ある侯爵令嬢の大いなる野望中編その2
明日の後編でこの侯爵令嬢の話は終わりです。
意気消沈した私にマナが試してみますか?と尋ねます。だから私はお願いします、と言ってしまいましたわ。
「本当にできますの?」
破れかぶれになって荒んだ私は、どうにでも慣れと思っていたのです。
「一応大丈夫だと思います。ですが、失敗する時もありますので期待はしないでください」
失敗してしまうかもしれないとマナは言ってますが、試さないで負けるのは許せません。
「構わないわ。できる事は全部やりますわ」
「そうですか。この秘蔵の魔方陣シーツの上にお眠りください。それでは、お嬢様お眠りください」
マナに言われた通りに眠りました。頭の中に願いは叶うが悪夢も呼ぶぞと囁く声が聞こえてきましたが、眠くて眠くて答える事はできませんでした。
「お嬢様おはようございます。魔方陣は成功しましたね」
マナに起こされ夢が叶ったと聞いてすぐ見てみますと、今までなかった胸が信じられないくらい大きくなってますわ。
「……マナ、これは夢ではないの?本当に大きくなってます?」
信じられなくて、思わずマナに聞いてしまいましたわ。
「お嬢様、大変です。ドレスを全て作り替えないといけません。すぐ旦那様にお伝えしないといけませんね」
ああ!嬉しい〜!これでグレーザー殿下に振り向いてもらえますわ!
「お嬢様、私が念の為にドレスを直してます。着替えをして旦那様に報告しましょう」
マナの渾身のドレスを着てお父様達との朝食に向かいました。皆の驚く姿が目に見えるようですわ。マナが開けたドアを通りお父様達の側に行きます。
「⁉︎エヴァ!!それは…どどど、どうしたんだー!」
お父様の取り乱した声が響いたと思ったら、私の胸に指差ししながら顔を赤くしたお兄様がいます。
「エヴァ!!その怪しからん物は何だ!!捨ててこい!」
お兄様の心無い言葉に、マナから聞いた一族の性癖を思い出しました。チッパイ好きだという事を!
「お兄様、これはグレーザー殿下を射止める為の物。捨てる訳にはまいりません」
そう!これはグレーザー殿下をあの乳娘から取り戻すための手段。地位も教養も兼ね備えて、大きい胸を手に入れた私は無敵ですわ!
「そ、そうだった。グレーザー殿下はでっかい物をお望みだったな。……我が家とは正反対だな」
お兄様!聞こえましてよ!チッパイが好きなんですね!
「エヴァちゃん!お母様も大きい胸が欲しいわ!教えて!」
お母様も大きい胸に憧れてましたのね。横のお父様の顔が青ざめてます。
「や!やめてくれ!リーヴァ!今のままの君を愛している!」
お父様がお母様に縋って巨乳計画阻止に懸命です。
「…フリーズ、私も貴方を愛しているわ」
お母様はお父様に愛していると言われて涙ぐんでいます。普段は、そんな事を言わないお父様でしたので喜んでますね。
「そうだ!君が前から行きたがっていた場所に旅行でも行こう!」
お母様のご機嫌とりに必死なお父様。ちょっぴり不憫ですわね。
「お仕事が忙しいのでは?」
「母上、仕事は私が代行します。心置きなく父上との旅行を楽しんで来てください」
お父様の為にお兄様は、お母様の巨乳計画を阻止に力を貸しています。
「お父様、私ドレスを新調してもいいかしら?」
「好きにしなさい」
「今度の夜会に着て行くドレスを新調させてもらいますわ。お兄様、パートナーになってくださいね」
そう!今度の夜会で、絶対に私がグレーザー殿下の心を掴んでみせますわ。見てなさい!乳娘!負けませんわ!