第1話 今のこの状況を誰か説明してくれ
※「·········」
※「·······は·····?」
ここ
※「·····も·····もり········?···」
まて
なんでわたし ( 森 ) にいるの
※「·········どう言う事だ····」
・・・明日は休日
だから、いつもの2倍速で案件こなして帰って
狭いワンルーム(マイホーム)で1人宴会しながら
動画鑑賞して
それから
・・・・・・
それから
・・・・どうしたんだっけ・・・・
・・・・・・・・
・・・その後の記憶が無い・・・・・・
まさか
飲みすぎて記憶がぶっ飛んで
・・・・・森まで徘徊・・・・・・・した・・・?
・・・・・っんなアホな・・・・・
※「そもそも家は駅前だし、
近所にも、こんな森なんて無いはずだ·····。」
試しに頭上を見上げてみたが、
天気が悪いのか、 星はおろか月も出てない。
※「···今日は晴天だって言ってたのに···、
天気が途中から変わったのか。
曇ってるせいでろくに見えやしない····
せめて大通りに出れれば街灯もあるだろうし
家に帰れると思うんだけど···」
頭上の闇から視線を落とし
今度は足元を見回してみたが
近場に道らしい道も見当たらず、あるのは見覚えの無い色形の雑草の類があるばかり。
※「······暗すぎて気が付かなかったけど、
よくよく見れば、何だこの草·····」ジッ
葉の色も様々で奇抜だったが
葉の形も、
周辺に生えている植物も形容しがたい程に多種多様で、
まるで誰かが細い葉を編み込みこんだような形もあれば、
水風船のように透明な球体が垂れ下がった植物まである。
あまりに見知った植物とは かけ離れている。
恐る恐る触ってみると、その葉1枚1枚は確かに瑞々しく、
ちゃんと生きている植物だと分かる。
※「····ハハッまあ、
あたり一面の植物が人工物かもしれない···なんて
さすがに常軌を逸している考えだったな····
···だけど正直、作り物であって欲しかった。」
今自分が見ている奇妙な植物が、
果たして本当に
この地球上に存在する植物なのか
その考えが頭をよぎると、
薄ら寒いものを感じてわたしは思わず頭を振って思考を切り替える。
※「····ダメだ、やめよう。
植物の事よりまずはこの森を出る方法を見つけないと。」
わたしは、改めて周辺の捜索に戻った。
目を凝らしてぐるりと辺りを見てみたが、
やはり、町の明かりも街灯1つすら見当たらない。
※「····やっぱり、何も見えない。
··どうするか···
このままここに居ても埒が明かないけど、
下手に動けばそれだけ体力を消耗するし·····」
でもだからって、ここでジッとしてるのが安全とも言い難い。
森の中なんだ
腹を空かせたクマや野犬と遭遇する可能性だってある。
夜目がきく上に足の早い彼等を相手に、逃げ切れるとはとても思えない。
せめて木に登れたら
よじ登って夜明けを待つ事も出来るかと思い、
近くの大木に近づいて触れてみたが
どれも手が届く位置に枝葉が無く、足をかけられそうな穴も無さそうだった。
※「········仕方ない、
やっぱり無駄に体力を消費するより、
このままここに居て朝が来るのを待って······
······ん··?」
諦めて、適当な大木に腰掛けようとした時
一瞬
遠くで、キラリと何かが光った気がした。
※「·····見間違いか···?······今何かが·······」ジッ
キラッ
※「·····!·····やっぱ何か光ってる。
·····どうしよう、見に行ってみるか·····?」
キラキラと、暗闇で点滅するその光が何なのか分からないが
もしかしたら、誰かが歩いているのかも
もし登山客の人とかであれば、家に帰れるかもしれない
それか、山中の一軒家に住んでいる人の可能性も····
あるにはある、が、
こんな真っ暗闇の森の中を歩く人なんて
・・・居るんだろうか。
・・・・・・
※「······声を上げて確認したいけどやめておこう、
万が一違ってて、声を出したせいで回りに潜む野獣に見つかったりしたら元も子もない。
直接見に行こう。
どのみちここにいても危険なのは変わらないんだ。」ザリッ
そう、自分に言い聞かせて立ち上がると、
わたしはゆっくりと足元を確認しながら
キラッキラッと、一定間隔で点滅する光めがけて歩き出した。
――――――ザッ――――――ザッ――――――ザッ――――
――――――ザッ――――――ザッ――――――ザッ―――――
光るナニカを目掛けて歩いているが、
やはりここは森の中
時折、土のくぼみや、突き出た木の根に足を取られそうになる。
ただでさえ山道はデコボコとしていて普通に歩くだけでも大変だが
さらにこの、足元も見えにくい程の暗さだ。
疲労は確実に蓄積されていく。
※「···ハァッ······ハァッ····
········ハァッ·······や····やっと···着いた··か··」
近づくと、その光は懐中電灯の類では無く、
地面に刺さっている物体の一部が反射しているようだった。
わたしはその物体を確かめようとさらに側に近寄ってみて
やっとそれが何なのかが分かった。
※「·········この際····何でこんな光も届かない暗闇で
(コレ)が光っていたかはひとまず置いておくとして
大分予想外な代物があったもんだな···。」
それは
地面に深々と刺さっている
西洋の剣だった。
※「····まさか、銃刀法にうるさい日本に住んでて
生で剣を見る日が来るとは思わなかった····」
わたしは、その
あまりに現実味のない代物に
自身の置かれた状況も忘れてマジマジと眺めた。
恐らくは捨てられた
ゲームとか、アニメのキャラクターのものなんだろうが
間近でみると、
オモチャとは思えないほど複雑な紋様が彫られていて
所々にあるくぼみには
キラキラと光る綺麗な赤い石がハメられている。
成る程、と言う事は、あの謎の光りの正体はこの石だったって訳か。
※「····よく出来てる、まるで本物みたいだ···高そう。」チョンッ
【貴様、ニンゲンか。何故ニンゲンがここにいる】
※「!!ヒッ!?な、だ、誰!?何処にいるの!?」ビクッ
黒い西洋の剣に魅入っていたその時
突然直ぐ側で、低い男の声が聞こえた。
わたしは咄嗟にあたりを見渡したが
その声の主を確認する事は叶わなかった。
※「···あ、あの···誰かいるんですか!?お願いします
助けて下さい、わたし森に迷い込んでしまって困ってるんです!」
わたしは思わず、
すがるように必死にその声の主に呼びかけた。
あまり友好的では無さそうな口ぶりだったし、
何やら不穏なワードを口走っていたが
とにかく今は誰かが居てくれるだけでも心強かった。
しかし
返事があったのは
思いもよらない所からだった
【迷い込んだだと? フンッ笑わせるな。
ここは、ただのニンゲンが来れるような所ではないぞ】
※「····っ!?」驚
そう、
その声は今、
紛れもなく
わたしの目の前に鎮座している
高そうなオタクグッズの剣から聞こえてきたのだった。




