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お久しぶりです。大学の後期試験の為に休載していました。本日より復活、と言いたいのですが追再試験に引っかかりそうなのでまだ消えるかもしれません。





 昼食を終え、その片付けも終えて。ボク達は庭に出ていた。家庭菜園の枠を超えてんじゃないか、と言いたくなるような畑もある広い庭だ。その畑には色々な野菜が生えていたけれど、ボクにはどれがなんなのか分からなかった。


 そんな庭の一角。綺麗に均された地面に打ち付けられた杭がある。そこに木製の円盤が一枚付けられていた。それは端的に言えば的。射抜くべく置かれた的である。


 その的から十数メートル離れた場所にフィナ姉は立ち、弓を構えている。集中しているのか、横顔は凛として研ぎ澄まされたものだった。一息吸って吐くと同時に放たれた矢は真っ直ぐ飛来。瞬く間も無く、ガッという音を立て的のど真ん中を貫いた。


 的が揺れる。つい数秒前まで新品だった的は、その中心を貫かれ小さなヒビが入っていた。放たれた矢が相当のエネルギーを持っていたのだと分かる。


「ん、すごい!」

「ふふん。どんなもんよ」


 両手を叩きながら声を上げたボクに、フィナ姉は胸を張って応えた。フィナ姉は何時もの明るい顔に戻っている。集中していた時に見せる表情もかっこいいが、冷酷さを感じるので少しだけ怖かった。やはりこの明るい表情が好きだ。


「んっ、ど真ん中だね!」

「そうだねぇ。ま、朝飯前ってところかな」


 その言葉通り苦も無くやってのけたという印象だ。なによりその動きは綺麗だった。それは円滑という言葉では飽き足らない程。流水のように構え放つ、その一連の動作は見事としか言えない。比較する動きこそ知らないが、フィナ姉が一流のそれである事は確実だった。


「ユキにも狩猟手段を身に付けて貰いたからねぇ。とりあえずやってみよっか」

「ん!」


 そう。庭にやってきたのは弓術を習うためだ。どうやらこの辺りは自給自足が当然らしい。己が食べる物は己で捕り、己で作る他ない。フィナ姉も森で狩りをして畑で野菜を育てている。その生きる術を教えよう、という事なのだ。学校でも聞いた事がある。魚を与えるのではなく釣りを教えよ、と。


「はい。一応ユキの身長に合ってると思うけど、使いにくかったら言ってね」

「ん、ありがとう」


 フィナ姉から弓と矢を渡される。木製の弓。想像していたより軽い。弦を摘んで引っ張っると湾曲した弓が更にしなった。弦を離せば形が戻り、糸は弾かれる。これが矢の放たれる原理だろう。


 弓とは初めての接触だった。未知との遭遇と言ってもいい。ごく平凡な球技でさえボクにとっては未体験なのだから、弓道になんて触れた事があるわけ無い。


 そんなボクはこの時不安を覚えていた、訳じゃなかった。寧ろ興奮していた。ワクワク感の方が勝っていたのだ。以前は見る事すら叶わなかったもの。それが今や見るだけのみならず触れ体験することも出来るのだ。これに興奮しないわけが無い。


「そう、しっかりと腕を伸ばして、右手は顎付近······うん、そんな感じ。あとは狙いを定めて放つだけだよ」

「ん······」


 フィナ姉指導の下で弓を構える。その構えはあまりに不格好。先程見たお手本の10分の1も再現出来ていなかった。そう理解していても何処を直せばいいのか分からない。


 その訴えを察したのか、フィナ姉に手を添えられ、腕の位置や体の向き、足の置き方開き方等を直してもらった。実に懇切丁寧な指導だ。


 そして腕を真っ直ぐ伸ばし、力を込めて矢を引っ張った。キリキリ音を立てて弦が張り、弓がしなる。折れてしまうのではないか、切れてしまうのではないか。そんな不安が舞い上がる。


「よしよし、いい感じいい感じ。それじゃ射ってみよー」


 構えが整い、フィナ姉がボクから離れた。


「んぅ······!」


 引き絞ることに成功したものの、伸ばした腕が震えてしまう。構えがなってない証拠なのか、筋力不足なのか。幾つもの理由が頭を過ぎる。焦りによる無駄な思考だ。


 さてここで何を狙えばいいのか。どんな気持ちで放てばいいのか。そういう事をフィナ姉は教えてくれていない。恐らく初めから色々な事を言うと頭が混乱するから、とりあえず射つ感覚を掴めという事なのだろう。


 思い切って指の力を抜いた。その瞬間に矢はボクの手から離れてしまった。


「んっ······当たんない······」

「初めのうちはそんなもんだよ。寧ろ当てられたら私が泣く」


 矢は思っていたより軽く引けた。その弓の作りが良かったのだろう。引いて放つまでは簡単に出来た。しかし、命中には程遠かった。的とはてんで違う場所に突き刺さった矢。それを見てボクは溜め息を零す。


「でもまぁ、射てただけでも凄いよ。私なんて最初の頃は構えるだけで精一杯だったんだから。ユキは天才だねぇ」

「ん······そんな事ないよ。フィナ姉の教えが上手だから出来ただけ······」

「ふふふ、嬉しいねぇ」


 フィナ姉が頭を撫でながら褒めてくれる。確かに、初めから上手くいくわけが無い。射てただけでも成功と言っていいのかもしれない。


 ふつふつと喜びが湧いてきた。たった数メートルしか飛ばなかったと考えていたが、数メートルも飛んだと考えれば凄いものだ。フィナ姉からの言葉が何よりも嬉しかった。より一層やる気が湧いてくるのを感じた。



 それからボクの生活はこうなった。



 朝。朝日が昇るより早く起きてフィナ姉と一緒に畑の水やりや野菜の収穫を行う。フィナ姉が見せてくれた()()()()()()()()()に驚きはしたものの、それはボクが知らなかっただけだろう。野菜の収穫に関してもフィナ姉に教わりながら行った。


 それから採れたての野菜を使った朝食を摂り、暫く休憩。フィナ姉が用意してくれた温かいお茶を啜りながら雑談をしたり本を読んだりする。もちろんの事だが、ボクは本を読む事は出来ない。何故なら文字を知らないからだ。文字に関してもフィナ姉に教わった。この歳になって文字を知らないのか、と驚かれ笑われるかと思ったが、そんなことは無くとても優しく教えてくれた。やはりフィナ姉は教師に向いている。そんな気持ちで必死に文字を覚えた。頭を撫でてくれるフィナ姉の表情は少し暗かったが、悲哀的な感情だと思われる。何に対してか分からず、言及する事も出来なかった。


 昼前までは弓術の練習。ひたすらに射ち、的を射抜く練習を行う。後ろで見ていてくれるフィナ姉からアドバイスを貰いながら動作の粗を無くす。それだけでも射つ技術は格段に上達していった。今ではフィナ姉のアシスト無しで構えることが出来るし、十メートルまでなら飛ばすことは出来る。着実に成長している証だ。


 昼は軽食を摂る。初めの頃、ボクがご飯を食べる事にフィナ姉は酷く驚いていた。どうやら少食だと思われていたようだ。しかし幾ら少食とはいえ、一日一食では足りないのではなかろうか。しっかりフィナ姉と同じ量を食べるボクを見てから何も言わなくなった。何処と無く嬉しそうだったので悪いことでは無いのだろう。


 昼食後も休憩。また本を読んだり、昼寝をしたり。大抵は昼寝だった。というのも体を動かしているせいなのか、体力が無いせいなのか無性に眠くなってしまうのだ。この時間にフィナ姉は1人で狩りに行っているらしい。ボクも手伝いたいがまだ足でまといだろう。


 昼寝を終えたらまた弓の練習。昼寝した時間を取り戻すように、ひたすらに射って射って拾って射ってを繰り返す。フィナ姉は何か用があるらしく、この時間帯はボク1人だ。孤独で寂しいけれどフィナ姉に迷惑をかけられない。泣き言を吐かずに無言で続ける。


 そして手が疲れたら終了。フィナ姉から無理をするなと言われているのだ。手を痛める前に切り上げ、そこからは体力を付けるためのトレーニング。基本的にはジョギングをしている。初めは1キロも走れなかったが徐々に体力も付いていき、


 日が暮れ始めた頃にフィナ姉が帰ってくる。疲れた様子のフィナ姉を出迎え、フィナ姉と一緒に入浴を済ませる。共に一日の疲れと汚れを湯で流すのは気持ちがいいものだ。


 それから2人で夕食を作り、談笑しながら食事を摂る。今日の成長っぷりや気付いたことを話すとフィナ姉は嬉しそうに笑い、そして褒めてくれる。ボクもそれが嬉しくてこの時間はとても好きだ。


 夕食後は読書、と言いたいところだがボクの活動が限界を迎えてしまう。フィナ姉も特にすることがないらしく、早い時間に同じ布団で就寝する。フィナ姉の温もりに安心しながら目を瞑れば、あっという間に夢の中。これで一日が終了する。



 そんな充実した生活が一月ほど経過した。その頃からかな。ボクの身に異変が生じ始めていたのは。

嫌だァァァァッッ!!勉強したくないよぉぉッッ!

という気持ちで書いてたら文章が雑になりました。すみません。

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