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3話

日吉と中華屋に行ってから、はや1週間が経つ。



それからというもの……、あっ見つかっちまった……。



「彰先輩! 今日一緒に帰りましょー!」



また今日もか……。ずっとこんな感じなんだよなぁ。



「今日はこのあと、店行って書類取りに行くから無理だな」



言い訳が最近底をついてきた……。


日吉はあからさまに落ち込みながら言う。


「そうですか……、じゃあまた今度で」







また断られちゃった……。私の事嫌いなのかな……。



優里の言う通り、やり過ぎなのかな……。




「おーいかわい子ちゃんー」



良いなぁ可愛い子は……。



「おいってば! 君だよ君! 日吉ちゃん」



……えっ? 私?



振り返るとそこには本宮先輩がいた。



「本宮先輩であってますよね? 私に何か用でしたか?」



「いやなんかな落ち込んでるから、飯でも食いに行こうぜって、誘いかな」



待って……、これは高坂先輩のことを聞くチャンスじゃない! これを逃す手はない!



「ぜひぜひ! 聞きたいこと沢山ありますし」



本宮先輩はニコッと笑みを浮かべ話す。



「じゃあ電話するから少しだけ待ってな」



そういいスマホを取り出し電話をかける。



「出るかなー、あっでた。 もしもしー、あー俺。ちょっと日吉って女の後輩と飯食いに行ってくる」



誰だろう?



「いやうん、ごめんってそういうんじゃないよ。前から話してる高坂のやつ」



先輩の彼女さんかな? だとしたらら申し訳ないことをしちゃったかな。



「いつもゴメンな、あいつは腐れ縁だからほっとけねぇんだ。ありがとう」


そう言い終え電話を切った。




「おう、ゴメンなじゃあ行くか! 近場のファミレスで大丈夫?」



「はい大丈夫ですよー! それより先輩大丈夫なんですか?」



先輩は私の不安なんか吹き飛ばすように笑う。


「ん? あぁこの電話ね、大丈夫大丈夫、高坂って行った瞬間諦められたから。彼女も俺とあいつの関係については、諦めてるからな」



それ笑い事じゃないと思います……。


まぁそれぐらい仲良いのかな、2人は……。




あれから私達は、ファミレスに来て席へ着き注文を終えた。




「それで? 聞きたいことって何かな?」



なんとも単刀直入な……。




「ええっと……、言ってしまうと先輩に、何があったのか教えて欲しいんです」


先輩は顎を触りながら悩んでいる。



「んーとな、この話は俺がしていいのかも、分からなければそもそも長くなる。どっから話せばいいかわからない」



やっぱり簡単には教えてくれないか……。



先輩が突如険しい顔になる。


「ひとつ聞くけどさ、なんで自信満々に変わったって言いきれるの? もしかしたら、何も無かったかもしれないじゃん、あっ怒ってる訳では無いよ」



……確かにそう言われると困る。


「一言で言ってしまうと、直感ですかね……。でもなんて言うんでしょう……、確実に中学校の頃より、殺気というか威圧感みたいなものが高まってるんです。昔から確かにありましたけど、もっと優しさに包まれた感じだったんですよ」



私が話し終え暫くすると先輩は、微笑み語る。



「それ聞いて安心したわ。君はあいつの事を分かってくれるかもな……」



「じゃあ教えてくれますか!」



「全ては教えられん、これは本来俺が、言っていいことじゃないからな」



「少しだけでもいいです! 教えてください!」



「しゃあなしだな。彰はな高校に入ってから、とある子に出会った。そいつは色々あって闇が深かった。常人であれば同情する程にな」



そっからどうやったら……。



「でも彰は同情しなかった。それは世間的に見たら、最適解じゃないかもしれない。でもあの子にとっては、彰の対応が最適解だった。それを分かってやったのか、素でやったのかは、わからない」




彰先輩の場合は確かに、どっちか分からない……。



「そして2人は時を待たずに意気投合し、トントン拍子に恋人になった。俺は中学の頃を知らねぇが、この時の彰が、1番楽しそうだった」




彰先輩なら恋人ぐらいいるよね……。でもうちの高校にそんな感じの人見たことない……。



「これが前提条件な。あいつが今こんなになってるのは、大事なものを守りきれなかった。それだけだ」



えっ? どういうこと……!?



「あいつの年齢とか諸々考えても、あれは不可能だった。どう考えてもあいつは悪くない……。でもなあいつはそれを悔やんであぁなってる……、それだけだ」



それって……、闇が増すのもあたりまえか……。



「さぁてギブアーンドテイク、奴の話を教えたんだから、君と彰が昔何があったのか教えて?」



「えっ? いや、それはちょっと……」



「そっかぁー、あー残念だなぁー、教えてくれれば少しぐらい、アドバイス出来たかもなのになぁー。あー残念」



アドバイス!



「教えます! 教えますから!」




先輩は悪い笑みを浮かべる。



「じゃあ聞かしてくれ」



「えっとどっから話しましょう……」

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