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僕とコウ  作者: 魑魅魍魎
9/25

カラオケとバー

「先輩、二次会行かないんですか?」


 新歓コンパの一次会が終わり、僕はフェードアウトしようとしたところを田所に捕まった。


「帰る」


 僕はなるべく周りの先輩たちに聞こえないように言った。


「なんでですか? カラオケ行きましょうよ」


 それが嫌なんだよ。


「音痴だから嫌だ」


 僕は素直に言った。


「……。じゃあ二人で二件目行きませんか?」


 背の低い田所は下斜め四十五度から俺にそう提案した。

 お前、天然でそれやってるなら泥棒猫って言われても仕方ないぞ。


「俺、ゴム持ってないぞ」

「先輩、アホですか? 酔っ払ってますか? 死にますか?」


 田所はぷんすか怒ったあと、ちょっと恥ずかしそうな顔で言った。


「そんなのコンビニで買えばいいじゃないですか」

「え、マジで」


 けらけら笑いだした。


「なに本気になってるんですか。アハハ。おっかし~い」


 やられた。



 結局、俺たちはバーに行った。


「いらっしゃいませ。お!」


 僕たちが少し暗い落ち着いた店に入ると金髪のバーテンダーが声をかけてきた。

 カウンターに座ると若いその金髪のバーテンダーがおしぼりを渡してくれた。


「珍しいね、たっくん。こちらは?」


 コウがそう言って田所にもおしぼりを渡す。


「茶道部の新入部員の田所……。なんだっけ? 下の名前」

「唯です。田所唯です。あ~この人が先輩の恋人さんですか?」

「こ、恋人!? どんな話してるんだ? 俺の名前はコウです。よろしく唯ちゃん」


 そう言ってコウはマスターに注文の確認に行った。


「先輩の彼氏さんって、いきなり下の名前で呼ぶんですね。何かキュンとしちゃいます」

「そうか? 唯」

「先輩が言うとなんか笑っちゃいますね」


 笑いのツボがわからん。

 コウは田所にサラトガクーラーを僕にはオールドパーの水割りを持ってきた。


「これは俺からのおごり」


 そう言ってミックスナッツを置いた。


「田所さん、食べ放題らしいから遠慮せずどうぞ」

「おいおい。俺のバイト代食べつくす気か?」

「ありがとうございます。コウさんもカクテル作れるんですか?」

「作れるのは作れるけど、うまいカクテルが飲みたければマスターに頼んだ方がいいよ。やっぱり長年のプロは違うから」


 僕は何度かこのバーに来たことがあるが確かにそうだ。

 友達だということでコウにマスターに同じカクテルを作って飲み比べをしたことがあった。

 何がどう違うかは素人の僕にはわからなかったが、明らかにマスターのカクテルの方がおいしかったのを覚えている。


「そういえば、なんでみんなと一緒にカラオケ行かなかったんだ?」

「先輩がぼっちで帰ろうとしてたから、なんか気になって声かけちゃったんですよ」

「ぼっちじゃねえよ。カラオケじゃなかったら二次会行ってたよ。まあ、帰ってゲームしたかったって言うのもあるけどな」

「ゲームですか? 対戦ゲーム持ってます?」


 なんか食いついてきたぞ?


「田所はゲームするんだ」

「弟がいるんで、格闘ゲームやスポーツものを二人で良くやってたんですよ。このあと先輩の家行って良いですか?」

「だからゴムがないんだってば」

「先輩、しつこい」


 田所はジト目で批判する。


「このあとうちでゲーム大会やるけどコウも来るか?」

「いいのか? 唯ちゃん」

「ゲームは大人数の方が楽しいですよ」

「オッケー。あと一時間くらいでバイト終わるから、そのあと合流するよ」

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