表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【短編小説】おいしい恋の切り出し方

作者: 松下一成

「・・・大人になったのかな」


 帰ってきた部屋で呟いたその一言は今日の私を表しているのかもしれない。昔好きだった人。高校の時好きだった人。でも、想いを伝えることは出来ないまま卒業。それでそのまま会うことは無かった。


 重ねた年月は少年を男性に、少女を女性に仕立て上げる。


 私にとって恋愛を見つめるとき、そのままの形のホールケーキを思い浮かべる。このままでは食べきれない。だからこそピースに切り分ける必要が有る。


「自分の手元に来たピースを、それを私は恋と呼ぶのかもしれない」


 仕事でも何でもない。無趣味の私を気遣って会社の同僚が誘ってくれたビリヤード。この時代に・・・と私はあまり乗り気ではなかったものの、付き合いもあったし、何よりも入社以来仲のいい奴だったから誘いに乗った。


 までは良かった。


「もしかして」


 挨拶をしてくれたとき、気が付いてしまった。彼だ、好きだった人だ。でも向こうは気が付いてない。自己紹介は軽くしたけれどそれ以上の事は聞いてこなかった。


 それからそのバーへ行くようになった。何回か繰り返し会う。ビリヤードを教えて貰う。だんだん上達していく私。でも本当はそうじゃない、なんというか上手く言葉に出来ない。


「ホールケーキがピースにならない」


 切り分けるべきじゃないのか?目の前のお皿を見つめる私。しばらくすると懐かしい香りがしてきた。


「これ、昔から好きでしょ」


その言葉につられて前を見ると、そこには


高校生の時、購買で売られていて、よく食べていたアップルパイを彼が持ってきてくれた。


「・・・はい、好きでした」


私は黙って出されたアップルパイを食べ始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ