#2 作者から「ボクボク詐欺」と言われた
「確か……この電話番号で合っているはず……」
僕がある人物の携帯番号にダイヤルを合わせ、電話をかける。
『ハイ、もしもし』
スマートフォンの向こう側で話している声の主は女性。
「もしもし。黒川先生ですか? 僕です、僕」
そう。僕はこの作品のシリーズの作者である黒川先生に電話をかけたのだ。
『どなたでしょうか? 新手の詐欺の「ボクボク詐欺」というものでしょうか?』
早速、彼女から素っ気ない答えが返ってくる。
「「ボクボク詐欺」って……」
実際に僕も「オレオレ詐欺」は聞いたことはあるが、「ボクボク詐欺」は聞いたことがないので、初耳だ。
彼女はある意味、天然(?)。
『そういうのはお引き取り願います!』
「あわわ……僕はまだ何も用件は言っていませんよ?」
『だったら、あなたはどなたでなんの用件でしょうか!?』
早く用件を言わなければ、黒川先生側から電話を切られてしまう。
実際に最初に僕から名乗っていれば、彼女を怒らせずに済んだはずなので、いろいろと反省しなくては。
「黒川先生、大変申し訳ありません。ジャスパーです……。約半年ぶりです」
『ジャスパー先生ですね! 早く言ってくれればよかったのに!』
「今年の年始特別企画の際はお世話になりました」
『いえいえ。とんでもないですよー。なんのご用件でしょうか?』
「あの、僕は試験的に薬の開発をしましたので、その実験を行いたく、電話をかけさせていただきました」
『薬の開発ですか。凄いですね! どのような薬ですか?』
黒川先生が僕に問いかけてくる。
あの薬のことを伝えることにより、僕のことを変な目で見られたら自分の立場がないと思っていた。
「ロリショタ転生薬の錠剤と人形転生薬の粉薬の2種類です」
あっ……ついに言ってしまった……。
おそらく、彼女はそのことを聞き、「こんな趣味があったんだー」とか言われたくない。
『なんかカオスな展開がありそうな薬品ですね。誰か実際に体験されたりしないのですか? なんなら、私が実験台に……』
「黒川先生が実験台ですといろいろと支障をきたしますので……」
『それだったら、友梨奈達は? 彼女らは中高一貫校だから高校受験がないので、フリーのはず……?』
黒川先生が直々に実験台をやってもいいと言ってきたので、僕は正直言って驚いた。
しかし、彼女は本業や他の作品の絡みがあるため、実験台だといろいろと支障が出るから止めてほしいところではあったが、やはり、彼女からも友梨奈さん達を薦めてきた。
「そうですね……」
『ところで、私は?』
「黒川先生には作者特権として僕の助手を……」
『やっぱり、「ボクボク詐欺」だぁ! 警察や消費生活センターに問い合わせルートだ!』
「違いますよー。違いますってばー!」
こうして、本来は医者という職業の僕はこの作品の作者である黒川先生から「ボクボク詐欺」と言われる詐欺師だと印象をつけられるのであった。
そのあと、僕は黒川先生に何回か電話をかけましたが、出てくれませんでした。
このまま、このお話は終わってしまうのでしょうか……?
終わらないことを祈りましょう。
2016/10/08 本投稿