任務完遂後の一服は美味い
偵察任務完了後のちょっとした遣り取りな回なのですまんが短い
現地である異世界からの撤収完了した日曜日の朝。
大概の者達は日曜日の惰眠やニチアサキッズタイムでやる特撮やアニメを楽しむ中。
"犬小屋"へ涼子達と共に帰還した正樹は5日振りに煙草を咥えると、火を点して燻らせる。
「すぅぅ……ふぅぅ……やっぱ任務完了後の煙草は美味い」
警戒厳重な敵地へ海上から"筋肉式"潜入。
筋肉式潜入成功後、敵の厳重きわまる警備を潜り抜けての隠密偵察。
約24時間の間、敵に一切見付かる事も痕跡を残す事も無く隠密偵察完遂。
そんな隠密偵察で獲た情報を基に、敵の即応体制を確認する為に威力偵察実施。
威力偵察によって敵の即応体制を暴く事に成功後、膨大な情報を持ち帰る事にも成功させた。
そんな大きな達成感と共に美味そうに煙草を燻らせる正樹に涼子は呆れ混じりに問う。
「お疲れ。で?貴方から見て、あの監獄はどれほどなのかしら?」
涼子の問いに正樹は紫煙と共に答える。
「すぅぅ……ふぅぅ……あの時代の中では間違い無くトップレベル。下手な城塞なんか目じゃない厳重な警備体制だ」
「そんな厳重な警備体制の中を見付かる事無く隠密偵察成功させてるアンタが言うと、嫌味にしか聴こえないわね」
正樹の答えを涼子が茶化す様に言うと、正樹は真剣な面持ちと共に煙草を燻らせながら返す。
「未来の技術って大きなアドバンテージを有してたから成功させられただけだ。暗視ゴーグルや迷彩服始めとした装備が整ってない中でヤれって言われたら無理って言わざる得ない」
まるで、敵である守備兵を擁護する様な口振りに思えた。
だが、正樹は気にする事無く敵である守備兵を称賛する様に紫煙と共に言葉を続けていく。
「兵達は率先して指揮下に入り、命令実行の為に全力を尽くす精強な精鋭。その上、その精鋭達を率いる指揮官つうか司令官も飛び切り優秀だ。浮足立つ部下達を鶴の一声と言わんばかりに一喝して即座に落ち着かせた後、的確に命令下達すると共に躊躇いなく警報を鳴らした。勿論、並行して状況の掌握にも務めてる……精鋭無比な兵と優秀なベテラン指揮官の抱き合わせと言う最高の組合せ。そう言っても過言じゃない」
長々とした言葉と共に監獄を守備する将兵達を称賛する正樹に対し、涼子は思った事をそのまま口にしてしまう。
「流石に買い被り過ぎじゃない?」
「君は圧倒的な力で蹂躙出来るから、そう思うのは仕方無い。だが、普通の魔導やらチートを持たない俺にすれば、アレだけの高い練度を有する将兵達を脅威と見ない理由が何処にも見当たらない。何せ、魔法やらチートとか使えないから」
嫌味混じりに返す正樹に涼子は呆れてしまう。
「そんな精鋭無比な部隊が守護する場所に潜入した上に、好き勝手に動き回った貴方が言うと嫌味にしか聴こえないわね」
そう言われると、正樹はつまらなさそうに紫煙と共に返した。
「すぅぅ……ふぅぅ……ソレは俺が飛び切り優秀なロクデナシで、こう言う事の場数を踏みまくって経験積み重ね続けて来たプロだから出来た事だ。後、装備の差もあったのもデカい」
「そんなモノかしら?」
涼子はミリヲタではあるが、専門家ではない。
それ故、正樹が成功出来た理由に装備の差がある。
そう言われても、腑に落ちない様子であった。
そんな涼子に正樹はハッキリと言う。
「あぁ、連中が現代とか俺が居た時代レベルの装備と機材揃えて警備に当たってたら間違い無く、俺は此処で暢気に煙草を吸ってない」
正樹の言葉は装備が同等ならば、偵察任務は失敗していた。
ソレを意味していた。
特殊部隊にも在籍していた正樹がそう言えば、涼子は正樹が守備兵達を脅威としている事を漸く理解出来た。
「そんなに?」
「あぁ、事が起きてから3分12秒で警報を鳴り響かせて本土からの増援を呼び、其処から約21分ほどで完全武装した1個中隊規模が上陸し、更に海上では軍艦が島の周囲を警戒……あの時代でならコレ以上に無いだろう即応体制だ」
威力偵察で獲た情報を涼子に共有する正樹は其処で言葉を止めると、煙草を燻らせてから更に続ける。
「恐らく。否、間違い無く日中ならもっと早いタイムを叩き出してる。それに……」
「それに?」
「アレだけの練度の精鋭だ。下手しなくても、1週間以上は警戒体制を強化して守備に当たるだろうよ」
直に偵察した正樹の言葉に涼子も渋い顔を浮かべると、思わず言ってしまった。
「威力偵察しない方が良かったんじゃないの?」
涼子の言葉は間違ってはいない。
威力偵察を実施せず、そのまま何も刺激せずに帰れば敵である守備兵が警戒体制を強化する事は無かっただろう。
だが、正樹はソレをハッキリ否定する。
「そう思うのは当然だ。実際、敵は警戒体制を強化してるだようからな……だが、ヤマを踏んだ時にどんな厄介事が起こるか?解らないよりは解る方が対策しやすくなるし、対応もしやすくなる」
「確かに知らないよりは知ってる方が対策は打てるわね。それで?貴方の対策は?」
涼子に対策を問われた正樹は紫煙を吐き出すと、今の段階で決めた対策を答える。
「此方が出来る対策として先ず1つ目は、予定を先延ばしにする。確かに連中は精鋭揃いだ。だが、あの騒ぎから期間を空けて連中の警戒心を弱まるのを待つ」
対策の1つ目を語ると、涼子は理解と共に納得した。
「成る程ね。要するに連中の警戒心が解けるのを待つ事で難易度を下げようとする訳ね」
「そう言う事だ。連中の警戒心が解けた所を狙って仕掛ける……やらないより、やった方が良い手軽な策だ」
待つだけで敵の警戒心が解けるならば、やらないよりはやる方が良い。
そう言う意味では、正樹が手始めに挙げた待つと言う行動は実に理に適っているだろう。
そんな正樹の1つ目の策を改めて納得した涼子は次の対策を問うた。
「それで?2つ目は?」
「2つ目は実に単純明快。陽動も兼ねた砲撃の際に兵舎だけでなく、警報装置も一緒にブッ壊す事だ」
正樹の2つ目の対策は正樹の言葉通り、実に単純明快なモノであった。
そんな単純明快な策であるが、正樹は短くなった煙草を灰皿に押し当てて棄てると、2本目の煙草を取り出しながら補足説明をしていく。
「監獄本舎にある鐘楼と灯台を同時に破壊し、本土への警報を発せない様にする。そうする事で本土からの即応部隊が来るのを遅らせる」
そう補足説明した正樹が銜えた煙草に火を点すと、涼子は首を傾げる。
「遅らせる?発せない様にすれば、即応部隊は来ないんじゃないの?」
涼子の疑問は至極当然のモノと言えるだろう。
そんな涼子の疑問に正樹は想定している可能性を答えた。
「恐らくだが、連中は灯台以外にも連絡手段を用意してる可能性がある。それに……」
「それに?」
「灯台に明かりが点るのを見張ってる連中の視線だ。連中に砲撃してる所を見られてみろ?速効で即応部隊を送り込んで来るぞ」
正樹が想定される可能性を示唆すれば、涼子は納得するしか出来なかった。
そんな涼子に対し、正樹は煙草を燻らせながら更に言葉を続けた。
「すぅぅ……ふぅぅ……他の何らかの通信伝達手段で即応部隊を呼ばれる可能性が棄て切れない以上、此方としては遅らせる事しか出来ない。なので、この作戦は一種のタイムアタックになる……そう言わざる得ないのが現状だ」
紫煙と共に今回の作戦は時間との戦いになる。
そう断じる正樹に涼子は「解ってるわよ」と、返した。
そんな涼子に正樹は大きな欠伸をすると、紫煙と共に指揮官として告げる。
「コレ吸い終わったら、俺は今回の偵察の情報を整理する。君は現地に残ってるエレオノーレと合流して情報収集と、帰りの足を確保してくれ」
帰りの足。
監獄からモラと言う魔女を助け出した後、確実に群がる敵の大軍から逃げる為の逃走手段が必須なのは言うまでもない。
今回の偵察では異世界に持ち込んだ悪魔の王な友人に用意して貰ったエンジン付きのボート。
もとい、RHIBと呼ばれる小型船舶で逃走を果たした。
だが、作戦決行当日の逃走手段としては流石に些か難があった。
それ故、正樹は涼子が偵察前に提案した逃走手段の確保をする様、指揮官として命じた。
「了解。因みに確保出来なかった時はどうするの?」
涼子が逃走手段が確保出来なかった場合の事を問えば、正樹は煙草を燻らせながらアッケラカンに告げる。
「その時は真っ暗な海の中を泳いで逃げる羽目になるだけだ」
「解ったわ。何とか確保してみる」
涼子はそう言うと、異世界にある己の地下バンカーに繋がる扉を召喚。
その後は異世界へと消えた。
独り残された正樹は半分ほど燃えた煙草を静かに燻らせていく。
煙草がフィルター近くまで燃えると、正樹は煙草を灰皿に押し付けて棄てる。
そして、偵察に用いた望遠レンズ付きのフィルム式カメラを手にリビングを後にするのであった。
作中で涼子が言った様に威力偵察しない方が良かったんじゃないか?って言うのも実際、正しい
でも、押し込み強盗した後に警報が鳴るのは確実
だから、正樹はその時の即応体制がどんな展開で進むのか?知る為に威力偵察を実施した
その御蔭でタイムアタックの際の目安を知る事が出来て、タイムアタック開始の間に何処をどんな風にブッ飛ばせば時間を稼げるのか?
その点を知る事が出来たのもまた事実…
ブッチャケた話
物事は大概の場合、作用反作用の法則が働くと思う
ハガレン風に言うなら等価交換の法則になるのかな?
何れにしろ、何かをしてメリットを獲たら、その分の何かしらのデメリットをお釣りとして受け取らないとならないって事である




