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プロローグ
本作品には流血表現等が含まれます。苦手な方はご注意下さい。
―――― 「 迎えに来たわ 」 と 彼女は言った。
黒く巨大な門が轟音と共に開かれた。その先には明かりなど無く、ただ真直ぐな道が続いているだけ。まるで地獄の入り口のようだと、ぼんやりと少女は思う。
「さぁ、」
行きましょう。
立ち尽くす少女の背を促すように柔らかい掌が押した。響いたその声は優しく、まだ幼さすら孕んでいる。門の隙間を吹き抜ける風の冷たさに一瞬躊躇した後、少女はゆっくりと一歩を踏み出した。
何故だか漠然とわかっていた。もう自分には、前に進むより他に道は残されていないのだ。
「……ようこそ」
黒髪の『彼女』が少女の横で笑う。
ようこそ、 ここが これから あなたが いきていく せかい。
『これが私の世界だから』