百鬼 我は愁う儚き事
うち、死にたくない。
やりたい事たくさんあるのに。
まだ家族と飯食べたい。
友達とまだ遊びたりない。
大人になって良いお嫁さんになりたい。
命いっぱいに生きたい。
こんなところでくたばってたまるか。
何が戦争じゃ。
戦争なんて終わってしまえ。
戦争なんて…。
あゝ、力が抜ける。
目の前に朱い花が見える。
綺麗な花やな。
あそこが黄泉の国か。
でも、まだ死にたくない。
神様、いるなら返事をください。
うち、死にたくありません。
もっと、長く生きたいです。
お願いです。
おネガいです。
おねがぃでス。
ぉネかイてす。
うち、それからの記憶曖昧なんよ。
感情の追いつかないまま。
ただただ、残りの力振り絞って叫んだけど、
全然声が出ない。
苦しくて仕方がなかったん。
それでも無我夢中で願い乞うたことだけは覚えてるん。
あ、そうそう、そしたら目の前にでかい蛾がいたんよ。
それ見てると不思議と不快感が強くなるんけどな。
藁にもすがる思いでそれにお願いしたら、
死ななくなったんよ。