ある侯爵令嬢の大いなる野望後編。
すみません、更新が来週になりそうです。
今日は待ちに待った夜会の日。絶対にグレーザー殿下を振り向かせてみせますわ。お兄様と広間に入ると、私注目の的ですわ。大きくなった胸に皆が目を皿の様にして見ていますわ。その中にグレーザー殿下もいらして、驚いた顔をされたと思ったら側まで来てくださったのです。
「エバンジェリン嬢、一曲私と踊って頂けるかな?」
グレーザー殿下に申し込まれましたわ!天にも昇る気持ちを隠して返事をしますわ。ふふ、私あの乳娘に勝ちましたわ!
「はいグレーザー殿下。私で宜しければ」
「それは宜しくないよ、エバンジェリン嬢。グレーザーは婚約者がいるからね。代わりに私と踊ろう」
後ろから声をかけてきたのは、グレーザー殿下の叔父にあたるグリンゴール陛下です。え?どうしてですの?
「グ、グリンゴール陛下?」
私の前で、グレーザー殿下とグリンゴール陛下が睨み合いをしています。居た堪れないですわ!隣にいるお兄様でさえ口を挟めません。それに殿下の側に何故か乳娘も見当たりません!
「叔父上!彼女とは婚約破棄しました!私はフリーです」
「ほう、この間婚約したばかりの娘を破棄とは穏やかではないな。エバンジェリン嬢、この男を信用すると酷い目にあうぞ」
「エバンジェリン嬢は我が国の令嬢です。他国にはやりませんよ」
「阻止できる訳がないと言うか!我を見損なうのか」
低いグリンゴール陛下のこえが響きます。周りの固唾を呑む音が聞こえそうですわ。言い合いを続けるグレーザー殿下が、ため息を吐いて諦めた顔をなさいました。
「仕方ありません叔父上。彼女を共有しましょう。この国には転移術で通ってください」
共有?共有とはどう言う意味でしょうか?
「しょうがない、甥と争うのも得策でないか。分かったその案にのろう」
その〜私訳が分からないのですけど?
「エバンジェリン嬢、我々と部屋に行こう。仲良く話をしようじゃないか」
「叔父上も私もエバンジェリン嬢を気に入ってる。元々妃候補で私を好きだろう」
好きなのは好きでしたが……私はグリンゴール陛下とグレーザー殿下に部屋に連れられて、そのままベットに押し倒されました。
「え?…きゃ!…あ!」
あっという間に服を脱がされ、胸を揉まれ、摘まれ、キスを2人から受けて、男女の事など何も知らない私は、身体に感じる熱と羞恥と混乱の中意識がなくなり、目が覚めた時には昼になっていました。
「お嬢様、大丈夫ですか?動けますか?」
マナが聞いてきますが、喉が痛くて、身体が痛くて動けません。
「……マ…ナ…うご…け…ない」
腰が死ぬほど痛いわ。関節もガクガクいってる。
「お嬢様!声が!分かりました。今、薬湯を用意します」
喉を痛めた私の為にマナが薬湯を入れてくれました。
「…こ…」
「お嬢様、ここは王宮の中の一室です。このまま王妃にと旦那様に打診されています」
マナが説明してくれます。このまま?家には帰れないのですね。純潔は捧げましたが、今思い出すと羞恥にかられそうです。
「ほ、ん…」
「本当です。願いが叶いましたね。でも、お嬢様はグリンゴール陛下にも望まれて二国の王妃にと言われてます」
2人?周りに許されない事ではないの?
「2…人に?」
「お2人とも、法を変えると言ってました。お嬢様、愛されておりますね」
素早い展開に信じられない気持ちが湧いてきます。胸が大きくなっただけで2人の地位ある男性からの申し込み、夢ではないのかしら?疑ってしまいます。
「…う…そ」
食事をして疲れてすぐ眠っていた私は、身体がくすぐったくて目を覚ますと、グリンゴール陛下とグレーザー殿下に服を脱がされてました。自分では絶対できない格好で、身体を好きな様に屠られています。
「んっ!……あっ!あっ!
「エバンジェリン……いいぞ!夜は長い楽しませてくれ」
「いい眺めだ、そそられる!」
色々な体位を試される度、痛くて恥ずかしくて死にたくなる。気持ち良くなり何も考えられなくなり、拒否できない私がダメなのか。
毎日毎日2人に抱き潰され死にそうです。男の人が夜は野獣になるのだと知りました。これは、私が夢に見た生活ではないと感じてます。このままだとダメになりそうで怖い。マナに相談しなくては。
「お嬢様、大丈夫ですか?毎日これだと身体を壊しますよ」
「…マナ、やっぱり狡い私に罰が当たったのね。元に戻れるなら戻りたい」
不意に涙が零れました。ずっと会話もなく抱かれるだけ。私とグリンゴール陛下とグレーザー殿下2人の間には何もないわ。
「戻れますよ。今ならまだ大丈夫です。夢として片ずける事ができます」
「え?……戻りたい……ぐすっ…マナ戻りたいわ」
泣きながら言うと、頭を優しくマナが撫でてくれました。
「お嬢様が、そう言われると思い魔方陣のシーツは片ずけました。眠ってください朝には元に戻ります」
「…お休みなさい…マナ…」
マナの言葉を聞いてゆっくり眠りに落ちました。
「お嬢様、この魔方陣は1人1回限りです。戻れなくても後悔は、今のお嬢様にはない様ですね」
朝目が覚めると、胸は元に戻ってました。あれは夢だったのかしら?
「お嬢様、おはようございます。いい夢は見れましたか?」
「夢?酷い悪夢だったわ」
悪夢だと言ったら、マナが困った顔をしてます。
「お嬢様が、元に戻ると言わなければ、夢がそのまま現実になっていましたよ」
「ひっ!やめて!思い出したくないわ!」
ぶるぶる震える私にマナが苦笑いしてます。あの様な未来は要らないわ!全然優しくなく、ベットに縛り付けられる生活は嫌ですわ。
「私、お父様の様な人の所に嫁ぎたいわ。大きい胸が好きな人はもうこりごりよ!」
「それを聞けば旦那様が喜びそうですね」
お父様の方がましだわ。お母様が大事にされているのが、私が見ても分かりますもの。
「グレーザー殿下の婚約者の、私味方になるわ。あんなに不憫な人いないでしょう」
「お嬢様がそれでいいのなら、お手伝いしますね」
変態の殿下から守ってあげたいわ。あの、夢と同じ様な事をされていたら気の毒ですわ。マナがいれば何とかなりそうですもの。
「お願いするわね、マナ」
エバンジェリン侯爵令嬢である私は、魔方陣を使いグレーザー殿下と同じ時を過ごし、変態と野獣が、同居している人物だと分かり死にそうになったので、見切りを付けました。同情心と憐れみの湧いた、グレーザー殿下の婚約者をなるべく助けようと心に決めました。
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エバンジェリン侯爵令嬢
魔方陣を使い、グレーザー殿下の心を得ようとしましたが、胸だけを愛する殿下と陛下が嫌になり現実に戻る。動く事もままならないベットに縛り付けられる生活が苦痛だった。今は、チッパイを愛する父親の様な男性を希望。
侍女マナ
初代から仕える一族の娘。エバンジェリン付き。毎日、日誌を付け、一族の娯楽提供者なっている。面白い毎日を送る為の手段は選ばない。一族で不思議な魔法具を沢山隠し持っている。だが、娯楽の為にしか使用しない。
乳娘
思いがけず勝手に味方ができた。幸運?
補足
エバンジェリンが戻りたいと願わなければ、そのまま2人の王妃になっていた。しかしこの魔方陣を使う人達は、必ず戻ると言われている。予々酷い未来が多く、今迄の方がましだと使用者全員が戻って来るらしい。
どこまで書いたらR15超えるだろう?分からないので微妙な部分削除しました。




