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【休載中】天罰のメソッド〜処刑天使。ひきこもりの少年に恋をする〜  作者: 結乃拓也
第二部 【 紫惑の懺悔編 】
38/234

第36話 『 2年2組 』

登場人物紹介~


宮地颯太 (みやじそうた) 本作主人公。家でお留守番中のアリシアが心配でたまらない様子。

アリシア 絶賛お留守番中の白銀美少女。今はお家の渡り廊下を掃除中~

三崎朋絵 (みさきともえ) 颯太の親友。颯太が学校に来て一番驚いているのは朋絵です。

倉科陸人 (くらしなりくと) 颯太の親友。颯太の復学を待ち望んでいた一人。

               好物はオムライス。


【 side颯太 】


 ―― 5 ――


 久しぶりに入った二年二組の教室は、颯太が最後に目にした時と何も変わらなかった。

 ただ、いつもと違ったのはやはり皆の反応だった。


「あれ、颯太じゃん⁉ うっわすげぇ久しぶり! もう体調はいいのかよ?」

「ええ⁉ 颯太くんだ! なになに、また通えるようになったんだ~」

「おっ。颯太。久しぶりじゃん。ってなんで三崎さんが自慢げなの」

「あ、宮地くん。おはよ。分からないことがあったらなんでも聞いてね」

「みみ宮地くん⁉ 良かった、もう体調の方は問題ないのかい? 何か困ったことがあればいつでも僕を頼ってね。すぐに駆けるから」

「ありがとう。そうさせてもらう」


 教室はやはり颯太の復帰に大盛り上がりだった。皆、颯太の顔を見ては声を掛けてくれた。

 そしてようやく落ち着いた頃、颯太の前の椅子に一人の男子生徒が座り込んできて、


「……どうですか、皆に声を掛けてもらった感想は」

「心配されたんだな、って今更実感したよ。陸人」


 体を揺さぶる生徒――陸人に、颯太は心の内をありのまま伝えた。それを受け、陸人は口角をあげると、


「ようやく来たな。この不登校児」

「うるせっ。……待たせたな」

「別に待ってませーん」

「フ」

「ハハ」


 突き出された拳に、颯太もやれやれと言った風に拳を突き出した。


「ちょっと~。二人だけで何盛り上がってんのよ」


 そこに、先程まで他の友達と駄弁っていた朋絵も加わった。


「男だけの秘密ってやつだよ。な、颯太」

「いや、ただ、陸人がずっと俺を待ってたって話」

「おい⁉ 俺とお前の友情はそんなに脆かったのかよ⁉」

「お前が二人だけの秘密とかキモいこと言い出すからだろ」


 あっさりと男の友情を捨てた颯太に、陸人は目を白黒させた。颯太の意地の悪さに涙目になる陸人に、朋絵はけらけらと笑っていた。


「なーんか。こうやって三人でいるのも久しぶりだね」

「だな。それもこれも、こいつがずっとサボってたせいだけどな」

「サボってたんじゃない。英気を養ってたんだよ」

「へぇへぇ。数ヵ月経っても、変わらずお口が達者なこって」

「止めなって、陸人。陸人が颯太に口論で勝てたこと一回もないんだから」

「ぐっ⁉ 朋絵に言われるのが一番傷つくんだけど……ッ」

「ハハ。お前も案外、正直者だよな」

「あ? なんだそれ」

「いや何でも」

「あー、また二人だけで会話してるぅ」


 それから、三人はホームルームが始まるまでの間談笑していた。

 たった十五分前後。それなのに、二人とは出会った時で最も長く会話していたような気がした。そして、周囲も颯太の変化を何となく察したらしい。今までとは違う颯太の雰囲気に、クラスの視線が時々颯太に向けられた。

「……意外。宮地くんてあんなに明るかったっけ」「ねー。ちょっと雰囲気良くなったよね」「前は近づき難いイケメンって感じだたけど、今なら声かけられそうじゃない?」「休みの間に何かあったんだろ」「今なら遊びに誘えんじゃね?」「だな。今度誘ってみようぜ」は端々からそんな小声が聞こえて、颯太はむず痒くなった。


 ――雰囲気が変わった、か。


 颯太自身、その変化に気付かないわけではなかった。ただ、こうやって周囲の殆どから言われれば、それが明確であることに間違いはないのだろう。

 颯太が変わったのは、十中八九、アリシアの影響だった。

 彼女の笑顔が胸に刻まれているから、颯太は臆せず前に進めているのだ。それを、こうして離れて強く実感させられた。


「早く会いたいな、アリシアに」


 誰にも聞こえない程度の小声で呟いた、そのはずなのに、颯太の頬が両方から抓まれていた。


「いはい。なにすんら、お前ら」

『理由は分からないけどなんか腹が立って』


 朋絵と陸人にジト目でそう指摘されながら、颯太は無理矢理二人の手を払った。


「なんでお前らが腹立っているのかまったく見当もつかないんだが、とりあえず抓もうとするのはやめろ」


 攻撃する手を躱していると、陸人が言ってきた。


「どうせ、家で待ってるカノジョのことでも考えてたんだろ」

「ホント、あたしたちという友達がいながら心外ですよねー。陸人さん」

「ですよねー、朋絵さぁん」

「単純にうぜぇ! 分かった、アリシアのこと考えてましたよ! これでいいか!」

「本当に片時もアーちゃんのこと忘れなないんだね、颯太。ムカつくから抓るの続行ね」

「くそ、朝からリア充見せつけてくれやがって、非リアの痛みを知れっ」

「だぁ~ッ。もう好きなだけやれよ!」


 いつまでも交わし続けるにも面倒になって、颯太は降参と二人に頬を抓られ続けた。

 教室ではこの状況に好奇な視線を向けられながら、朋絵が「あー」と何か納得したような声を上げた。


「でも、颯太がアーちゃんのこと考えるのも無理はないか」

「え、どういうこと?」


 首を傾げる陸人に、朋絵が「だって」と継ぐと、


「颯太が学校にいるってことはさ、アーちゃん、今はお家に一人なんだよ」


 朋絵の言う通り、アリシアは現在、家で絶賛留守番中だ。


「なるほど。要するに、お前はアリシアちゃんが心配な訳か」


 朋絵の言葉に納得と頷いた陸人に指を指され、颯太は「別に」と素っ気なく返すと、


「心配なんかしてないし。アリシアなら家で留守番できるって信じてるし」

「いやー。颯太が心配するのも分かるよ、アーちゃん、天然というか純粋無垢だもんね。そこが堪らなく可愛いんだけど」

「アリシアが言うには、一応人の善悪は判断して関わってるみたいだぞ」

「あれで⁉ うーん。信憑性ないなぁ」


 アリシアと仲良しな朋絵から見ても、アリシアが一人で家に留守番しているのは不安な様子だ。難しい顔をする朋絵を見て、颯太は平常心を装いながらもガタリと席から立ち上がると、


「やっぱ帰る。アリシアが心配だ」


 本気で帰ろうとする颯太を、朋絵と陸人が慌てて引っ張って引き止めた。


「ちょっと待った颯太くぅん! まだホームルームも始まってないんだぞ!」

「そうよ! 颯太何の為に学校に来たのよ⁉」

「引き止めるな! 俺はアリシアが待つ家に帰るんだ!」

「力つっよ⁉ え、お前ホントに家に引きこもってたのかよ⁉」

「無理無理! 止まらないんだけど! ちょっと誰かー! 颯太一緒に止めて!」


 颯太を引っ張る二人はクラスに向かってそう叫んだ。それを聞いて、何人かは面白そうだと笑って颯太を止めに掛かった。

 ほどなく、颯太はクラスの連中に自席へと連れ戻されるのだった。


「あたしが悪かったから。いったん落ち着いて、颯太」

「うっ。悪い。取り乱した」

「颯太はあれだな。アリシアちゃんの事となると我を忘れるな」

「なんか、颯太。見ない間に重症になったよね。アーちゃん関連で」


 二人に白い目を向けられるも、颯太は何食わぬ顔で答えた。


「俺の行動原理は基本アリシアだからな」

「よく躊躇わずそんな恥ずかしいこと言えるなお前。いっそカッコいいわ」

「普通に引くよ⁉ なに、男は皆馬鹿なの」


 颯太に羨望の眼差しを向ける陸人と、呆れて吐息する朋絵。

 そして朋絵はコホンと咳払いすると、


「とりあえず、颯太は少しはアーちゃん離れしないとね」

「なんだアーちゃん離れって。離れるつもりは一切ないぞ」

「愛が重いな……その依存ぷりを少しは押さえろ、ってこと」

「うっ。……努力はする」

「颯太のそんな辛そうな顔初めて見るわ。よっぽどアーちゃんと離れたくなかったんだね」


 朋絵の言葉に、颯太はすかさず肯定した。


「あんな可愛い天使の傍腫れろとか言う方が鬼畜だろ」

「おぉ。俺、お前が異性関係でこんな乱れるの新鮮だわ」

「乱れるとかいうな。俺とアリシアはいたって健全に付き合ってるわ」

「どこに反応してんだ……って痛い痛い! アイアンクローやめて!」

「何やってんのよ、二人とも」


 涙目で降伏する陸人からぱっと手を離して、颯太は深く吐息した。


「……今頃、何やってるかな、アリシア」


 朋絵に慰めてもらっている陸人から視線を外して、颯太は窓から青空を眺めた。

 学校にいても結局、考えてることはアリシアのことばかりで。

 とにかく、颯太はアリシアが恋しくて仕方ないのだった。

 

 ―― Fin ――


ご飯はもっぱらカップ麺です。あ、料理は普通にできますよ。最近してないけど。

作者の悲しいご飯事情はさて置き、今話いかがだったでしょうか?

今回は颯太のクラス、2年2組を舞台に、颯太、朋絵、陸人の談笑をメインに書きました。

回を重ねる毎にアリシア依存症になっていく颯太は見ていて面白いですね! 行動原理がアリシアという中々にぶっ飛んでますが、まぁ、あれだけ可愛いアリシアと四六時中傍にいたらそうなってしまうのは当然ですかね? 羨ましいぞ、颯太!

三人に心配されているアリシアですが、裏ではしっかり宮地家でお掃除をしている最中ですので、読者の皆さんもご安心ください。

さてと、それではあとがきはこれくらいにしますかね。

三が日更新をしました天罰のメソッドですが、これからしばらく更新の間が空くと思います。読者の皆様にはご了承いただけると幸いです。

そんなわけで天罰のメソッド、第二部【紫惑の懺悔編】の更新を引き続きお楽しみください! 

それではまた次回で!


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