第49話 『 休日のご褒美? 』
しばらく颯太とアリシアのいちゃいちゃが書けてなかったので暫くいちゃいちゃさせます。休日パートです。
今日の17時にもう一話上がります。よかったら見てね!
【 side 颯太 】
―― 12 ――
――ここ連日の多忙さに目が回りながらも、どうにか迎えた休日。
「くあぁ」
まだ重たい瞼を抉じ開けながら布団からもぞもぞと出て、颯太は横に置いてあったスマホを起動する。明るくなった画面を見れば、時刻は十時を回っていた。
――今日は部活ないし、休日だし、もう少しだけ……
まだもう少し眠りたい、そんな気持ちが勝り、体が無意識に布団に潜りかけた瞬間、扉から、こんこん、とノック音が響いた。
『ソウタさん、起きてますか?』
扉の奥から訊ねてきた声音に、颯太は二度寝することを止めて返事した。
「うーん」
『お部屋、入っても大丈夫ですか』
「うーむ……」
まだ意識は完全に覚醒してはおらず、そのせいで生返事だ。ただ、甘い声音だけで誰が入ってくるのかは分かるので、許可するのになんら抵抗はなかった。
そして、廊下にいるであろう声主は、颯太が出した許可を合図に『失礼しますね』とドアノブを捻った。ぎぃ、と扉が軋む音を立てて、ゆっくりと開かれていく。
「おはようございます、ソウタさん」
「んぅ。おはよう、アリシア」
「ひょっとして、まだお眠でしたか?」
「うーむ……」
声主――アリシアの困ったような声音が聞こえて、颯太は首をゆるゆると横に振った。態度では反論しても、体は正直だった。
とてとてと近いづいて来る足音に最大限意識を割きながら、颯太は朧げな視界で真白を体現した少女を捉える。
重い瞼と曖昧な意識が最愛の恋人をなかなか鮮明に映してくれないことにもどかしさを覚えていると、前から「しょうがいないですよね」と苦笑する声が聞こえた。
「最近はずっとソウタさん忙しそうにしてましたから、今日はもう少し寝ていていいですよ。お昼ごろになったら、また声を掛けますから」
「だいじょうぶら」
「……どことなく、酔ったみつ姉さんに似てますねぇ」
苦笑から今度は微笑ましそうな声になって、颯太は頭に疑問符を浮かべた。みつ姉、という単語は聞こえたものの、後は分からなかった。なんとなく、反論したくなったのは気のせいだろうか。
「おはよう……アリシア」
「ふふ、おはようございます、ソウタさん」
愉快そうな、慈しむような笑い声が耳朶に届く。視界はまだ鮮明に景色を映せていないのに、それでも彼女が満面の笑みを浮かべているのが分かる。
それはきっと、彼女が放つ柔和な空気のおかげだ。アリシアから感じる空気はいつも優しくて温もりを感じる。傍にいて安らぐのだ。少なくとも、普段は表情筋の変化が乏しい颯太の顔が緩み切るくらいには。
弛緩する颯太を、アリシアの金色の瞳は心底愛おし気に眺めていた。
「こんなソウタさんも珍しいですね。ついつい眺めたくなっちゃうなー」
「なら、もっと近くで見ればいいよ……」
「え――きゃっ」
眠たさのせいで思考回路が鈍くなって、颯太はただ欲求のままアリシアを求めた。
ゆったりと伸びた両腕は、アリシアの華奢な身体を容易く包み込んだ。抱きしめれば儚く消えてしまうのかと錯覚するほどか細いのに、伝わる温もりは心の底から安堵に包まれていく。
――あぁ、あったかいなぁ。
ぎゅっと抱きしめれば、その分伝わる温もりも増す。その温もりを享受する一方で、白銀の少女があわあわとしていることに全く気付いていない。
「そ、ソウタさん⁉ 急にどうしたんですか⁉」
もぞもぞと動いているのが感触で解って、颯太は「うむぅ」と不満げな吐息を溢した。
アリシアの方も、颯太が疲れていることは重々承知なので声を荒げることもできなかった。静かに抵抗しても、それは眠りに着こうとする颯太を邪魔しているだけで覚醒を促す起爆剤としては足りなかった。
――すぅ。すぅ。すぅ。
静かな吐息が繰り返されていくうちに、抱きしめていた少女の抵抗も減っていく。
「……ダメだこれ、もうすっかり寝ちゃってる」
アリシアは諦観したように吐息した。
「でも、ずっと頑張ってましたもんね、ソウタさん」
「すぅ……すぅ……」
「それに、私だって、一緒にいられないのは寂しかったんです。だから、これくらいは、いいですよね」
それは誰に許しを乞うたものなのかは分からないが、アリシアはきゅっと身を寄せた。もっと、大切な人の温もりを感じる為に。
「私も……少しだけ、眠くなってきたな……」
瞬く瞼が段々と重くなってきて、アリシアの意識もまどろみに囚われていく。
『すぅ……すぅ……すぅ――』
ほん数十秒後には、穏やかな二つの吐息が重なっていた――。
―― Fin ――
このいちゃいちゃが何話続くかは作者の気分です。胃もたれ感じ始めたらやめます。え、もっといちゃつかせろって?




