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記念日

作者: ももか

彼氏…高坂邦(こうさかいく)(22)

彼女…成巳柑奈(なるみかんな)(22)

高校1年生から付き合っている

同棲中

「づーがーれーだーよおーー」

「いきなり抱き着くなって」

「疲れたもんは疲れたのー」

よりにもよって、なんで今日仕事入っているんだよ、せっかくいっくんと同じ日にお休み取れたと思ったのに。部長め、許さん。

いっくんは休日を満喫していた。ソファに腰かけて、いっくんの好きな本を読んで、コーヒーを飲んで。

その姿を見ると癒されもするんだけど、ずるいと思う気持ちのほうが勝つんだ。

「家から帰ってきたら何するんだっけ?」

「…手を洗う」

「そうだね、はい、行ってらっしゃい」

「うー」

腕をほどかれて背中を押される。

渋々手を洗っている途中。チン、という音がした。電子レンジの音だ。いっくん、小腹でもすいたのかな?

リビングへ足を進めるたびに、美味しそうな匂いがする。それに反応して、おなかがなった。

そういえば、昼ご飯、まともに食べられなかったっけ。

「手、洗ってきたね。疲れてるのにえらいえらい」

「え?」

テーブルの上には、パン、唐揚げ、サラダ、コーンスープが並べられていた。全部、私の好きな食べ物。

「いっくん、これ」

「柑奈、今日急な仕事入っちゃったでしょ?昨日も徹夜だったのに辛いだろうなって思ったから、その、作った」

「いっくん」

頬を少し赤く染めて言ういっくん。長い間一緒にいるから、いっくんは私の体調や感情に気づきやすい。

ふと、周りを見てみると綺麗になった部屋と、綺麗にたたまれた服に気が付いた。

いっくんも疲れているはずなのに、家事、やってくれたんだ。

どうしよう、すっごくすっごく嬉しい。

どきどきする胸を服の上からきゅっと握ると、いっくんが優しく笑い、私の手を取った。

「ほら柑奈。せっかく俺ご飯作ったのに冷めちゃうでしょ。食べよ?」

「うん、食べる!」

いっくんの作った料理、久しぶりに食べたな。すごく美味しい。


「ごちそうさまでした」

「ふー、お腹いっぱい!」

「そりゃ良かった。」

「これからもいっくんが料理作ってくれたら、私の体はいっくんの愛で作られていることになるね!」

「ばーか」

そう言いながらも、いっくんは満足そうな顔でお皿を片付けていた。

「あ、待って」

「何?」

いっくんが手を伸ばしかけたお皿と、それ以外のカップ、スプーン、箸を取った。

「私も一緒に片づけるよ」

「いいよ、柑奈疲れてるじゃん」

「私がやりたいからいいでしょー」

「うん、柑奈がやりたいなら。」

お皿を台所まで持っていき、いっくんは皿洗い、私は片づけをすることになった。

鼻歌を歌いながら受け取ったお皿を片付けていると、いっくんは笑った。

「どうかしたの?」

「鼻歌歌ってたからさ、かわいいなーって」

「ふふーん。だって、こうやって並んで二人で食べたお皿を片付けてるなんてさ、夫婦みたいだなって思って、嬉しいな、幸せだなーって」

そう言うと、さらに笑顔になって

「そうだね」

と、答えた。


お皿洗いも終えて、ひと段落ついた頃。私たちの好きなテレビ番組がやっていた。

「これ、見るの久しぶりだな」

「ね。高校生の頃はよく見てたのにね」

「仕事も忙しくなったしな」

「そうだね。なんか、これ見てると初めていっくんの家に泊まった時のこと思い出すなあ」

「いいだろ、もうその時のことは。」

「やーだね!いっくん、可愛かったんだもん」


いっくんの家に泊まったのは高校2年生のころ。1年記念日の前日だった。

いっくんの両親は共働き。お父さんは飛行機の機長さん、お母さんはキャビンアテンダント。よく同じ飛行機で仕事をしていて、惹かれあったらしい。そのため、よく家にいないみたいだ。

高校生の頃は、毎日一緒に家に帰ってたな。いつも通り帰っている途中、いっくんはずっとそわそわしていた。上の空で私の話を全然聞いてないし、「どうしたの?」と聞いてみた。

すると、恐る恐る口を開いて

「きょ、今日、さ。両親、いないんだ。明日、土曜日、だし。急で悪いんだけど。もし、もし、柑奈が良かったら。俺んち、来ない?」

手を何度もこすりながら、目を泳がせながら、誘ってくれた。

心臓がバクバクして、周りの音なんて聞こえなくて。でも、行きたいから私は

「う、うん」

顔を真っ赤にしながら大きく頷いた。

荷物をまとめていっくんの家に一緒に行った。私は一人でも行ける、といったけれど、心配だから。と待っていてくれた。

夕飯は、冷蔵庫にあるものを使わせてもらって料理をした。お腹が空いていたので早くできる野菜炒めにしたな。それを美味しそうに食べてくれて、ずっと笑顔でいたら気味悪がられて地味に傷ついたっけ。

夕飯の後、たまたまテレビをつけたら私の好きなバラエティー番組がやっていた。司会者が微妙なコメントばかりして、すごく好きだから。いっくんもこの番組が好きで、二人で並んで笑っていた。

この日のゲスト、いっくんの大好きな芸人さんも出ていて、大喜びしていた。ネタを披露する場面があって、いっくんが笑いすぎてむせただけじゃなく、むせた拍子にソファから転げ落ち、頭を打ったんだ。

痛そうにしてたけど、こんないっくん見たことがなくて笑ってしまった。

でも本人はすごく恥ずかしかったみたいで、顔を真っ赤にして拗ねていた。すぐに機嫌は直ったけど。


「一緒に記念日越せたのは嬉しかったけど、頭にでっかいたんこぶできちゃっててね」

「だからもうやめろって」

「やだやだ、ずっと言いたい。面白いし」

「あーじゃあもう知らね」

そういって拗ねたいっくんはそっぽを向いてあからさまな態度をとる。

遊びみたいな感じかな。そう思っていっくんに抱き着く。

「いっくーん、拗ねちゃやだなー?」

「拗ねてない」

「拗ねてるよー。多分。」

「多分かよ。」

「うん。」

「あのさ、なんで今日俺ご飯作ったかわかる?」

「え、私が今日急に仕事入っちゃったのと、徹夜の後の仕事で辛そうだったからって言ってなかったっけ?」

「そうだけどさ、もう一つあるんだよ。わかんない?」

「私への日頃の感謝!」

「違う」

「違うの!?」

「まあ、あってるかも」

なんだろ、と頭を抱えて悩んでいると、いっくんがぼそっと呟いた。

「自分で言ってたこと、思い出せばわかるのに」

その言葉で、やっとわかったんだ

「今日、付き合って6年目!!」

そういうと、私にがばっと抱き着いてきた。

「やっと思い出してくれた。仕事で忙しいのはわかるけど、忘れられてて寂しかった」

肩に顔をうずめて甘えているいっくんのふわふわな頭を優しくなでる

「ごめんね。ごはん、すっごく美味しかったよ、ありがと。

 私なんもできなかったから、今度ちゃんとお礼するね」

「ううん、いらない。」

顔をあげると、私の手首をつかみ、触れるだけのキスをされる。髪の毛が頬にあたってくすぐったい。

「俺、これで十分だから。」

「え、あ、う、うん」

「でもね、俺からはプレゼントあるから」

「ほんと?」

「うん、待ってて」

いっくんからのプレゼントをわくわくしながら待つ。一分一秒が長く感じて、自然と体が左右に揺れていた。

「はい、柑奈」

「クマのぬいぐるみっ、欲しかったやつ!」

「知ってる」

今日は何度も優しい笑顔を見る。にーっと笑い返して、クマのぬいぐるみを抱きしめる。

「嬉しい、ありがとう!」

「これで終わりじゃないからね」

そういって私の左手を取り、薬指にキスをする。

「今日は、付き合って6年目、って記念日だけじゃなくって、もう一つの記念日を作りたい。わかる?」

いっくんの意思をくみ取った私は頷く。

ポケットから取り出したのはダイヤのついた指輪だった。

薬指にぴったりとはまった指輪をずっと眺めてしまう。

「俺と、結婚してください」

「はいっ」

最後ぐだぐだで意味が分かりませんごめんなさい

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