バレンタイン準備 【月夜譚No.387】
掲載日:2026/02/01
毒のような色をしている。黒に近いが様々な色が見え隠れして、何色とも形容し難い。
一体何をどうしたらこんな色になるのか、これを作ったはずの自分でさえ分からない。
「おかしいなぁ」
少女は頬に手を当てて、手許のレシピに視線を落とした。そこに載っている写真には可愛らしくて美味しそうなチョコトリュフが写っているのに、今目の前にあるものからはその片鱗すら見出せない。
レシピ通りに作ったつもりなのに、どうして全くの別物が出来上がったのか、甚だ謎である。
流石にこれを贈り物にするわけにもいかないので、少女は再び腕捲りをした。もう一度、最初から作り直してみよう。
しかし、それから一晩中繰り返された努力の甲斐も虚しく、少女の目の前にはおどろおどろしいまでの代物が並ぶこととなった。
少女の弟が蒼い顔でそれ等を平らげる羽目になったのは、また別の話である。




