2.ちょいとお時間ありますか
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「そう、ですか。私、幽霊なんですか……」
そうだとは思っていたみたいだけど、やっぱり残念そうだった。
まあ……そうだろう、ね。
ウチだって多分、残念に思うんじゃないかな。
いや、ウチだったら案外あっさり「そっかあ」で済ませちゃうかも。
……ありうる。
「……まあ、もうずっとこうですから、わかってはいたんですけどね」
そう言って、古崎さんは自嘲気味に笑った。
「あなたの話、聞いてもいいかな」
ウチが言い出すと、古崎さんは不思議そうな表情をした。
「どうしてですか? あ、そもそも、えと、工藤さん、は、幽霊が見えるんですよね」
「んー、まあ、ね」
さっきも「っぽい」と言って濁していたけど、それにはそれでわけがある。
わけというか、拘りというか。
「まあまあ、その辺も含めて、ちょっとウチとお茶しない? もちろんウチの奢りで」
ぴっ、と親指を立てる。我ながらキマったと思ったんだけど、あれ、古崎さんは何だか曖昧な笑みだ。
「工藤さん」
「うん、何?」
「何て言うか………私、ナンパされてるみたいですね」
あ、やっぱり? 奇遇だねえ。
ウチもそんな気がしてたんだ。
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