第1話-変化-
きっかけは、クラスのカップル第一組目が誕生したことだった。
部活仲間の愛莉が、片想いしていた男子・優太に告白をした。昼休みに呼び出して手紙、いわゆるラブレターを渡したとかなんとか。愛莉の恋愛相談には桜月もよくのっていた。なかなか返事をくれない、と涙目になったが3日後の放課後に返事をくれたらしい。返事はオッケー、だのこと。
片想いが実ってくれて桜月はとても嬉しかった。それで終わるはずだった。
『桜月は、いつ告白するの?』
愛莉のその何気ない一言が桜月の心を動かした。
*・。*・。*・。*
桜月には、好きな人がいる。1年くらい前に初恋の男子にフラれてから初めての恋だ。
相手はクラスのいじられ役。男女問わず、みんなに愛され、いじられている。
彼、真人とは小学校からの友達。でも特に仲良くもないし、話すことも少ない。中学生になったからと言って何か変わることもなく、今もただのクラスメイト。
(そんな相手に告白、か)
「告白するの?」
「・・・・え?」
「え?じゃないよ。告白、するんでしょ?」
「ぁ、声に出てた?」
真人との関係がクラスメイト、または友達以上になるのは難しい。告白をしても成功する可能性は低いだろう。
(私なんかが告白したってどうせ・・・)
「で、どうするの?」
「・・・んー」
フラれるのが嫌で告白しない。そんな理由で恋が終わる人もいるだろう。
そんな終わり方が嫌で告白をしたが、初恋は実らなかった。
(恋って結構辛いよなぁ・・・。)
いっそ、真人の好きな人が自分だったらいいのに、と考えてしまう。
弱い自分を変えたい。
(この恋を実らせるには自分が変わらないといけないんだ)
桜月の2度目の恋。
(もし私が貴方に『好きです』と伝えることができたら・・・。)