表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/25

#20 はじめてのおつかい(凪さん・友梨奈さん編) その2

 毎回同じになってしまうが、今回のおつかいルートを説明。


 今回はマンションを出て、聡くん達が行った道と反対方向を道なりに歩いていく。

 その道を大体半分くらい歩いたところの角に古本屋が現れ、そこを左に曲がる。

 あとはひたすら道なりに歩いていくとショッピングモールに着く。

 そこの食料品売場で牛乳、小麦粉、卵を買って戻ってくるというルートだ。


 しかし、今回も注意点がある。

 1つ目は古本屋で飼われているイヌ。

 そのイヌは大型犬であり、人やモノに敏感らしく、通っただけで威嚇したり、「ワン!」とよく吠える。


 2つ目は今回行くショッピングモール。

 そこにはお菓子売り場やフードコートが存在する。

 おそらく大人もそうだろうと思うが、甘ーいお菓子の誘惑というものがあるだろう。


 よって、イヌに怯えず、大人でも誘惑となるであろうお菓子。

 その2つに気をつけておつかいに行けるかが焦点だ。



 ◇◆◇



「最終ペアの2人行きました!」


 今回の友梨奈さん達で「ロリショタ転生薬ではじめてのおつかい」の実験は最後となる。

 僕は彼女らのおつかいも黒川先生と見ることにしたのだ。


「黒川先生、今回が1番マトモなおつかいですねー」


 僕は少し皮肉混じりに彼女に言うと、「えっ、そうですかねぇ?」と、とぼけた口調で答えてきた。


「とぼけないでください。1番最初おつかいはシャーペンの芯ですよ? そこからお菓子づくりに必要な牛乳、小麦粉、卵ですからね」

「あははは……確かに今回のおつかいはマトモかもしれません」


 黒川先生は苦笑を浮かべながらであるが、最後くらいはマトモなおつかいの内容で行かせたかったと思われる。


「ならば、今回は2人に頑張ってもらわなきゃですね」

「そうですね」


 僕達は友梨奈さん達のおつかいの様子を画面越しで見守る――。


 ◇◆◇



 彼女らはたまたま降りてきたエレベーターに乗り、僕や黒川先生が望んでいた低いところにあるボタンを押す。


『ゆりなちゃん、すこしきんちょうするね』

『うん。なぎちゃんも?』

『あたしも』


 友梨奈さん達は少し緊張しているようだ。


『たのしくおつかいにいければ、おねーさんになれるから、がんばろう?』

『そうだね。わたしもはやくおねーさんになりたい』

『そうこなくっちゃ!』


 彼女らは現実的なことを話しながら、エレベーターから降り、マンションを出た。



 ◇◆◇



 マンションを出て、道なりに歩いているうちに歩いている時に『ワン!』とイヌの鳴き声が友梨奈さん達の耳に入ってきた。


『あ、あたし、イヌはにがてなんだ……』

『わたしもイヌがきらい……』


 彼女らは近くの電柱の陰に隠れて怯えている。

 どうやらはイヌが苦手なようだ。


『あなたはひっこんでいなさい……?』

『……ゆりなちゃん……?』


 あっ……僕は重要なことを忘れていた。

 友梨奈さんが服薬した「ロリショタ転生薬」には他の人が服薬したものとは異なる要素が含まれていたのである。

 薬の要素はほとんど同じであるが、彼女が服薬したものは「悪役令嬢」要素が少量含まれていたのだ!


「……やらかした……」

「どうしたんですか?」

「友梨奈さん……」

「友梨奈がどうかしたんですか?」

「僕の軽率な発想で「悪役令嬢」要素を含んだものを彼女に服薬させてしまいました……」

「マジか!」

「えぇ」

「まぁいいんじゃないのですか? 1人くらい違う要素が入ったとしても、面白いと思いますし」


 く、黒川先生?

 あなたは僕のことをフォローしているのですか?


 今はそのことは置いておいて、彼女らのおつかいの様子をただ見守ることしかできなかった。

2016/12/24 本投稿

2016/12/25 誤字修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

その他の作品はこちらから(シリーズ一覧に飛びます。)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ