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ロケットランチャーと少女と

 コイツは何を言っている!? 

 人の家を破壊したうえに、さっきから黙って聞いてれば、わけの分からない事ばっかり言いやがって!


 俺の中で不安が沸々と怒りに変わっていくのが分かる。

「……ふざけるなよ」

 俺は立ち上がり董島に言い放つ。


「黙っていれば意味不明な事ばっかり言いやがって! いいかげん、何が起こってるかぐらい説明しろ!!」


 董島はすました顔で言い返す。

「長久君、君はもう死ぬんだよ。そんなこと知ってどうする」


「テメェ……」

 俺は董島に詰め寄り、胸ぐらを掴もうと前に出るが、董島はそれを察し一歩後ろに下がり素早く腰に差している剣を抜くと、目にも留まらぬ速さで俺の喉元に剣を突き立てる。


「くっ……」


「おっと、動くなよ。私が君を殺しては意味が無い、君は大事な赤兎の餌なのだから」


 クソ! これじゃ……また振り出しに戻っただけじゃないか!

 俺はわけも分からずこのまま死ぬのか!


「赤兎、今日の夕飯はコイツだ。残さず食えよ」

 董島が半笑いを浮かべ赤兎を呼ぶ。


 赤兎の方向に目をやると、既にその吐息が感じられるほど近くまで顔が迫っている。

 しかし、何故か赤兎は俺を食らおうとせず、ただ眺めている。


「どうした? 赤兎、早く――」

 その瞬間、何かが高速で赤兎の脇腹に激突し、耳をつんざく轟音をあげ爆発を起す。赤兎は悲鳴にも似た鳴き声を発し、体勢を崩した。


「赤兎!」

 董島は俺の喉元に突きつけていた剣を急いで外し、赤兎に駆け寄るが、赤兎はバランスを崩しそのまま董島を巻き込んで倒れる。


「こっ、今度は何だ!?」

 俺があっけにとられていると、リビングのドアが勢いよく蹴破られる。


 ドアを蹴破り入ってきたのは、背中の半分ぐらいに届く長さの、真っ赤な色の髪をした少女だった。

 気が強そうな瞳をし、少々角のある目つきだが顔立ちは綺麗に整っており、その胸は、まるでグラビアアイドルを彷彿とさせる豊満さではあるが、体系は細身と理想のプロポーションを実現した、いわゆる一種の美少女である。


 俺は少女を見て直感する。

 コイツもヤバイ……


 少女は、その華奢な体格に到底似つかわしくない物を持っていた。

 ……四連ロケットランチャーである。


 このロケットランチャーは通常の一発発射するごとに、再装てんが必要なものと違い、ロケットを四発装てんでき、それを連続で発射できるロケットランチャーだ。

 某ゾンビゲームで最強武器として出てきたのでよく覚えている。

 よく見ると、ロケットランチャーの銃口からは硝煙が上がっていた。


 まさか……この女の子が赤兎を……


「そこのアンタ、早くしなさい! 逃げるわよ!」

 少女が声を張り上げる。


「……アンタって……俺?」


「他に誰もいないでしょ!」


 ……誰もいなくは無いんだけど――例えば、俺の横で赤兎の首の下敷きになり伸びているヤツとか……


「うぅ……クソッ……私としたことが……」

 董島が目を覚ます。


「走って!」

 少女はそう言い、手榴弾を取り出し安全ピンを引き抜き、董島の方に手榴弾を投げ放つ。

 マジかよ!!

 俺は全力で少女の方に走る。


「そのまま外まで走って!」

 俺は少女と共にリビングを出て二人で玄関まで全速力で走る。


 玄関が見えた!

 俺たちは玄関を抜け外へ出る。


 刹那、地響きと共に後ろのリビングの方から、鼓膜が破れるかと思うほどの大きな爆発音が響き、爆風で玄関のドアが吹き飛ぶ。

 ドアは俺と少女、二人のわずかな隙間を飛び抜け目の前の塀に突き刺さり大破する。


 ……生きてるよな……俺……生きた心地がしないとは、まさにこの事か……


 そんな俺の気を知ってか知らずか、少女は平然と言う。

「……間一髪ね。下手したら、私たちも巻き込まれて、あのドアみたいになる所だったわ」


「下手したらって……お前のせいだろ!」


 少女はむイラッとした表情で言い返す。

「ハァ? 助けてやったのに、何なのよ! その態度は!」


「助けてやった……だって……お前は、あいつを殺したんだぞ!」

 そう、彼女は俺を助ける為とはいえ、あの男を殺した。いかなる場合であっても、殺人は許される事ではない、少なくとも俺はそう思って生きてきた。


「……ぶっ……あはははははは」

 少女は吹き出し腹を抱えて笑う。


「なっ、何がおかしい!」


「はぁ……それ、本気で言ってる? 分かった……アンタ、新入りでしょ、あたしも最初はびっくりしたわ。まさか――こんな世界があるなんてね」


「一体……何を言って……」


 少女はドヤ顔で俺に言い放つ。

「いいわ、答えてあげる。ここは〝夢〟の世界、現実じゃないわ。だから、あの男も死んでない――ようこそ夢の世界へ、新入り君」


「夢だって!? 馬鹿な……夢にしてはリアルすぎるだろ!?」

 ドラゴンと対峙した時のあの恐怖と滴る冷や汗、剣を突き立てられた時の鉄の冷たさ、手榴弾が爆発した時の爆音と爆風、どれも夢とは思えないほどリアルだった。


「確かにリアルなのは認めるけど……じゃあ、アンタはドラゴンに襲われたり、女の子がロケットランチャーを撃ってるような世界が、現実にあり得るって言うつもり?」


 ……そう言われてみれば少女の言う通りだ。

 ドラゴンなんか現実にいる訳ないし、それに、この一連の出来事、全部夢だって言ってしまえば全てそれで説明が出来る。

 じゃあ……やっぱりこれは、本当に夢なのか――


 深刻そうな表情を浮かべ、考え込んでいる俺に少女は言う。

「まあ……目が覚めれば、今起こっている事が夢だって実感できるわ。だから、安心しなさい」


 ……はぁ、安心なんて出来るかよ。でも、今はこの少女を信じるしかないか……


「……さっきは怒鳴ってゴメン。俺は長久 秀、君の名前は?」


「い、いいわよ。別に……謝らなくても、あたしのせいで巻き込んじゃったわけだし……」

 急にバツの悪そうな態度を取る少女。


「ん? 最後のほう、何て……」


「な、何でもないわよ! そんな事より、あたしの名前は星咲 司(ほしざき つかさ)

「よろしく……星咲さん」


「司でいいわ」


「じゃあ、つ、司……一ついいか」

 なんか、女子を名前で呼ぶのって恥かしいな……


「何?」


「その制服、常晴(じょうせい)のだよな?」

 ――常晴学園、俺が通っている学校で、俺はその二年E組に在籍している。司も同じ常晴の制服を着ていて、胸元のリボンの色から俺と同じ二年だって事が分かる。

 しかし、俺は今まで学校で司を見たことが無い。二年にこんな子が居るなんて知らなかった。司ほどの美少女だったら、すぐに話題になる。噂ぐらい聞いてもいいはずんだけど……


「ええ、そうよ――九月に転校する予定……

 そういえば秀、それ常晴のジャージよね?」

 司は俺の服装を見て言う。


「ああ、俺も常晴で司と同じ二年だよ」


「そうなら早く言いなさいよね……逃げるわよ!」


「は?」


「後ろ!」

 司はそう言って、俺の背後を指差す。

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