ある侯爵令嬢の大いなる野望。前編
私この国の侯爵令嬢、エバンジェリン・クレームですわ。王妃になる為に過酷な授業を受け、厳しい指導にも耐えてきましたのに……唯の平民に!乳がでかいだけの女にグレーザー殿下を奪われましたわ!あれだけあれば良いなら努力しましたのに!
「あのでかいだけの女に奪われましたわ!そうと知っていれば努力しましたのに!」
悲しい事に私の胸は小さいのです。色もぽっちも、さくらんぼの様だとメイドのマナが褒めてくれますが、小さいのはどうにもできません。
「お嬢様、それは無理でございます」
マナに大きくする事が無理だと言われてしまいましたわ。
「努力すれば何とでもなれましたわ!」
早くに分かっていれば大きくする為に何でもしましたわ。
「いいえ、努力が悪い訳ではなく、お嬢様の家系では大きくなる事はあり得ないのです」
家系的無理?そんな馬鹿なこと!信じられませんわ!
「え?嘘を吐かないで!」
マナは私をからかっているのでしょう!
「古くから何代にも渡り仕えてきた、私達一族の日誌に載っております」
古くから?そんな我が家の歴史書が?ありますの?
「そんな物が存在しますの?」
マナに尋ねます。聞いた事がありませんから、秘密だったのかもしれないわ。
「はい、記録日誌です。我が一族の趣味ですね。その為に仕えています」
その趣味を、認める事を条件に仕えていたと聞いた時には呆れました。マナの一族は何を考えてますの!訳わかりませんわ!
「し、趣味〜!…私達の生活が趣味」
「初代からありますが面白いですよ。この日誌を作る事に、我が一族がいると言っても過言ではありません」
このメイドは古くから仕えている一族ですが……理由が酷い。そして、面白がっている。
「…面白いから日誌作り」
「はい、そうそう!お嬢様が無理な理由ですが、今まで1人も巨乳の奥方様もお嬢様もいた事がありません」
「えっ?1人も⁉︎いないの?」
「ええ、いません。旦那様の一族は、チッパイ大好き家系で埋め尽くされています。奥様探しでは、親族に巨乳がいないか丹念に調べてからでないと奥様になさいません」
知りたくなかったお父様の真実と、恐ろしい事実が発覚しました。私の胸は大きくなる事はないのですね。グレーザー殿下の好みの女性になる夢が壊れました。わああああーっ!あれほど頑張ったのに〜!
ひれ伏して泣いている私にマナが優しく話しかけてきます。
「手がない訳ではないですが……お嬢様、試されます?」
大きくなる伝手があると、メイドのマナが話してくれました。最後の希望に賭けますわ!
「ええ、お願いしますわ」
本当に大きくなれるが分かりませんが、今まで頑張った私自身の為に試してみます。