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僕とコウ  作者: 魑魅魍魎
10/25

ゲームとお酒

「せんぱい。そこだめ、あ~。あたしそこ弱いんです」

「ここだろ。弱いの。それ、もうひとつき」

「だめ! もう出ちゃう」


 田所が使っているキャラが場外に飛んで行った。


「せんぱい~。可愛い後輩に手加減なしですか?」

「ハンデはやるが手抜きはしない。それが竹中家のポリシーだ」


 弟とやってると言うだけあって、なかなかいい勝負をする。しかしゲームの持ち主としてはそう簡単に負けてはやれない。


「こんばんは。上がって大丈夫か? ちゃんと服着てるか~?」


 コウが差し入れを持ってやってきた。


「「「乾杯!」」」


 田所はコーラ、俺とコウはビールで乾杯。

 コウが差し入れしてくれたスナック菓子をテーブルに開ける。


「先輩の家、大学から近くで良いですね」

「溜まり場にするなよ」

「それはしろって言う前フリですか?」

「やめてくれ。彼女と鉢合わせになったらどうするんだよ」


 田所は驚いてコップを乱暴に置いた。


「先輩! 彼女いたんですか?」


 田所は、やっちまった~と言う顔になる。


「いや、生まれてこのかた彼女は出来たことがないが。何か?」

「はぁ~!? 何ですか? さっきの発言は! バカですか? 死にますか?」

「将来的にだ」

「唯ちゃんもこの部屋見たら、女っ気があるかどうかくらいわかるだろう」


 田所はゲームと漫画本しか入っていない本棚を見た。


「あたしが浅はかでした」


 ぺこりと頭を下げる。


「わかればよろしい」

「ムカつく~。ゲームでも勝てないし~。コウさんも一緒にゲームやりましょうよ」


 浅はかなだな田所よ。

 コウは僕と同じくらいの腕だが僕より容赦がない。真剣でなければ面白くないだろう? がもっとモットーだ。


「き~! 先輩たちはもっとお酒飲んで酔っ払ってください」


 田所は負けず嫌いらしい。


「飲めば飲むほど強くなる。これが酔拳だ」

「なんですか? それ? お酒飲むと強くなれるんだったらあたしも飲みますよ」

「唯ちゃんは未成年だろう。やめときな」

「そういえば先輩たちって普通にお酒飲んでますけど、大丈夫なんですか?」

「なにが大丈夫なんだ?」

「先輩たちってまだ二年生だからまだ十九才じゃないんですか?」


 僕とコウは顔を見合わせた。


「そういえばたっくんってもうすぐ誕生日じゃないか?」

「ああ、三日後だな。コウは二日前だっけ?」

「先輩たち四月生まれ何ですか? それでもたっくん先輩はまだ未成年でしょう」

「まあ、俺たち浪人してるから」


 田所さんよ。みんながみんなストレートで大学に入れるわけじゃないんだよ。それにたっくん先輩ってなんだよ。

 まあいいや。


「……誕生会しましょう。二人分の」


 いいアイデアが浮かんだ! と言うふうに手を叩いて言った。

 田所よ。どこまで踏み込んでいいかわからなくて話題を変えやがったな。


「いいよ、今度の土曜日でどうだ?」

「あたし料理作ります。ケーキはちょっと作れないので手料理でお祝いさせてくだい」

「田所よ、料理でコウに挑むとはゲームで挑むより無謀だぞ」

「なんで勝ち負けになってるんですか! ってコウさん料理上手なんですか?」

「いや、人並みにできるだけ」


 しれっとして酒を飲むコウ。


「まあ、楽しみにしてるぞ、田所。材料代は俺たちが出すからな。それとケーキは俺の手作りでいいか?」

「たっくん先輩、ケーキ作れるんですか?」

「作れない。嘘です」

「なんでそんなつまんないウソつくんですか? アホですか? 死にますか?」

「……すみません。まあ、飲み物は用意しとく。買い出しも一緒に行くか?」

「はい!」


 こうして土曜日に僕とコウの誕生会をすることになった。

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