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【休載中】天罰のメソッド〜処刑天使。ひきこもりの少年に恋をする〜  作者: 結乃拓也
第二部 【 紫惑の懺悔編 】
51/234

第47話 『 ウォーミングアップ』

登場人物紹介~


宮地颯太 (みやじそうた) 本作主人公。マネージャーとして陸上部に戻ることとなった元有望選手。

アリシア 本作メインヒロイン。颯太がマネージャーになることを応援してくれた愛する恋人。

神払聖羅 (かんばらせいら) 美人転校生。颯太が入部することを条件に陸上部に入部した美人様。

三崎朋絵 (みさきともえ) 颯太の親友で陸上部マネージャー。真面目で明るい性格から朋絵を狙って

              る輩も密かにいるとのこと。

倉科陸人 (くらしなりくと) 颯太の親友で陸上部。颯太がマネージャーとして戻って来たことは嬉し

               いとは感じてる様子。

【 side颯太 】


 ―― 10 ――


「待たせて悪かったな、神払さん」

「いえ、皆さんと話していたので、退屈ではありませんでしたから」


 朋絵と一度分かれて、颯太は聖羅のもとへ小走りで駆け寄った。遠くから見えてはいたが、やはり話題の美女が入部したことが部員たちにとっては驚きなのだろう。男子どもが群がっていた。


「久しぶり、颯太」

「あぁ、久しぶり」


 と、聖羅に声を掛けていた男子部員の一人が颯太に手を振ってきて、颯太もぎこちなく手を振り返した。


「神払さんだけでなく、まさかお前まで戻ってくるとはな、正直そっちもだいぶ驚いたわ」

「はは。……選手として戻るわけじゃないけど、何か必要なことがあったら遠慮なく言ってくれ。今は、お前たちのサポートするのが俺の役目だから」

「サンキュ。そうするわ!」


 颯太の言葉に彼は親指を立てて白い歯をみせた。そして、大きく手を叩くと「うし、そろそろ練習再開するかー」と聖羅にまとわりつく他の部員たちを引き連れてぞろぞろとグランドに戻っていった。


「助かりました、宮地くん」


 彼らと充分に距離を取ったのを確かめて、聖羅はぺこりと頭を下げた。やはり、あれだけ大勢の男子たちに囲まれては聖羅も迂闊に動けなかったのだろう。聖羅の助け船としては丁度いいタイミングだった。


「いや、俺も時間かけすぎたよ。悪かった」


 聖羅が男子たちに注目を浴びていることを既知としてなお一人にさせてしまったのだから、当然颯太にも非がある。そのことはしっかり聖羅に謝った。


「宮地くんが謝ることはなにもありません。ただ、そうですね……身近な女子を放って置いて、別の女子と親し気に会話をするのはやめた方がいいですよ」

「……参考にするよ」


 なぜかふくれっ面になる聖羅に、颯太は戸惑いながら頷いた。身近な女子とははたして誰を指しているのだろう。朋絵のことだろうか。でも、朋絵はアリシアと親し気に接していることに関して苦言されたことはなかった。惚気がむかつく、とは何度も指摘されたが。

 そもそも、どうして聖羅が不服そうな顔をしているのかが、颯太にとっては大いに謎だった。

 困った様子の颯太に、聖羅は深く溜め息を吐くと、


「宮地くんて、鈍感だと人によく言われませんか? 特に女心のほうで」

「なっ、どうしてそれを」


 思わぬ指摘に颯太はたじろいだ。それが図星だったことと、たった数日の付き合いの彼女にそれを看破された二重の衝撃が颯太を襲った。


「気を付けた方がいいですよ、宮地くん。女を知らない内に敵に回すと、あとで厄介ですから」

「わ、分かりました」


 ごくり、と颯太は生唾を呑み込んだ。今の所、颯太の敵になりそうな身近な女性はいないが、敵になったら非常に厄介な女性だらけだった。特に、弟を溺愛する姉は注意人物だ。

 脳内メモに『女は敵に回したら危険』としっかりメモしつつ、颯太は咳払いすると、


「と、とにかく……俺たちもそろそろ練習を始めよう。このまま駄弁ってても時間を無駄にするだけだからな」

「そうですね。時間は限られてますもんね」


 くすくすと笑う聖羅に辟易としつつ、颯太は気持ちを切り替えていく。


 ――そうだ。時間は限られてる。応援してくれるアリシアの為にも、しっかり部活、頑張らないと。


 よし。


「まずは一緒にウォーミングアップしよう」

「はい。監督」

「監督は竹部先生な」

「そうでしたね」


 彼女の軽口を適当に流しつつ、颯太はグランドを指差した。


「まずはグランドを二周しよう。俺も一緒に走るから、その後についてきてくれればいい」

「うん」


 その場で軽く足踏みをしてから、颯太は聖羅に目配せした。こくりと頷いたのを合図に、颯太はグランドを走りだしていく。

 グランドは一周四百メートル。今は他の選手たちが練習に使い始めているから、二人は大外のコースを走る事にした。


「アップだから早く走ろうとはしなくていい。ジョギング感覚で、まずは体を温めるんだ」

「確かに、準備運動には丁度良いペースですね」


 走りながら聖羅に説明すると、彼女は息遣いを繰り返しながら、なるほど、と頷いた。


「そういえば髪、今日は下に纏めてるんだな」


 聖羅の様子を窺いながら走っていると、颯太はその変化に気付く。体育の時は頭より上の位置に結んでいるのに対し、今日は随分と下のほうに結ばれていた。

 その変化に気付いたのが意外だったのか、聖羅は目を丸くしながら「えぇ」と肯定した。


「ちゃんと走るなら、なるべく髪が邪魔にならないほうが良いと思って。あ、体育の時はサボってるって意味じゃないですよ」

「それくらい授業見てれば分かるって。でも、心がけとしては良いと思う」


 眉根を寄せる聖羅に颯太は苦笑。同時に、彼女なりの走る工夫を高く評価した。

 聖羅の長髪は確かに走りには向いていない。毛束もそれなりにあると感じたが、一本に結んだ時の纏まりはしなやかな馬の尻尾を彷彿とさせた。きっと、髪の繊維一本一本が細かいからこうも綺麗に纏まるのだろう。揺れる毛先は彼女の抵抗となることなく尾を引くように波を打っていた。

 感心している颯太に、聖羅はまた小悪魔的な笑みを浮かべて、


「宮地くん、私のことちゃんと見ててくれたんですね。嬉しいな」


 そうからかって、聖羅は颯太の戸惑う反応を楽しみにしているのだろう。その性根が分かってきて、颯太はため息をついた。


「たまたまだ……はぁ、俺をからかう余裕があるなら、ペース上げるぞ?」

「あ、ごめんなさい⁉ ……ってホントにペース上げてるじゃないですか⁉」


 そろそろ聖羅の扱いにも慣れてきたところで、颯太はからかわれた腹いせにペースを少し上げた。聖羅はその後を涙目で追って来る。

 美人新入部員と新マネージャの仲睦まじいアップ風景を、他の部員たちはそれはもう羨望と悔しさが入り混じった眼で眺めていたのだった。

 

  ―― Fin ――


常日頃から天メソを楽しんで読んでいただいてる読者様のおかげで、天メソはおかげさまで1000pvを達成しました。本当に有難うございます。このまま投稿ペースを維持しつつ、更に作品を面白くできるよう尽力します! 

ありがとうイラスト描かなければなぁ,,,


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