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ある侯爵令嬢の大いなる野望。中編、侍女から見たお嬢様。

私の仕えているお嬢様は面白い。小さい頃から変な言動が話題になっている。


「わたくしは、お兄様になる〜!」


と言って男装してみたり。剣術を習って、手に豆ができ泣き叫んでみたりと、見ていて面白いです。人ではない物になると言われた時は驚きましたが、どこからそんな思考になるのか?周りの私の一族の注目の的です。


「グリフォンになるわ〜!」


崖から飛んだりした時には、焦って一族の者がフォローしましたが肝を冷やしました。変な方向で、他の令嬢に負けない様に努力をしています。


「マナ、わたくし絶対グレーザー殿下のお嫁さんになるわ。応援してね」


そして、今度はグレーザー殿下のお嫁さんである。見ているだけでも飽きないお嬢様の行動に、今は一族固唾を呑んで見守っている。一応釘を刺すのは忘れずしている。


「お嬢様、無謀(むぼう)な事はお止めください」


止めないだろうお嬢様は猪の如く突っ走るであろうが。怪我をしなければいいか、と私は思ってます。


「何故よ!わたくし本気よ」


お嬢様の本気は面白いですが、今度はグレーザー殿下に一目惚れですか?王妃になる夢を掲げた様です。

あの殿下は止めておいた方がいいのですが、言って聞くお嬢様ではないのでやるだけやったら諦めるでしょう。


現在トップ更新中のお嬢様日誌が一族の話題1番人気で、私の仕事の評価が上がってます。娯楽紙を提供する私に協力してくれる人で一杯です。お嬢様ありがとうございます。お陰で賭けの度に私の一人勝ちで資産が軒並み増えています。結婚資金も溜まりました。後は年下の夫を攫って……いいえ、捕まえるだけです。


私達一族は、娯楽の1つに行動賭けを良くやります。次はどうするかを予想して、当たりの者は賭け金全てもらえます。今は私の予想が良く当たり懐がホクホクです。主夫をもらえます。私の天下です。


「ではお嬢様、人様に迷惑をかけない方向で努力してください」


念のための注意も忘れずにします。言っても直ぐに忘れるのがお嬢様ですね。鳥のように、頭の中から直ぐ飛んで行くようです。


「分かっているわ!」


プリプリ怒りながら部屋に戻って行きました。私達一族は娯楽を求める者です。偶然見つけた(娯楽を提供してくれそう)クレーマー家に仕えています。この一家は見ていて面白いのです。初代からの日誌が子孫である私達は読む事ができます。すご〜く面白くてお腹が痛くなります。これがあるので止められません。


あの決意の日から月日が過ぎて、年頃になったお嬢様は王妃になるのに必要なマナー、教養、外交に必要な語学、会話術とどの令嬢にも負けない物を身に付けられました。魔獣のペットより覚えの悪かったお嬢様が立派に。私達はポロリと溢れる涙なくては語れない、お嬢様のダメダメぶりに匙を投げなかった教師に頭が下がります。


「グレーザー殿下が婚約パーティーを開くと言うのよ!誰が選ばれたの!」


お嬢様は意気消沈です。自分が選ばれなかったのが不思議に感じているのでしょう。あれほど頑張って、周りからも次期王妃と言われてましたしね。


「お嬢様、落ち着いてください。パーティーに参加すれば分かりますよ」


私達は秘密の情報網で、謎の婚約者の事も知っています。お嬢様にショックを与えるのは忍びないですが、実際に見てもらって納得した方がいいでしょう。勝てない相手です。遺伝的に負けています。


(わたくし)が負けるはずないわ!グレーザー殿下に選んでもらうわ」


まだ、希望を捨てないお嬢様ですが……無理ですよお嬢様。相手は爆乳な女性だそうです。殿下の趣味が大きい方なら勝ち目ありませんから。お嬢様はお世辞にも大きいとは言えないつるぺた、それも子々孫々筋金入りですので、希望は無いですよお嬢様。


パーティーが始まって、私は侍女の控え室で待機です。一応控え室にはお茶と茶菓子が置いてあります。王城のお菓子は美味しいので密かな楽しみになってます。


「ねえ、貴方は聞いてる?グレーザー殿下が婚約者を紹介するの」


「ええ、一応聞いてます」


「内緒だけど、私見たのよ。その子すご〜く大きい胸だったわ。殿下の趣味があれだったら家のお嬢様では太刀打ちできないわね」


「え!じゃあ家のお嬢様でも無理だわ」


「同じく無理ですよね〜。お嬢様気の毒に」


数人のグループが集まって話してます。聞こえていますが、私としてはお菓子を食べるのに忙しいので話には加わりません。慰め合いをした所で結果は変わらないし。お嬢様が、どうにかしたいと言った時には秘蔵の薬か魔方陣を勧めてみようかな?と思ってます。


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