ようこそ!ここはスタト村です!
「ようこそ!ここはスタト村です!」
そんなお決まりのセリフを俺は今日も村の門の前で笑顔で言う。
我ながらよくこんな同じセリフを十年も言い続けられてるなぁと思う。
「は?スタート村?なんそれ?え、ゲームの定番のセリフ?てことはホントに異世界なの?いやいや、そんなわけないし。僕は夢を見てるのか?だったら学校に遅刻するなぁ…次遅刻したら僕進級できないって言われてるんだけど…」
いつも通り相手は混乱している。突然異世界に召喚されたのだから無理もないだろう。ま、悪いけど俺は同じセリフしか言えないよ。と、いうわけで、
「ようこそ!ここはスタト村です!」
「いや、それはわかったけど!学校に遅刻する!目覚めろ!目覚めるんだ僕!」
何に目覚めようとしているのだろうか。別に夢を見ているわけではないよと教えてあげたい。なので、
「ようこそ!ここはスタト村です!」
「そうだね!スタト村ですね!もう良いよ!僕、進級諦めるよ!くそがっ!」
ブツブツ言っていると思ったら、突然なにかに目覚めようとして最終的になんか叫びだした。この人の情緒は大丈夫なのだろうか。取り敢えず、
「ようこそ!ここは___」
「もうわかったって!スタト村でしょ!」
もう良いらしい。同じことしか言わない俺に1人で叫び続けるなんて変な人だ。大抵は怒って無視するのに。面白かったのでサービスしてあげよう。
俺は門の壁の一部をハンマーで叩いて案内役兼説明役のロン爺を呼んだ。すると、5分ほどして、
「呼んだかい、リオン」
と、優しそうなお爺ちゃんがやってきた。ロンバート、略してロン爺だ。彼は、昔は帝国に住んでいたそうだが、仕事を引退して20年くらい前にこの村にやってきたんだそうだ。ちなみにこの間、勇者はずっと四つん這いでブツブツ言っている。どうやらガッコーという場所にいかないと親が怒るんだそうだ。
「おお!新しい勇者さんか!」
「あ、どうも。えっと…あなたは?」
「儂はロン爺じゃ。この村に来た勇者さんの案内役兼説明役を務めとる。分からないことがあったらこの儂に何でも聞いとくれ。爺なりに話を聞くからの。」
「あ、ありがとうございます…あ、僕は天野勇矢です。あの、早速なんですけど、この人はなんで同じことしか言わないんでしょうか?もしかして僕、初対面の人に嫌われているんでしょうか…」
なんと。このアマノ・ユーヤとかいう人は、何で自分がここにいるかより俺のことの方が気になるようだ。アマノ・ユーヤへの好感度が上がるのを感じる。あと別に俺は君のことが嫌いな訳わけでは無い。ロン爺、説明お願い。
「あぁ。この子はリオンじゃよ。リオンが君にずっと同じ事を言うのは別に君のことが嫌いなわけでなないよ。ただ、彼はとある呪いの影響で勇者の役職を持つ人にはこの言葉以外話せなくての。」
「えっ!?そんな恐ろしい呪いがあるんですか!?」
さすがロン爺。俺のして欲しかった説明を完璧にしてくれた。
「というか、ここは一体どこなんですか?本当に地球じゃないんですか?」
「もちろん。ここは『ルクステア』と呼ばれる世界じゃよ。多分、ここに来る前も説明を受けたと思うけど、君はこの世界に救世者、つまり勇者として呼ばれたんじゃ。そして、この村は召喚された勇者さんが最初に訪れる村なんじゃよ。リオンはその歓迎役、”村人A”じゃ。」
「村人A…異世界系のゲームで1番最初に会う村人の名前ですね。しかも言ってることが実際にゲームに出てきそう。」
「その、げぇむ?とやらは知らないが、多分そんな解釈であってるぞい。」
「なるほど…大変なんですね、リオンさん。」
出会って30分くらいの人から憐れみの視線を頂戴してしまった、なんだか悲しい。というか、だんだん外が暗くなってきたな。
「さ、日も暮れかけてるし、取り敢えずしばらくこの村に泊まっていきなさんな。明日色々と教えてあげるから。」
「あ、はい。じゃあ、お言葉に甘えて泊めさせてもらいます。」
「それじゃ、リオン、お前はカーラさんに勇者さんが来たから泊める支度しておいてって言ってきてくれるかい。」
わかった。俺はそう言う代わりに頷いた。因みにカーラさんはこの村で、唯一宿を経営する夫婦の奥さんだ。俺も宿の一室に住まわせてもらっている。
こうして、スタト村は1年ぶりに勇者を村に泊めることになったのだった。
思いつきで書き始めました。行き当たりばったりで、更新日も特に決まってなくて適当なところが多いと思いますが、どうか温かい目で読んでください。




