#10 そろそろ現実世界に戻りましょう
「ジャスパー先生はいろんな意味で分かりやすいんですよ! チョップ、チョップ……!」
「痛い! チョップは痛いですから止めてください!」
黒川先生のチョップは痛い。
彼女は僕になんてことをしているんだ!?
それはさておき、僕の開発した薬である「ロリショタ転生薬」によってちびっ子に友梨奈さん達が首を傾げながら見ているではないか!?
「おねーさんたち、なかよしだねー」
「ねー」
「おにーさん、ほっぺ、あかいよー」
「ほんとうだー」
ロリっ子の女の子達が僕達の方を見てくすくすと笑っている。
「「おにーさん」って照れますね……」
「もー……友梨奈達ったら……」
実は僕、「おにーさん」という年齢ではない。
実際には30代半ばの「おじさん」と呼ばれてもおかしくない年齢だ。
確か、彼女らは中学3年生だから、14歳か15歳くらい。
一応、試供品として作ったものは現在の年齢から10歳くらい引いた年齢に設定しているため、4歳か5歳くらいになっているはず――。
「ぼく、はやくおつかいにいきたい!」
「ぼくもー」
「わたしもー」
普通なら「やだー」とか言われると思われるレベルなのに、ここまで意欲的だとは思っていなかった。
おそらく、現実世界に着いた途端、いやがるかもしれないが……。
「さて、そろそろ、現実世界に戻りましょうか。実験もありますし……」
「そうですね。って……そのカメラは?」
「そのカメラは彼女らの「はじめてのおつかい」の様子を収めようと思いまして……」
「もしかして、妻子持ちですか?」
「いぇ、そんなわけ……僕は独身ですよ」
「先ほどは人形やフィギュアでしたが、今度は子供……。ジャスパー先生の能力で瞬間移動をすることができるのですか?」
「大丈夫ですよ」
もしかして、重量オーバーのことを心配しているのだろうか。
僕の瞬間移動は体重制限はないが、1人から10人までという人数制限があるだけ。
「まぁ、おそらく着くところは理科室かなぁと思うけど」
「さぁ、それはどうでしょう」
「また闇のような笑顔ですね」
「そうでもございません……とは言えませんがね……それは運次第ですね」
僕は現実世界へ人数を確認し、カメラセットを抱え、瞬間移動を発動させた。
2016/11/26 本投稿




