じゃあ、おサボりはよくありません。ちゃんと部活に行ってください」
「オカンか……そんなに怒った顔しないで。俺が部活休んでも、特に困る訳じゃないし、先生にもしっかり許可もらってるから」
「どんな風に言い訳したんですか」
「カノジョとデートするので休みますって……いたた」
勿論冗談なのだが、アリシアは顔を真っ赤にして颯太を叩いた。ただアリシアの手がぎりぎり届くかの距離なので、颯太が意図的に当てられにいっている形だ。だから、威力もない。
「まぁ、それは冗談だけど。アリシアが怒るような嘘は言ってないし、朋絵からも「行っていいよ」ってゴーサイン貰ってるから平気だよ」
「それとこれとは話が別な気がします」
「まぁまぁ、細かいことは気にしないで」
あっけらかんと言えば、アリシアは呆れた風に吐息した。
「なら、今回は見逃してあげます。でも、次からは不用意に休んじゃダメですよ?」
「それはうんとは頷けないかな」
「頷いてくださいっ」
頬を膨らませたアリシアに、颯太は微笑を浮かべた。
「とにかく、アリシアは変な心配しなくていいから……それとも、デートしたくない?」
「それは……」
意地悪く問えば、アリシアは口を尖らせた。体をもじもじさせる仕草も破壊力抜群で、颯太はにやつきを堪えながら返事を待った。
「行きたい、です」
「よし、決まり」
やがて喉の奥から振り絞ったような声が、そう照れくさそうに肯定した。それに、颯太は内心で安堵する。
――気分転換には丁度良いし、いつまでもぎくしゃくしてるのも嫌だからな。
顧問や朋絵、聖羅に頭を下げた甲斐がこれだけであった。
胸中の喜びを抑えながら、颯太はアリシアに言った。
「それじゃあ、ご飯食べて、洗濯物だけ干したら行こうか」
「でも、他のお掃除が……」
「それは家に帰ってからもできるから後回し。今日は、家事のことも忘れて目一杯楽しもう」
「分かりました。ソウタさんの判断にお任せします」
朗らかな口調で諭せば、アリシアはもう反論することはなかった。彼女も、何か思うことがあったのだろう。こうして素直に頷てくれたのは重畳だった。
「よし。そうと決まればささっとご飯食べて、デートしに行こう」
「はい」
久しぶりに見た、アリシアの微笑み。笑えるくらい元気になったのは、颯太にとっても喜ばしいことだった。
――今日は、嫌なことも悲しいことも、全部忘れられるくらい楽しい一日しよう。
そして、アリシアが胸裏に抱える苦悩を明かしてくれるならば、それを背負う覚悟はとっくにできていて――。
今日のデートがアリシアの胸襟を開けることを願って、颯太は密かに拳を強く握った。
―― Fin ――
今日は何話か上がっていくので、更新状況を要チェックだ―!
※ 颯太はアリシアといると100パーセント甘々なオーラ出します。これもアリシアのことが好きなのと、信頼しているからですね。朋絵たちとの会話で比較するのが一番参考になりマッスル。
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