第3話
第3話は勇者視点です。
くそっ!俺の人生にケチが付いた!勇者だとー!なりたくもない。せっかくミリを妻にできたのに!小さい頃から、誰にも盗られない様に側に置いていた。母親がいない俺が泣いていた時に、抱き締めて癒してくれたミリを隣のテントに居る聖女に、ミリとの結婚を無効にされた!忌々しい聖女だ。選ばれたら断れないと言えど、せっかく結婚したのに無効にするなんて理不尽だ。ミリが他の男に取られたらどうするんだ!早く用事を済ませて帰るぞ!
「勇者様、お食事の用意ができました」
聖女である姫様付きの侍女が、食事の用意をしてる。歳はミリより上だが、持ち物はミリより劣る。だが、許せる範囲だ。聖女は論外!あんな者の為に戦う気も、守る気も起きない。旅の間は、この侍女に癒してもらわなければやる気も起きない。俺には不可欠な物だ。ミリ待ってろすぐ帰る。それまでこの女を代用品にする事は許してくれ!
「俺との約束を果たしてるくれ」
「…はい」
この行為を許さなければ、行かないと言うと、姫様には内緒の条件で俺は侍女の胸に顔を埋めた。このホワホワ感と、跳ね返る弾力、くんかくんか甘い体臭を嗅ぐと堪らない〜!薄いが匂いはミリと似ている。これが無いと俺は生きていけない!生まれた時に亡くなった母親。もらえる母乳をもらえなかった反動だろうと思ってる。
「…勇者様、遅れると聖女様の機嫌が悪くなります」
真っ赤になりながら逃げようとするが許す訳がない。面白くも、待遇も良く無い強制された旅だ。手に入れたミリを奪った、聖女であり王女様な女の我儘な性格を許容できる男じゃない。俺は心が狭いんだ!侍女であるこの女がいなければ我慢できなかっただろう。服を着込む侍女を置いて俺は食事をしに行った。
「…分かった」
食事をしに火の側に行った。にこにこしながら、食事を始めた俺の邪魔をする聖女。ゆっくり食べる事も出来ないのかイライラする。俺の気持ちなどお構い無しに喋る聖女を無視していると周りのお付きの人間が睨んでくる。気付かない鈍感な聖女に呆れる。
「勇者様〜、この旅が終わったら王宮で暮らしませんか?歓迎しますわ」
ベタベタするな!鬱陶しい!俺の理想とかけ離れ、絶壁に近い聖女など興味はない。ミリと暮らすのが俺の希望だ、嫌な顔をしているのにそれすら気にしない聖女に疲れる。
「村に帰って結婚式をやり直す、王宮には行けない」
淡々として答えると、むっとした顔をされたが無視だ。
「無理だと思いますわ」
ツンとしながら言われた。無理だと!本当に嫌な女だ、勝手なことを言うな!
「君には関係ない!俺は帰る」
勝ち誇った顔を俺に向ける聖女にイラっとした。その一言を聞く前は。
「くすくす、勇者様はご存知ないでしょう?もう、あの下賤な女はいませんわ」
「何?ミリに何をした!!」
「私は何もしていませんわ。村を出たそうですわ」
聖女には情報が入ってる!ミリに何があったんだ!この女が何かしたんだな!くそっ!ミリ無事でいてくれ!
「嘘を吐くな!村を出る必要など無いだろう!」
俺を置いてミリが消えた?嘘だ!信じたく無い。こいつのせいだ!
「私が嘘を吐く必要などありません。薄情な、女なだけですわ」
聖女が色々言っているが関係ない。ミリを取り戻す!
「……ミリ、絶対見つける。俺の物だ!誰にも渡さない」
さっさと宝珠を納めて、自由になってやる!
「私の方が勇者様に相応しいですわ。下賤な女の事などお忘れになって王宮においで下さい」
「…… 」
聖女が話し掛けてきたが無視している。ミリ!君を絶対探し出す。待ってろ!