#14 はじめてのおつかい(早紀さん・勇人くん編) その2
まずは今回のおつかいの大まかなルートを。
まず、早紀さん達はエレベーターで1階まで降り、マンションから出、向かい側へ行くために、信号がある押しボタン式の横断歩道を渡る。
その道から左へまっすぐ行くと、小さな駄菓子屋が現れ、その角を右に曲がる。
少し歩いたところに薬局があり、その隣が文房具屋である。
一応、彼女らには念のために、黒川先生がいつも使っているシャープペンシルの芯の容器を持たせたので、おそらく早紀さん達はどれかは分からなくならないはずだ。
さて、ここからは僕がパソコンの画面に映し出された映像から描写をさせていただこう。
ちなみに僕が持ち込んだカメラはパソコンのデータと繋がっているため、カメラを持っていればいつでも見ることができるということだ。
◇◆◇
彼女らはエレベーターをくるのを待っていた。
『まだかなぁ』
『遅いね……』
約1分くらい過ぎたあたりでエレベーターが早紀さん達のところに到着。
そのエレベーターは車椅子を使用している方や今の彼女らみたいに小さな子供でも使えるよう、バリアフリーされているものが設置されているようだ。
『さきちゃん、ボタンにてがとどきそう?』
『がんばってみるー』
早紀さんは手を伸ばして……って、そっちは違う!
君達は低いところにあるボタンを押せばいいの!
申し訳ない、思わず素が出てしまった……。
『ゆうとくん、とどかないよー……』
『エレベーター、うごかないね……』
彼女は普段僕達が使っている方のボタンを押そうとしていたのだ。
そのボタンだとエレベーターは動かないのは当然だ。
『あっ、したにもボタンがあるよ』
『ほんとうだ。おしてみるね』
勇人くんが低い位置にボタンがあることに気づき、「1」のボタンを早紀さんが押す。
『『わーい! うごいたー!』』
彼女らは狭いエレベーターの中で喜び合っていた。
そして、1階に到着した早紀さん達は押しボタン式の横断歩道をめがけて走る。
幸いにも通行人がおり、信号も青だったため、きちんと右手を上げて横断歩道を渡った。
『こんどはだがしやさんをさがさないとね!』
『そうだねー!』
2人は全く異なる反対方向である右へ向かって歩いている。
◇◆◇
僕は彼女らの様子を見ながら、この文章を書かせていただいているので、少し抜けたりしているかもしれない。
今のところは少し可愛らしい場面はあったものの出だしは上々だ。
「次は駄菓子屋を探さなければならないところだな……」
「おっ!? 横断歩道を渡りきりましたね」
いつの間にかに小さくなった友梨奈さん達の面倒を見ていた黒川先生が僕のところに駆けつけてきた。
「く、黒川先生!? い、一応、彼女らは横断歩道を渡りきりました。今度は駄菓子屋を目指しているところですが……」
「どうも。……って、反対方向ですよ!?」
「そうですね」
「「はじめてのおつかい」ってそういう場面があるから面白いんですよね!」
「確かに面白いかもしれません。しかし、ここからは彼女らはどうやって行くのかが彼女らをどれくらい成長できるかが楽しみだったりしますからね…………」
僕達はこう話しながら、早紀さん達の「はじめてのおつかい」の様子を見守った。
2016/12/17 本投稿




