#22(最終話) クリスマスパーティー
友梨奈さん達を待っている5人は「そろそろかなぁ……」「どうかなぁ」と言いながら玄関先で待っている。
その時、カチャっと部屋のドアが開いた。
「あっ!」
「2人が帰ってきた!」
「凪ちゃん、友梨奈ちゃん」
「「おかえりー!」」
「「ただいまー!」」
友梨奈さんと凪さんがおつかいを終え、マンションに戻ってきたのだ。
「あっ、なんかいい匂いがする」
「そうだね」
キッチンからは美味しそうな匂いが友梨奈さん達の鼻孔を擽る。
「今、黒川先生が料理を作っているからね」
「そうみたいだね」
「買ってきたものを渡さないとならないから、リビングに行かなきゃね」
彼女らは買ってきた牛乳、小麦粉、卵が入った袋とポシェットを持ち、黒川先生がいるキッチンへ向かった。
「あっ、2人とも、おかえりー」
「「ただいまです」」
「買ってきたものと」
「財布が入ったポシェットです」
彼女は友梨奈さん達が買ってきたものなどを受け取り、1つずつ確認する。
「うん、全部揃ってるね。お疲れ様!」
「「ありがとうございます」」
「飾りつけはすでに終わっているし……。今、ローストチキンを焼いているから、みんなでケーキとクッキーでも作ろうか?」
黒川先生がこう言うと、いつの間にかに先ほどまで玄関先にいた5人がリビングに戻ってきており、返事をした。
◇◆◇
あのあと、全員で楽しそうにケーキやクッキーを作ったりしているので、僕は今回の実験の反省点をメモ帳にまとめている。
おそらく彼女らは気を遣ったのだろうと思ったが、実際には分からない。
今はざっくりとまとめるとして、最終的なものは最後に書くとしよう。
その時、扉を叩く音が耳に入ってきた。
友梨奈さんは「失礼します」と言って入ってくる。
「友梨奈さん、どうされたのですか?」
「黒川先生がジャスパー先生を呼んできてと言われたので」
なぜ、彼女は友梨奈さん経由で呼び出したのだろうか?
その点が少し気になったのだが……。
黒川先生から呼び出されているならば仕方がない。
僕は全員が集まっているリビングに駆けつけた。
◇◆◇
リビングにはたくさんの料理が並んでいた。
早紀さんや勇人くんがキッチンから人数分の食器を出している。
「黒川先生、なぜ、友梨奈さん経由なんですか?」
僕は彼女に少し拗ねながら言うと、「たまにはいいではないですか」と答えた。
確かに、クリスマス料理を作っていた黒川先生からしてみれば、手が話せない状況だったに違いない。
「それならそうと言ってくれれば――」
「先生、今は口論(?)をしている場合ではないですよ」
僕が話している途中で聡くんが遮ってきた。
「存じ上げていますよ? 今日はクリスマスだということを」
「「なら、楽しみましょう!」」
柚葉さんとまひろさんが僕の手を片方ずつ掴んでくる。
僕は何度も言うように、36のおじさんと言われる年齢ではあるが、若さをもらうのもありかもしれない。
ちょっとした両手に花だ。
「さて、仕事のことは1回忘れましょう!」
「私も」
「そうこなきゃ!」
僕と黒川先生も1回仕事や更新のことを忘れて、彼女らとクリスマスのひと時を過ごすのであった。
2016/12/25 本投稿




