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#18 はじめてのおつかい(柚葉さん・まひろさん・聡くん編) その3

 あれから、柚葉さん達は周囲を見回しながら小さな足で1歩ずつコンビニエンスストアに向けて歩いている。


『あっ、コンビニがあったよ!』


 聡くんがコンビニエンスストアを指さした。


『やっとみつけたね』

『そうだね!』

『まだまだ、トイザうすまでとおいよ?』


 彼が言うようにトイザうすに行くにはそこを曲がり、さらにまっすぐ行かなければならない。


『まだ、いっぱいあるかないといけないんだね』

『うん』

『はやくしないとみんながしんぱいしちゃうからね』



 ◇◆◇



 意外とこの3人は周りのことを見ることができるタイプなのだろうかと僕は思った。

 その隣で「まひろが可愛い……」と言う黒川先生。


「確かに、先ほどの早紀さん達も可愛かったでしたしね」

「さすが、ジャスパー先生です! さすジャスっ!」

「あ、ありがとうございます」


 彼女は画面を見て、「また歩き始めましたねー」とその様子を見届ける。


「今度は歩道橋で行くか、横断歩道で行くかの選択肢ですからね。彼らはどちらを選ぶかは分からないですが……」

「そうですね」


 僕達は引き続き、聡くん達も画面越しから見守っていた。



 ◇◆◇



 そして、彼らはついに歩道橋の前に辿り着いた。


『おうだんほどうとほどうきょうがあるよ』

『どっちで行く?』

『あたしはおうだんほどうがいい』

『ぼくはほどうきょうがいいかな』


 まひろさんと聡くんが自分の意見を言う。

 一方の柚葉さんは少し複雑な表情を浮かべながら、少し頭を悩ませているようだ。


 確かに、横断歩道と歩道橋は子供にとっては危険が潜んでいる。

 横断歩道は信号で動いているため若干ではあるが、安全かもしれない。

 しかし、信号の待ち時間や歩道の長さもあり、待っていられるかや信号を渡り切ることができるのか……。

 一方、歩道橋は信号を待たずにすぐにいける反面、地面からの距離があるため、怖くなったりするかもしれない。

 実際に高所恐怖症の方もいらっしゃるし……。


『わたしはたかいところがにがてだから、まひろちゃんとおうだんほどうがいい』


 柚葉さんがまひろさん達みたいに自分の意見を彼女らに告げる。


『ゆすはちゃんもたかいところがにがてなんだ。あたしもそうだよ』

『そうなんだ』

『ねぇねぇ、ちょうどしんごうがあおだよ。いそいでおうだんほどうをわたろう』

『『うん!』』


 彼女らは小走りで横断歩道を駆け抜けた。



 ◇◆◇



「なんとか赤信号にならないうちに柚葉さん達は横断歩道を渡り切りましたね」

「そうですね。まさか、柚葉とまひろが高所恐怖症だったとは意外だったなぁー」


 僕達は彼女ら3人で喧嘩してしまうかどうか心配になったが、穏便な方法は「自分の意見を伝えること」が大切なのだと感じさせられた。


「もうすぐトイザうすに着きますね」

「おもちゃの誘惑に負けないで!」

「子供の心理を(くすぐ)りますからね」


 さて、これからのおつかいが始まる。

 彼女らはおもちゃの誘惑に負けずに買い物をできるのかな?



 ◇◆◇



『いらっしゃいませー!』


 トイザうすの女性店員が出迎えるが、聡くん達はすでに売られているおもちゃに目移りしている。


『ぼく、コレがほしい!』

『あたしはコレ!』


 聡くんとまひろがさんがおもちゃを見て選んでいた。


『さとしくん、まひろちゃん。ちゃんと今は「おつかい」にきてるんだよ? おもちゃを買いにきたんじゃないんだからね?』

『『ハイ』』


 柚葉さんがこう言うと彼らはしゅんとした表情をしていた。

 しかし、今回はおもちゃを買うことが目的ではなく、クリスマスの飾りを買うというもの。


『ごめんなさい』

『ゆるしてください』

『うん、わかればいいよ』


 その時、『みんなは迷子かな?』と店員が彼女らに声をかけてきた。

 聡くんが『ううん、ちがうよ。おつかいにきたんだ』と答える。


『何を買いにきたのかな?』

『クリスマスのかざりをかいにきたの』

『クリスマスの飾りはこっちだからついてきて』


 その店員についていった彼女らの視界に入ってきたのはたくさんの種類のクリスマスツリーの飾り。

 それを見た柚葉さん達はどれにしようか迷いながら、届かないものに関してはとってもらいながら、飾りを選んでいた。


『コレでおしまい』

『じゃあお会計するから待っていてね』

『『ハーイ!』』


 その店員に再びレジまでついていき、そこで別れる。

 お会計を済ませた彼女らは『ありがとう』といい、トイザうすから出ていった。



 ◇◆◇



「ついに、柚葉達のおつかいが終わりましたねー」

「柚葉さんが今回でよかったですよ」

「それはなぜですか?」

「もし、友梨奈さんは自分の意見を伝えることが苦手でしょうし、凪さんは普通におもちゃとか買ってくると思いますからね」

「それは言えてるかもしれません」

「ですよね?」


 それが今回のおつかいのまとめである。


 あれから数10分くらい経ったあと、彼女らはロリショタからもとの体型に戻っていた。


「なんかもとの体型に戻ってるけど……」

「本当だ」

「でも、なんか楽しかったよな?」


 柚葉さん達は各々の感じたことを言いながらマンションに帰ってきた。


「「おかえりー」」

「おかえりなさい」


 相変わらず僕達は全員で出迎える。

 彼女らは「「ただいま!」」と言い、リビングに置いてあるクリスマスツリーの飾りの少ないところに飾りをつけたし、飾りつけが終わった。


 あとおつかいにいっていないのは友梨奈さんと凪さんの2人だけ。

 最後のおつかいは果たしてどうなるのだろうか……。

2016/12/22 本投稿


※ next 12/23の0時頃更新予定。

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