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8話

食べたいもの……、!!!!





「先輩あるなら、生姜焼きと卵焼き、ひじきが食べたいです!」





「生姜焼きと卵焼きは作れるけど、ひじきは作り置きのやつになるけど、それでも良ければいいぞ」







「はい! ありがとうございます」





私の返事を聞くと先輩は、少し離れた台所へと向かう。





しばらくして、先輩が料理に集中すると、春菜さんが不思議な顔をし、小声問いかけてきた。





「ねぇねぇ? なんでそのメニューなの? いやなんかさ、やけにニコニコしてるからね」




私としたことが、嬉しさのあまり感情を抑えきれてないみたいだ。







「実はですね……」







ったく人が料理してる時に、楽しそうに飲みやがって。まっいっか、もう出来たし。





「帝一、出来たぞー。飯よそっといて」





「ういよ」





帝一は面倒くさそうに、食器棚を漁り、人数分の米をよそる。







「あとついでに、大皿1枚と、卵焼き入れるいい感じの皿取って。あと味噌汁椀」







めんどくさいから生姜焼きは大皿でいいだろう。何より洗い物をするのは俺だ。







帝一は相変わらずめんどくさそうにしながら、皿を持ってきてくれた。





俺は大皿には、キャベツの千切りと、生姜焼きを盛り付け、もうひとつの皿には、一口大に切った厚焼き玉子をのせた。味噌汁も人数分盛り付け、いよいよ準備万端だ。





「あっあと、ひじきか。日吉ー冷たいひじきと暖かいひじきどっちがお好みで?」





日吉はいつになく笑顔で答える。





「冷たくて大丈夫ですよ〜」





それを聞いた俺は即座に、冷蔵庫から作り置きのひじきを出し、適当な皿に盛りつける。





全ての料理をテーブルに運び、いよいよ晩餐だ。







「いただきます」





そう言いながら、みんなで夕飯を食べる。







「高坂何飲む?」





そういや俺だけ何も飲んでねぇな。





「いつもの、濃いめで行こうかたまには」







帝一はわざわざ席をたち、俺の酒を作ってくれた。







「相変わらず高坂の飯は美味しいわね。帝一も美味いけど、一人暮らししてると、勝手にスキルがつくのかしらね」







一人暮らしはあんまかんけぇねぇかな。





「まぁ小二から全部家事やってたからな。それのせいかと」



ふと日吉の顔を見ると、目には涙を溜めている。



は!?!?!?





「どどうした!? そんなに不味かったか!?」





えっ? いや!? なんで? 春菜は美味いって……。







「とても……、美味しいですよ。

_______________なんだろう、懐かしくて」





懐かしい??





「先輩このメニューみて、何か思い出したせんか? あなたが私にしてくれた、最初の感謝すべき出来事です……」







………







「まぁ高坂、とりあえず飲めや」





帝一がそう言いながら、俺に緑茶ハイを渡す。



俺は混乱のせいか喉が乾いていたから、それを一気に飲み干してしまった。



「日吉、どういうことだ!? 感謝すべき出来事??」





「ったくいきなり一気する馬鹿がいるかっつうの」





そう言いながら帝一は、もう一度酒を作りに行く。





メニュー!?



生姜焼き、卵焼き、ひじき……。















「図書室での事ですよ」







生姜焼き、卵焼き、ひじき、図書室……。







急に脳内に、失われていた中学時代の記憶が、走馬灯のように溢れ出す。



━━━━━━━━━━━━━━そうか、全て思い出したよ。日吉、いや彩。







急な衝撃を受けたせいか、いつの間にか過呼吸になっている。







「先輩大丈夫ですか!?」







「おいちょっ! 高坂! しっかりしろ!」





クソが止まらねぇ、余裕はないが、無理やり奈美を見ると号泣している。その彩を、春菜がとっさに、抱きしめて落ち着かせている。







「日吉ちゃん? 大丈夫よ、高坂はびっくりしてるだけだから。ね? だから落ち着いて」





助かった春菜、ありがとう。







「おい高坂! 日吉ちゃんに心配かけねぇためにも、しっかりしや」





帝一の叫び声が遠くで聴こえる……。



















「あーいででで」





あれ? さっきまで俺は帝一達と飯食ってたのに、なぜベットに??





ふと周りを見渡すと彩が、涙を目にうかべ、待っていた。





すると次の瞬間、彩が抱きついてきた。





「先輩! もう起きてくれないがど思っでまじだぁぁぁぁ……」





その声を聞いて、帝一と春菜が入ってきた。







「ばーか、寝すぎだよおめぇは」





「帝一、俺今回はどれぐらい寝てた?」





「歴代最長記録だ。聞いて驚け、まさかの2日だ」







2日も寝ていた??? は???







「いや救急車呼べし。まぁお前は知ってるからな、大丈夫なことを」







「そうね、今まであんたが起きなかったこと無いもの。まぁ今回は日吉ちゃんも居たし、呼ぶに呼べなかったわね」









「彩……、心配かけたな。大丈夫だ安心しろ。もう全部思い出した、お前と何があったのかもな。俺のことをここまで思ってくれて、ありがとう」







「急にいちゃついてんじゃねぇよ、おめえそれよりいいのか、今日7/25だぞ」











あっ……!?





「今何時だ、帝一?」







帝一はスマホを取り出し、時間を確認する。





「まだ午前10時だな。行くか?」







「俺は行く、お前ら2人も行くか?」





帝一は鼻で笑いながら、言葉を吐き捨てる。







「はなから、そのつもりだ。春菜も行きてぇって言ってたしな。もう用意はしてあるぞ、何時でもいいように、車は引っ張ってきてある」








相変わらず行動の早い男だな、頼りになるな。



「彩、行くか? 俺の過去を知りに」

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