#11 いざ、現実世界へ
僕と黒川先生は「ロリショタ転生薬」によってちびっ子に転生された7人の実験者が元の姿である中学生に戻らぬように見守りながら現実世界へ戻っている。
「うわー!」
「すごーい!」
「あっというまにうごいてるようにみえるよ!」
「ぼくたち、とりさんになったみたい!」
「ビュンビュンすすんでるよー」
「おにーさんはすごいひとだー」
「マジシャンだ!」
さすが、ちびっ子。
こんなに僕の瞬間移動に純粋に喜んでいるではないか!
これに関しては「おにーさん(前回も書いたけど、僕は「おじさん」と言われそうな年齢だ)」にとって、凄く嬉しいよ!
しかし、能力を発動させながら、元の姿に戻らないようにする。
そのことは手術や薬の開発よりも神経を使う。
ちびっ子はなんでも興味を示してくるから、それはそれで面白いが――。
「気持ち悪い子、いないかな?」
黒川先生が心配して彼らに問いかけてみる。
「「ハーイ!」」
「ぼく、げんきだよ」
「わたしもー」
どうやら、全員元気そうでよかった。
「今のところ、友梨奈達は大丈夫そうですね」
「これでも速度制限をかけて移動していますので、おそらく酔わずに済むと思いますが、実際には分からないところですね……」
「そうなのですか」
「えぇ」
本当にその補償はないが、僕は酔わないように気遣うことも仕事なのかなと思ったりしている。
彼女らはもちろんのこと、僕自身や黒川先生も――。
僕が「まもなく着きますよー」と彼女らに告げると、「「えーっ! もう?」」と言われてしまった。
「大変申し訳ありません。確かにもう少し楽しませてあげたいのは山々なのですが……また今度、乗せてあげますね」
「「わーい!! やくそくだよ?」」
「分かりました」
「ジャスパー先生がちびっ子と約束ごとをしてる! ボイスレコーダーを持ってくればよかったぁー」
黒川先生がまさかの「ボイスレコーダーを持ってくればよかった」発言には僕も驚いた。
まぁ、僕もカメラを持ってきたので、同類ではあるが――。
「さて、着きましたよ」
「ここでやるんですか!?」
「そうですよ」
着いた先はマンションの1室。
そこで「ロリショタ転成薬」で「はじめてのおつかい」の実験の舞台となるのだ。
これからどうなるかが楽しみだ。
2016/11/27 本投稿




