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僕とコウ  作者: 魑魅魍魎
3/25

野宿と首都高

 走り始めて三十分と立たずに猛烈な眠気が僕を襲った。

 朝早く出発したせいか、お腹が一杯になったせいかわからない。

 意識が飛ぶ。

 歌を歌って眠気を追い出そうとしたが、そんなに効果がない。

 後ろを走るコウも気がついたようだ。

 公園が見えたところでコウが合図を出して止まった。


「どうした?」

「すまん。眠い」


 僕は少し昼寝をした。あったかい日差しを浴びてぐっすりと寝た。ほんの十分、十五分だがこのひと時は何物にも変えられない気持ち良さだ。

 それから安全のために食事後は一眠りすることにした。

 少し寝ただけで頭はすっきりした。

 そこからは快調にバイクを走らせ高知に入った。

 まずは野宿ができる場所を探す。

 天気予報を見るとしばらくは晴天が続きそうだ。

 僕たちは郊外の山道に人がいなさそうなところの広場を見つけた。日が暮れるまでにはまだ時間がある。僕たちは市内へバイクを走らせ今晩のメインディッシュのカツオのたたきを探しに行く。

 カツオのたたき、インスタントの袋ラーメン、ウインナーに魚肉ソーセージそれにビールと水を買って戻る。

 戻った頃には日が暮れかかっていた。

 早速ランタンをつけて簡易テントを広げ、寝袋と貴重品、ヘルメットなんかを重石代わりに入れておく。


「さあ、食おうぜ」


 周りは自然、はじめてのバイク旅、本場のカツオ! 不味いわけがない。


「美味いなあ」

「ああ、これだけでもこの旅行に来た甲斐があるわ。船酔いした時はもう帰ろうかと思ったけどな」

「早いよ。まだ一日目だぜ」

「飲もうぜ」


 コウはビールを開けた。

 実は僕はあまりビールが得意ではない。苦いだけで何が美味いのかがわからない上に部の新歓で無理矢理飲まされた記憶もあり、いい思い出はないのだ。

 しかしこの暑い中走ったのとそれ以外には水くらいしかないので仕方なかった。


「これからの俺たちの旅に乾杯!」

「乾杯!」


 僕は喉を潤すためにビールを流し込んだ。


「美味い!」


 あれ? ビールってこんなに美味かったっけ?


「ウインナーもボイルするぞ」


 僕たちがカツオをつまんでいるうちにお湯が沸いたようだ。ボイル仕立てのアツアツのウインナーがまたビールに合う。

 今後の予定や今日わかったことを話し合った。

 締めにラーメンを食べて寝袋に潜り込んだ。


「たっくん、俺のわがままに付き合ってくれてありがとうな」

「何言ってんだよ。きっかけはコウかもしれないけど、オラワクワクしてっぞ!」

「そうか。だからって最終形態になるまで待たずに倒してくれよ」



 僕達は高松でうどんを食べて明石大橋を抜けて本州へ入った。

 兵庫、大阪、和歌山、三重、愛知と何度か野宿をして静岡に入った。夜に雨になりそうな時はネットカフェか安い宿に泊まった。

 風呂は銭湯か宿に泊まった時に入る。


「関東圏はどうする?」

「走りにくそうだしバイク置くのも苦労しそうだな。さっさと抜けるか。ただし首都高って走ってみたくないか?」

「首都高バトルか?」


 これが大失敗だった。初めて乗る首都高にナビなしで乗る無謀さ。若さゆえ。

 変な車線変更をして何度クラクションを鳴らされたか。ごめんなさい後ろの車。

 僕達は諦めて目についた降り口に向かった。

 ここどこだ?


 今日の目的は東京脱出に決定した。

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